【公演レポ】小林愛実、読売日本交響楽団と奏でたショパン・ピアノ協奏曲で聴衆の心を大いに揺さぶる

12月14日、読売日本交響楽団 第613回定期演奏会をサントリーホールで聴いた。
指揮は、緻密な譜読みで高い評価を得ている高関 健。

ピアノは、先日行われた「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で第4位入賞を果たし凱旋帰国した小林 愛実。小林がショパンコンクール本選でも弾いた「ショパン・ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」が、コンクール後、東京で初めて演奏されることとなり、多くの聴衆がサントリーホールに詰めかけた“凱旋”演奏会となった。

小林は10歳の頃から、読響と共演を重ねてきた。相性が良い読響とどのような演奏を繰り広げられるという点で大いに注目されたコンサート。

プログラム前半の「ショパン:ピアノ協奏曲第1番」。 小林のピアノは、弱音が素晴らしく透明感に溢れていた。第一楽章・第二楽章を通して、清く美しく繊細 かつ 凛とした演奏は、観客の心を揺さぶり涙を誘った。

最終章は、テンポ早めで躍動感があるスリリングな演奏となり、一つ一つの音から作品の背景や作曲家の想いというものがよく伝わってきた。

この曲は、ピアノ独奏部に対してオーケストレーションが貧弱であるとしばしば批判されるが、読売日本交響楽団の演奏は、弦の音色と厚みが素晴らしく、ショパン・ピアノコンチェルトの真意と魅力を伝えるに余りあるものだった。

アンコールは、「ショパン:前奏曲 Op.28 第17番 変イ長調」が披露された。

後半の「プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調 作品100」は、プロコフィエフの作品の中でも最も人気のある作品のひとつである。同曲は、第2次世界大戦中わずか2ヶ月で書き上げられレニングラード解放記念祝賀祭にて、作曲家自身の指揮で初演された。

高関健の巧みなリードにより、読売日本交響楽団の演奏は、しっかりした構成と豊かな楽想、叙事詩的壮麗さといったものが、プロコフィエフの個性とよく混じりあい、会心の演奏として披露された。

©読売日本交響楽団

■読売日本交響楽団 第613回定期演奏会
2021 12.14〈火〉 19:00  サントリーホール

指揮=高関健
ピアノ=小林愛実

モーツァルト:歌劇「イドメネオ」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11
プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調 作品100
※当初の発表から、出演者と曲目が一部変更になりました。

第613回定期演奏会 | コンサート | 読売日本交響楽団
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