【公演レポ】反田恭平、新日本フィルハーモニー交響楽団と奏でたベートーヴェン・ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」

1月21日、新日本フィルハーモニー交響楽団「すみだクラシックへの扉 第4回」演奏会をすみだトリフォニーホールで聴いた。

指揮は、2023年4月から新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任する佐渡裕。ソリストは、先のショパン国際ピアノコンクールで日本人最高位となる第2位を受賞した反田恭平。

人気絶頂のピアニストの出演ということもあり、会場は超満員。
演奏前、佐渡裕が登場し満員の観客に向けて「お客様のお目当ては反田君でしょう。分かってますから。」と挨拶し、笑いをとった。続けて「新日本フィルは、子供の頃から小澤征爾さんが振っているのを見て憧れていたオーケストラ」と語り、新日本フィルとの音楽創りを楽しみにしている様子だった。

プログラムの前半は、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」。
反田の「皇帝」は、一音一音が際立った堂々たるベートーヴェン。テクニックが完璧でパワフルかつスケールが大きい演奏を披露した。

コンクール入賞後、多忙なスケジュールと急遽決まった代役というハンデキャップをものともしない名演に、会場のあちらこちらからスタンディングオベーションと熱狂的な拍手が贈られた。

アンコールはショパン:マズルカ op. 56-1。ショパンコンクール第2位を受賞した反田は「ショパン」での注目度が高いが、「ベートーヴェン」の演奏もダイナミックさと繊細さ、ゾクッとするような美しい旋律に満ちており、今後の活躍がますます楽しみな存在だと実感。

後半は、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」。
堂々たる体躯から発せられる佐渡裕の指揮は迫力がありパワフルで見ごたえがあった。
佐渡の情熱的で的確なタクトにより、新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏は色彩豊かなものとなった。「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の世界へと導かれてゆくようなロマンティックな美音を場内いっぱいに響かせた。ヴィオラ・チェロ・コントラバスといった中低音部の響きは重厚感と深みがあり、名曲に華を添える役割を果たした。

コンサートマスター崔文洙のヴァイオリン・ソロが格別だった。甘美で透明感溢れるヴァイオリン・ソロで、「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の語り手、シェエラザードの妖艶さと世界観を表現し、観客の涙を誘った。

アンコールはニューイヤーコンサートの定番、ヨハン・シュトラウスII世のポルカ「雷鳴と稲妻」。ポルカやワルツを演奏することが多いウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督の任にある佐渡らしい選曲。佐渡の的確な指揮により、情熱的で華やかな演奏が披露され、コンサートの幕は下ろされた。

©T.Tairadate

■新日本フィルハーモニー交響楽団
すみだクラシックへの扉 第4回

2022.01.21 FRI 14:00 開演
すみだトリフォニーホール

指揮:佐渡裕
Yutaka Sado, conductor
ピアノ:反田恭平
Kyohei Sorita, piano

プログラム:

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op. 73 「皇帝」
Beethoven:Piano Concerto No. 5 in E-Flat Major, op. 73, “Emperor”

リムスキー=コルサコフ:シェエラザード op. 35
Rimsky-Korsakov:Scheherazade, op. 35

【完売御礼】すみだクラシックへの扉 #04(金) | [公式]新日本フィルハーモニー交響楽団—New Japan Philharmonic—
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