【傘寿記念】小林研一郎、「チャイ5」で“KOBAKEN MUSIC FESTIVAL”と呼ぶにふさわしい名演!

2020年に傘寿(80)を迎え、日本人指揮者として“炎のマエストロ”と称され、クラシック界に多大な功績を残し、現在も大活躍している小林研一郎。

4月13日、マエストロ小林指揮によるチャイコフスキー交響曲全曲チクルス(交響曲全曲演奏会)東京公演第2夜を鑑賞した。

プログラムは、前半がチャイコフスキー交響曲第2番「小ロシア」、チャイコフスキー後半は交響曲第5番。

前半のチャイコフスキー交響曲第2番「小ロシア」は、チャイコフスキーの作品の中でも陽気な楽曲の一つで、作曲当時「ロシア五人組」(バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、ボロディン、リムスキー=コルサコフ)からも好評を得た交響曲。あまり意識されることはないがロシア5人組のまとめ役は、バラキレフで、今日では作品よりも「ロシア五人組」のまとめ役として知られている存在である。

「小ロシア」という愛称で知られる同曲は、後期三大交響曲ほど演奏機会がないが、小林の要領を得た指揮によりチャイコフスキーらしい叙情的、メランコリックな旋律を楽しませてくれた。

チャイコフスキーは、妹の嫁ぎ先がウクライナだったため、しばしばウクライナを訪れた。この曲はウクライナ民謡の影響を受けており、随所にウクライナ民謡の音色が見え隠れしている。いわばウクライナ風チャイコ節がコバケン節とミックスされ、特有の輝きを放っていた。

後半が、「チャイ5」の愛称で知られるチャイコフスキー交響曲第5番。この曲は、絢爛豪華なオーケストレーションが魅力で、今日数多くある交響曲の中でも最も人気がある作品のひとつである。

マエストロ小林指揮による日本フィルの演奏は、細かなテンポと強弱、最終楽章にかけての推進力、コーダ(終結部)に至る過程が見事だった。

オッタビアーノ・クリストーフォリの絶妙なトランペット、エリック・パケラの迫力あるティンパニ、木管の柔らかい美音、ヴァイオリンのキレの良い美しい響きなど聴きどころが随所にあった名演で、それぞれが強烈な印象を与えてくれた。

長年付き合ってきた日本フィルハーモニー交響楽団との相性の良さを感じさせてくれた演奏で、チャイコフスキーの悲嘆と希望、哀愁、美しい旋律といった妙技をとことん味あわせてくれた。


指揮者の指示を日本フィルがしっかりとくみとって音におり、この曲にかけるほとばしるようなマエストロ小林研一郎の情熱は圧巻。

長年付き合ってきた者同志からしか出せない信頼感。そうした境遇からしか出せない音、妙味、技がそこにあり、“KOBAKEN MUSIC FESTIVAL”と呼ぶにふさわしい名演。演奏後はスタンディングオベーションで迎えられた。

コンサートの模様は開催日より1年間見逃し配信を行っており、視聴可能です。
視聴サイトのURLは、下記をご参照ください。


小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念 チャイコフスキー交響曲全曲チクルス公式サイト: https://kobaken80thmusicfes.com

■映像配信に関する実施概要

配信プラットホーム:テレビマンユニオンチャンネル
視聴料金     :無料
出演(予定)    :指揮  :小林研一郎
管弦楽 :日本フィルハーモニー交響楽団

●2021年4月7日(水) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第1番『冬の日の幻想』、交響曲第4番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bxe9rn3h49sz/

ライブ配信  : 2021年4月7日(水)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月7日(水)終演後から2022年4月7日(木)23:59まで

●2021年4月13日(火) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第2番『小ロシア』、交響曲第5番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bx0k6fxszstq/

ライブ配信  : 2021年4月13日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月13日(火)終演後から2022年4月13日(水)23:59まで

●2021年4月27日(火)公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第3番『ポーランド』、交響曲第6番『悲愴』

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by0m876r8wbq/

ライブ配信  : 2021年4月27日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月27日(火)終演後から2022年4月27日(水)23:59まで

●小林研一郎(指揮) Kenichiro Kobayashi プロフィール

東京藝術大学音楽学部作曲科および指揮科を卒業。第1回ブダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞受賞。これまでに世界有数の音楽祭に出演するほか、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、アーネム・フィルハーモニー管弦楽団などの日本公演の舵をとり、日本フィルハーモニー交響楽団の海外公演を成功へと導いた。文化を通じた長年にわたる国際交流や社会貢献により、2011年に文化庁長官表彰、2013年には旭日中綬章を授与、また、ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、星付中十字勲章、ハンガリー文化大使の称号を授与された。

作曲家としても数多くの作品を書き、1999年には日本・オランダ交流400年記念の委嘱作品、管弦楽曲『パッサカリア』を作曲、ネーデルランド・フィルで初演されると、聴衆から熱狂的な喝采を以て迎えられた。同作品はそれ以降も様々な機会に再演されている。

2005年からは社会貢献を目的とした「コバケンとその仲間たちオーケストラ」で活動趣旨に賛同するプロ、アマチュア、学生などのボランティアメンバーと共に全国でチャリティ公演も行っている。音楽に対する真摯な姿勢と情熱的な指揮ぶりは「炎のコバケン」の愛称で親しまれ、国内外オーケストラへの客演も多く、名実ともに日本を代表する指揮者である。

CD、DVDはオクタヴィア・レコードより多数リリース。著書に『指揮者のひとりごと』(騎虎書房)などがある。

現在、日本フィルハーモニー交響楽団桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者、読売日本交響楽団特別客演指揮者、群馬交響楽団ミュージック・アドバイザー、九州交響楽団名誉客演指揮者、東京藝術大学、及びリスト音楽院名誉教授、東京文化会館音楽監督、長野県芸術監督団音楽監督、ロームミュージックファンデーション評議員などを務める。

オフィシャルHP: http://www.it-japan.co.jp/kobaken/

令和2年度(第77回)日本芸術院賞受賞者が発表され、指揮者の小林研一郎が恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しました。長年にわたる音楽芸術文化全体におよぶ、幅広く卓越した活動が評価されての受賞です。

日本芸術院サイト: https://www.geijutuin.go.jp/index.php?action_Info_Detail=1&ni=99

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