【公演レポ】小林研一郎、80th 祝祭演奏会ラストで“炎の指揮者”の集大成を飾る!

8月30日、KOBAKEN MUSIC FESTIVAL 2020 マエストロ小林研一郎80th 祝祭演奏会 VOL.2
「小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念 チャイコフスキー交響曲 全曲チクルス」最終公演であるGALAを東京・サントリーホールで聴いた。

管弦楽は長年“炎の指揮者”と呼ばれる小林研一郎と音楽を創り上げてきて日本フィルハーモニー交響楽団。コンサートマスターは、木野 雅之。

演奏曲目は前半はオペラ「エフゲニー・オネーギン」から「ポロネーズ」と「弦楽セレナーデ」。後半が「ヴァイオリン協奏曲 」と序曲「1812」で、最終公演を飾るにふさわしい充実したプログラムだった。

チャイコフスキーの全10作のオペラの中では最も頻繁に上演されるオペラ「エフゲニー・オネーギン」からの「ポロネーズ」は、チャイコフスキーならではの躍動感とオーケストレーションが冴え渡り、豪華で華やかな舞踏会を連想するような甘美な演奏を披露した。

「弦楽セレナーデ」は、チャイコフスキー自身が敬愛していたモーツァルトの精神に立ち返る意図から書かれた曲で、ゆったりとしたテンポで、日本フィルハーモニー交響楽団弦楽奏者による美旋律を堪能した。

特に第2楽章の第1ヴァイオリンが奏でる親しみやすいメロディーが有名だが、マエストロ小林研一郎の名指揮によりヴァイオリンという楽器の素晴らしさとポテンシャルの高さを再認識させられた。

後半の「ヴァイオリン協奏曲」は、ロングドレスを纏った神尾真由子がソロ奏者として登場。艶やかで透明感溢れるヴァイオリンを披露し、マエストロと息が合った演奏で魅了された。

特に最終章である第3楽章が圧巻で、神尾と日本フィルによるエネルギッシュな演奏は見事だった。小林研一郎の円熟したタクトに秘められた激しい情熱と情感に呼応したドラマティックなサウンドがホール全体に鳴り響いた。

最後に演奏されたチャイコフスキーの祖国の勝利を描いたスペクタクル大作、序曲「1812」は、祝典序曲「1812」とも呼ばれる本フェスティバルのラストを飾るに相応しい名曲。

大規模なコーダは、サントリーホールのLA&RAブロック上段左右にトランペットやトロンボーンなど10本のバンダが配置され、鐘が響き大砲が轟く凄まじいフィナーレを迎えた。迫力と凄みに圧倒された。

巨匠として確固たる地位を刻み続けてきた“炎の指揮者”コバケンの集大成となる指揮と日本フィルハーモニー交響楽団の演奏により、観客席は熱狂の渦と感動に包み込まれた。

日本人として450回というサントリーホールで最も多く指揮台に登場してきたマエストロは終演後、スタンディングオベーションで迎えられ、観客から大きな喝采を受けていた。さらなるご活躍を期待したい。

撮影:堀田力丸

【アーカイブ視聴のご案内】

●2021年4月7日(水) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第1番『冬の日の幻想』、交響曲第4番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bxe9rn3h49sz/

ライブ配信  : 2021年4月7日(水)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月7日(水)終演後から2022年4月7日(木)23:59まで

●2021年4月13日(火) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第2番『小ロシア』、交響曲第5番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bx0k6fxszstq/

ライブ配信  : 2021年4月13日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月13日(火)終演後から2022年4月13日(水)23:59まで

●2021年4月27日(火)公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第3番『ポーランド』、交響曲第6番『悲愴』

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by0m876r8wbq/

ライブ配信  : 2021年4月27日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月27日(火)終演後から2022年4月27日(水)23:59まで

●2021年7月13日(火)公演 19:00開演

演奏曲目   : ピアノ協奏曲第1番、マンフレッド交響曲

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by5ktu79khbs/

ライブ配信  : 2021年7月13日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年7月13日(火)終演後から2022年7月13日(水)23:59まで

●2021年8月30日(月)公演 19:00開演

演奏曲目   : オペラ『エフゲニー・オネーギン』から「ポロネーズ」、弦楽セレナーデ、ヴァイオリン協奏曲、序曲「1812」

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by876bgr5b2g/

ライブ配信  : 2021年8月30日(月)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年8月30日(月)終演後から2022年8月30日(火)23:59まで

公式サイト  : https://kobaken80thmusicfes.com

主催     : マエストロ小林研一郎80th祝祭演奏会実行委員会
特別協賛   : ローム株式会社/株式会社オービック
協賛     : 株式会社千代田テクノル/株式会社重松製作所
富士テレコム株式会社/相互整美株式会社
協力     : ジャパン・アーツ/日本フィルハーモニー交響楽団/サントリーホール

■出演者プロフィール

●小林研一郎(指揮) Kenichiro Kobayashi

東京藝術大学音楽学部作曲科および指揮科を卒業。第1回ブダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞受賞。これまでに世界有数の音楽祭に出演するほか、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、アーネム・フィルハーモニー管弦楽団などの日本公演の舵をとり、日本フィルハーモニー交響楽団の海外公演を成功へと導いた。文化を通じた長年にわたる国際交流や社会貢献により、2011年に文化庁長官表彰、2013年には旭日中綬章を授与、また、ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、星付中十字勲章、ハンガリー文化大使の称号を授与された。

作曲家としても数多くの作品を書き、1999年には日本・オランダ交流400年記念の委嘱作品、管弦楽曲『パッサカリア』を作曲、ネーデルランド・フィルで初演されると、聴衆から熱狂的な喝采を以て迎えられた。同作品はそれ以降も様々な機会に再演されている。

2005年からは社会貢献を目的とした「コバケンとその仲間たちオーケストラ」で活動趣旨に賛同するプロ、アマチュア、学生などのボランティアメンバーと共に全国でチャリティ公演も行っている。音楽に対する真摯な姿勢と情熱的な指揮ぶりは「炎のコバケン」の愛称で親しまれ、国内外オーケストラへの客演も多く、名実ともに日本を代表する指揮者である。

CD、DVDはオクタヴィア・レコードより多数リリース。著書に『指揮者のひとりごと』(騎虎書房)などがある。

現在、日本フィルハーモニー交響楽団桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者、読売日本交響楽団特別客演指揮者、群馬交響楽団ミュージック・アドバイザー、九州交響楽団名誉客演指揮者、東京藝術大学、及びリスト音楽院名誉教授、東京文化会館音楽監督、長野県芸術監督団音楽監督、ロームミュージックファンデーション評議員などを務める。

オフィシャルHP: http://www.it-japan.co.jp/kobaken/

令和2年度(第77回)日本芸術院賞受賞者が発表され、指揮者の小林研一郎が恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しました。長年にわたる音楽芸術文化全体におよぶ、幅広く卓越した活動が評価されての受賞です。

日本芸術院サイト: https://www.geijutuin.go.jp/index.php?action_Info_Detail=1&ni=99

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