【公演レポ】ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、4年振りの来日でゴージャスな黄金の響き!

11月3日ミューザ川崎シンフォニーホールにてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の来日公演を聴いた。

ミューザ川崎シンフォニーホールのスペシャル・オーケストラ・シリーズの一環として行われた同コンサート。世界3大オーケストラと称され注目されるBPO(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)、VPO(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)、RCO(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)が一挙に今秋来日するがその中でも最も早い来日となった。

オランダの首都アムステルダムの名門オーケストラ、ロイヤル・コンセルトヘボウにとって4年振りの来日公演。初日の川崎では、ビゼー 交響曲第1番とドヴォルザーク 交響曲第9番 ホ短調「新世界より」が演奏された。

フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーは、最後の作品で歌劇「カルメン」が初演された1875年に36歳という若さで亡くなったことから、不遇の作曲家であったと語られる。ビゼー 交響曲第1番はビゼーが生前には一度も演奏されなかった17歳の時の作品。初演は、作品完成の80年後の1935年2月26日でスイスのバーセルにて演奏された。同交響曲は、それまではパリ音楽院図書館に死蔵されていた。

ビゼー 交響曲第1番は、名匠ファビオ・ルイージのリズムカルで的確な指揮により、コンセルトヘボウならではふくよかでゴージャスな響きが披露された。第2楽章オーボエが訴えかけるように奏でる美しい旋律。イングリッシュホルンの深い味わいも非常に奥ゆかしく上品この上ない。


©N.Ikegami

第4楽章はジョージ・バランシン振付の人気バレエ作品『シンフォニー・イン・C』(Symphony in C)で著名な作品。リズムカルな旋律と磨き抜かれた管楽器の響きが卓抜していた。モティーフを組み合わせながらクライマックスへ築く構成が美しく、各奏者は個々の調べを奏でながら、驚くべき一体感で観客を魅了した。


©N.Ikegami

後半は、ドヴォルザークの 交響曲第9番 ホ短調「新世界より」。新世界交響曲は非の打ちどころがない輝かしい名演。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は精緻かつ完璧な技巧で気品溢れる美音をミューザ川崎シンフォニーホール全体に響かせた。

アンコールは、チャイコフスキー 歌劇「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ。チャイコフスキー130回目の命日である11月6日が近いこともあり、粋な選曲が素晴らしい。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、1988年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(ACO)から改名したがロイヤルと改名してから、「名は体を表す」の諺通り全体的に音のゴージャスさと温かさが増したように感じられる。オーケストレーションが冴え渡り、黄金の響きとなったチャイコフスキーのアンコールは心躍るような演奏で、万雷の拍手が指揮者とオーケストラに贈られた。


©N.Ikegami

■ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団来日公演

日時:2023.11.3(金・祝)17:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ファビオ・ルイージ

曲目:

ビゼー: 交響曲第1番 ハ長調
ドヴォルザーク: 交響曲第9番 ホ短調「新世界より」 Op.95

[アンコール曲]
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ミューザ川崎シンフォニーホールは、「音楽のまち・かわさき」のシンボルとして2004年に開館したコンサートホールです。
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