【公演レポ】広上淳一&札幌交響楽団、「札響の第9」 in Kitara

12月11日、札幌交響楽団特別演奏会「札響の第九」が札幌コンサートホール Kitara で行われた。 指揮者は友情客演指揮者の広上淳一。

ワーグナー「ジークフリート 牧歌」でコンサートはスタート。1870年のクリスマスの早朝ワーグナーの邸宅で前年に誕生した男児ジークフリートを産んでくれた妻のために作曲された祝いの曲である。冒頭のホ長調の旋律は乙女心を描き、後半の変イ長調で奏される旋律は愛の幸せと称され喜び悦びを表す大作で、札響の演奏は満員の観客の心を捉えていた。

ベートーヴェン交響曲第9番は、ベートーヴェン自身はタイトルをつけなかったが、日本では略称として「第九」(だいく)とも呼ばれ、年末恒例の演目となっている。第二楽章展開部はティンパニのソロが活躍し、聞き応えがあった。指揮者の広上淳一は小柄ながらキレのよい引き締まった指揮ぶりで、札幌交響楽団から推進力と迫力溢れる響きを引き出していった。

第四楽章が低弦が「歓喜の主題」を紡ぎ出し、バリトン独唱が登場。
日本を代表するバスの一人である妻屋秀和の独唱は、病み上がりとは思えない見事な低音を聴かせてくれた。

ソプラノ秦茂子、メゾソプラノ清水華澄 、テナー吉田浩之 、バス妻屋秀和の四者四様の際立った歌唱と73名の札響合唱団のすばらしい歌声が広いコンサートホールいっぱいに響き渡った。

クライマックスでは見事な盛り上がりを見せたオーケストラ・ソリスト・合唱の全てが高水準であり、観客の反応も上々で拍手が鳴りやまなかった。札響合唱団は「人類愛」と「神への信仰」を豊かに歌い、こころの響き合いが共有された。

年末を飾るにふさわしい札響の第九は、満員の観客の心を大いに魅了し、絶賛を博した。今年最後の札響の第九名演奏と4名の素晴らしき独唱と73名の札幌シンフォニーコーラスを全身に浴びる機会に感謝する演奏会となった。

写真提供:札幌交響楽団

■札幌交響楽団特別演奏会:
「札響の第9」 in Kitara

日時:12月11日(日)13:00~
会場:札幌コンサートホールKitara

指揮者 / 共演者:

指揮 / 広上 淳一
ソプラノ / 秦 茂子
メゾソプラノ / 清水 華澄
テノール / 吉田 浩之
バス / 妻屋 秀和
合唱 / 札響合唱団 ほか

曲目:

ワーグナー ジークフリート牧歌
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱付き」

「札響の第9」 in Kitara | 札幌交響楽団 Sapporo Symphony Orchestra-「札響」
2022年12月10日(土)17:00~、12月11日(日)13:00~ / 札幌コンサートホールKitara
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