【公演レポ】東京バレエ団『ラ・バヤデール』、「影の王国」コール・ドの超絶美!


東京バレエ団ナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』を公演初日である10月12日に観賞した。2009年に東京バレエ団のレポートリーとして採り入れられた傑作『ラ・バヤデール』が約5年ぶりに再演。東京バレエ団『ラ・バヤデール』は、ナタリア・マカロワによる名バージョンで、終幕の「神殿の崩壊」する場面が復活し、ドラマティックな演出で披露された。

同作は東京バレエ団にとって、2017年シュツットガルト(ドイツ南西部)公演、2018年オマーン(アラビア半島南東部)公演で大好評を博した想い入れ深い演目です。

舞台は古代インド。神殿の舞姫ニキヤ役の上野水香は、高度な技をさらに深化させた。表情も良く情感たっぷりなダンスで観客を大いに魅了した。

戦士ソロル役の柄本弾は、凛々しい役柄を快演。キレのよい踊りと回転技で女性ファンを喜ばせた。国王ラジャの娘ガムザッティ役の伝田陽美は、安定した技術とバレエで同役を好演。柄本ソロルとの息のあったグラン・パは見ごたえがあった。

第一幕、宮殿の侍女たちの踊り(ジャンぺの踊り)は綺麗なバレエで観客の心を高揚させた。

第二幕、『影の王国』が白眉。白いチュチュをまとった24人のニキヤの影が、39回のアラベスク・アロンジェを繰り返しながらヒマラヤ山脈から降りていくシーンがため息が出るほどの超絶美。

一糸乱れず一体化した<幻影>を表現したcorps de ballet(コール・ド・バレエ、群舞)が古典バレエの主役になることを証明した。同場面は稀有な名場面『白のバレエ』として観客の胸に深く刻まれた。

Photo: Koujiro Yoshikawa

■東京バレエ団ナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』

日時:10月12日(水)18:30
会場:東京文化会館

振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパの原振付による)
音楽:ルトヴィク・ミンクス
リハーサル指導:フリオ・ボッカ、オルガ・エヴレイノフ
舞台美術:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント

主な配役:

ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):柄本 弾
ガムザッティ(ラジャの娘):伝田陽美

ハイ・ブラーミン(大僧正):ブラウリオ・アルバレス
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):岡崎隼也
アヤ(ガムザッティの召使):居川愛梨
ソロルの友人:和田康佑
ブロンズ像:池本祥真

【第1幕】

侍女たちの踊り(ジャンペの踊り):加藤くるみ、中島映理子
パ・ダクシオン:金子仁美、中川美雪、涌田美紀、足立真里亜
政本絵美、加藤くるみ、榊優美枝、平木菜子
生方隆之介、大塚 卓

【第2幕】

影の王国(第1ヴァリエーション):中川美雪
影の王国(第2ヴァリエーション):三雲友里加
影の王国(第3ヴァリエーション):二瓶加奈子

指揮: フィリップ・エリス
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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