【公演レポ】チョン・ミョンフン指揮 東京フィル 祝1000回定期のトゥランガリーラ交響曲!

東京フィルハーモニー交響楽団6月定期演奏会をサントリーホールで聴いた。東京フィルハーモニー交響楽団は、6月に渋谷のオーチャードホールで定期演奏会の第1000回、サントリーホールで定期演奏会1001回目を迎え、千回目の記念すべき定期演奏会に名誉音楽監督のチョン・ミョンフンが登壇した。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

現代音楽の最高傑作と称されるメシアンのトゥランガリーラ交響曲(La Turangalîla-Symphonie)はチョン・ミョンフンにとって思い入れがある楽曲で、作曲者であるオリヴィエ・メシアン監修のもと1990年パリ・バスティーユ管弦楽団と録音したアルバムがある。チョン・ミョンフン盤は、トゥランガリーラ交響曲の改訂版の初出盤であり、愛聴家の間で今日においても高評価を得ている。

トゥーランガリラ交響曲は、オリヴィエ・メシアンの最初の大規模な管弦楽曲で、今日、メシアンの作品中最も頻繁に演奏されるもののひとつとなっている。同作は、10楽章からなる巨大な作品で、演奏時間は70分を超える。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

100名を超の管弦楽、独奏楽器にはピアノと、1928年にフランス人電気技師モーリス・マルトノによって発明された電子楽器「オンド・マルトノ」が加わる。独奏のピアノが務川慧悟、オンド・マルトノが原田節。コンサートマスターは依田真宣が務めた。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

親交があるメシアンからお墨付きを貰ったチョン・ミョンフン指揮のトゥランガリーラ交響曲だが、オーケストラが終始にわたり豪快に鳴り響く鮮烈な演奏を披露。チョン・ミョンフンは宇宙のような音域の巨作を的確かつ情熱的にリードし、東京フィルからエネルギーに満ちたカラフルな響きを作り出した。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

第2楽章「愛の歌1」ではオンド・マントルの音色を美しく際立せながらも愛を主軸としたテーマを霊妙に描写。第6楽章「愛の眠りの庭」ではピアノがナイチンゲールなど鳥の鳴き声を詞的に模した。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

オンド・マントルの名手である原田節による演奏は全体を通して丸びがある柔らかなもので音の成り立ち自体がユーモラス。母の懐のような愛情と癒しを感じさせる。若手の名手である務川慧悟は、流れるような指回しで鋭角的な音を際立たせて若いエネルギーとパッションが炸裂。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

対照的な両者の音の対比が同演奏会おいて、非常に有効な手段となっており、飽きさせず聴衆の耳目を惹きつけた。マエストロのオーケストラ団員と聴き手を集中させる手腕と技量は、いつもながら当代随一のものがある。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

また、日本人にとって馴染みにくいと言われる現代音楽だが、この曲に限って言えば、好対照なオンドマントルとピアノの登用。そして、色彩豊かなオーケストラ・サウンドの結合が同楽曲の人気の秘訣になっていることを確信させた。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

ラスト第10楽章では、これまでのエネルギーをさらに集約するような壮麗・豪快な響きで突き進み、圧倒的なフィナーレを迎えた。終演後は、大きな拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返され、大団円を迎えた。


撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

■東京フィルハーモニー交響楽団
第1001回サントリー定期シリーズ 

日時:2024年6月24日(月)19:00
会場:サントリーホール大ホール

指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
ピアノ:務川慧悟
オンド・マルトノ:原田 節

メシアン/トゥランガリーラ交響曲
公演時間:約80分(休憩なし)

6月定期演奏会 特設ページ
指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
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