【公演レポ】アンドレア・バッティストーニ&東京フィル、ピアソラ「シンフォニア・ブエノスアイレス」日本初演で情熱的な演奏を披露!


日本最古にして最大規模のプロオーケストラである東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会を5月12日、東京オペラシティ コンサートホールで聴いた。

東京オペラシティ コンサートホール(正式名「東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル」 東京都新宿区西新宿三丁目 座席数:1632席  オーケストラコンサートの場合、張り出し舞台を利用するので1568席になる)は、2021年1月~4月まで改修のため休館となっていた。

5月12日の東京フィル5月定期はコンサートホールとして最初の4ヵ月ぶりの有観客公演でした。改修の内容はバックステージや設備面が中心だったようで観客席からは目立つた変化は感じられなかったが、東京フィルと観客にとって久々の東京オペラシティコンサートホール。すごぶる爽快な演奏会となった。

5月定期演奏会の前半のプログラムは、タンゴの巨匠「ピアソラ」のシンフォニア・ブエノスアイレス。ピアソラ100歳生誕を記念した、ピアソラのフル・オーケストラ楽曲の記念すべき日本初演です。

アンドレア・バッティストーニの指揮は、爽快かつ明快、ダイナミックでエネルギッシュ。緊急事態宣言発出のため、5月6日平日の午後のコンサート(お話つき)では残念ながら指揮する機会がなくなってしまったが、その鬱憤を晴らすかのような情熱的なタクトで観客を大いに魅了した。

平日の午後のコンサート中止、久々の東京オペラシティ公演という要素が重なり、本場南米のアルゼンチンタンゴに負けない爆発的な熱量と、今にも踊り出しそうな解放感あふれる指揮は、音楽の魅力と楽しさをダイレクトに伝えるのに余りあるものだった。

コンサートマスターの依田真宣は、イタリアオペラアカデミーでオペラの巨匠リッカルド・ムーティから2週間みっちりと指導を受けた後だけあって真剣なまなざしでキレのよいヴァイオリンを披露した。


東京フィルの演奏は、アルゼンチンタンゴから呼び起こされる刺激的な興奮、情熱的な艶やかさといった要素が絡み合い、色彩豊かで美しいものだった。とりわけ第三楽章はスリリングで、たたみかけるような迫力ある音色に魅了された。

オーケストラ内で活躍した小松亮太と北村聡による卓越したバンドネオン演奏は新鮮そのもの。オーケストラに新しい息吹を吹き込みクラシック音楽の新たな楽しみ方を提示した。

クラシック作曲家を志したタンゴの巨匠ピアソラが、タンゴから離れた純粋なクラシック作品として書いた作品の日本初演を見事成功させたマエストロ・バッティストーニ!
選曲センス抜群で、今後の動向も要チェックです。

11月の定期演奏会では自身が作曲したフルート協奏曲『快楽の園』が日本初演で披露する予定となっている。こちらも大いに期待したい。
https://www.tpo.or.jp/concert/20211104-01.php


後半のプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」からの抜粋も素晴らしかった。
アンドレア・バッティストーニは東京フィルの音を以前のインタビューで「甘美でありながら同時に輝いている温かくて明るい音」と評していたが、非常にクリアで柔軟性が高いオーケストレーション。木菅・金管奏者の職人芸にも魅了された一夜だった。

第138回東京オペラシティ定期シリーズ
5.12(水)19:00開演 東京オペラシティコンサートホール

指揮:アンドレア・バッティストーニ
バンドネオン:小松 亮太、北村 聡
コンサートマスター:依田 真宣

ピアソラ:
シンフォニア・ブエノスアイレス Op. 15(日本初演)(約30分)
I. モデラート—アレグレット II. レント:コン・アニマ III. プレスト・マルカート

プロコフィエフ:
バレエ音楽『ロメオとジュリエット』組曲より(約50分)
モンタギュー家とキャピュレット家(第2組曲 第1番)
少女ジュリエット(第2組曲 第2番)
民衆の踊り(第1組曲 第1番)
仮面(第1組曲 第5番)
ロメオとジュリエット(第1組曲 第6番)
ティボルトの死(第1組曲 第7番)
別れの前のロメオとジュリエット(第2組曲 第5番)
修道士ローレンス(第2組曲 第3番)
ジュリエットの墓の前のロメオ(第2組曲 第7番)

主催: 公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)|
独立行政法人日本芸術文化振興会

東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra 公式サイト
東京フィルハーモニー交響楽団公式サイト。コンサートスケジュールやチケット購入、CD・DVD情報、クラシック初心者向けコンテンツなど。
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