7月2日、日本最古のオーケストラである東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会をサントリーホールで聴いた。指揮は、アジアが生んだ巨匠で同楽団名誉音楽監督のチョン・ミョンフン。コンサートマスターは三浦章宏。
マエストロ チョン・ミョンフンが東京フィルの「スペシャル・アーティスティック・アドバイザー」として就任してから、今年が20年目。マエストロ チョンは、2020年2月東京フィル定期オペラ演奏会形式『カルメン』公演の後、新型コロナウイルス感染症による渡航制限のため、残念ながら1年以上来日できなかった。
今回の7月定期演奏会はマエストロ チョン・ミョンフンが1年4ヵ月ぶりの久しぶりの来日となり、プログラムはブラームス交響曲第1番と交響曲第2番の披露となった。
前半のブラームス交響曲第1番で、マエストロ チョンは、自然体で均整がとれた指揮ぶりで終始オーケストラをリードしていった。円熟したタクトにより重厚で威厳があるブラームスの世界観が構築された。
後半のブラームス交響曲第2番は、圧巻の名演で東フィルファンを大いに喜ばせた。とりわけ最終楽章はダイナミックでブラームスの曲で珍しいほど燃焼度が高かった。
自然体で音楽の真意を導き出すマエストロ チョン・ミョンフンの名指揮により、オーケストラ自身の音の厚みとうねりが増し、凄みがある音が観客席に飛び込んできた。ブラームスの内面の燃え盛るような熱い炎を感じた。
久々の名誉音楽監督との再開に、東フィル奏者の本気さと興奮が、客席にダイレクトに伝わってくる演奏。生でしか体感できない手に汗にぎる素晴らしい演奏に観客席は興奮に包まれた。
終焉後、マエストロへのソロ・カーテンコールがあった。東京フィルを「家族」と呼ぶチョン・ミョンフンが東京フィル奏者全員をステージに再び呼び戻して一緒に拍手喝采を受けていた。
2階から1階を見渡すと7~8割の観客が立つて拍手を贈っていた。極めて高い比率でのスタンディングでの拍手喝采は、演奏会の成功を証明するに余りあるものだった。9月定期演奏会のブラームス交響曲第三番と第四番の披露も今から非常に楽しみです。
撮影=酒巻俊介/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
東京フィルハーモニー交響楽団 第956回サントリー定期シリーズ
7月2日(金)19:00 サントリーホール
指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
コンサートマスター:三浦章宏
― ブラームス 交響曲の全て ―
ブラームス/交響曲第1番
ブラームス/交響曲第2番
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