【ゲネプロ】新国立劇場バレエ団、夢幻性と時空を超えた美しさに魅せられた『ラ・バヤデール』

4月26日(金)新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」ゲネプロ(舞台稽古見学会)を鑑賞した。2000年に牧阿佐美舞踊芸術監督の改訂振付第1作として新制作された『ラ・バヤデール』。豪華で古代インドを舞台としたオリエンタルな舞台美術とスペクタクルな舞台展開が見どころの演目だった。

寺院の舞姫ニキヤと騎士ソロルの恋と、悲哀を描いた一大スペクタクル。プティパ黄金期の代表作です。

インドの寺院に仕える舞姫ニキヤを踊った柴山紗帆は、卓越した透明感・優しさに溢れた柔らかい動きで丹念な踊りを作り上げた。悲しみを湛えながらも芯のある女性としての姿をしっかりとした技術で表現していた姿が印象的だった。


撮影:瀬戸秀美

初めてソロル役に挑戦した速水渉悟は芸術選奨文部科学大臣新人賞・中川鋭之助賞受賞の期待のホープ。好青年そのものといった凛々しさみなぎる戦士役を好演したが、溌剌としたジャンプや回転技が素晴らしい。身分が高く美しいガムザッティに心揺れる役柄と演技にも注目が集まった。


撮影:瀬戸秀美

インドを治めるラジャ王の娘 ガムザッティ役の木村優里は、第二幕結婚式のシーンで目が覚めるような華麗なバレエを披露。卓越した美貌とスタイルを生かした華やかなソロ。ソロルとのアダージョが絶品だった。


撮影:瀬戸秀美

第2幕、黄金の神像がガムザッティとソロルの婚約をお祝いするキャラクターとして登場。踊るシヴァ神をイメージしたような振付と独特の手の使い方に惹きつけられた。

蛇に噛まれて命を落としたニキヤがソロルと再会する影の王国のコールドは、白いバレエの名場面。


撮影:瀬戸秀美

純白のチュチュをまとった32人の精霊たちが、アラベスクを繰り返しながら山から下りてくるシーンが圧巻だった。えもいわれぬ夢幻性と時空を超えた美しさは、”古典バレエ屈指の名場面”と呼ぶにふさわしい芸術で、観客から大きな感動の拍手が寄せられた。

新国立劇場バレエ団は、2025年7月24日(木)から27日(日)の日程で、英国ロンドンのロイヤルオペラハウスでロマンティック・バレエの代表作『ジゼル』公演を行う。自ら海外公演に挑戦するのは初の試み。同バレエ団の更なる飛躍が期待される。

■2023/2024シーズン
新国立劇場バレエ団 ラ・バヤデール
La Bayadère

日程:
2024年4月26日(金)

会場:新国立劇場オペラパレス

スタッフ

【振付】マリウス・プティパ
【演出・改訂振付】牧 阿佐美
【音楽】レオン・ミンクス
【編曲】ジョン・ランチベリー
【美術・衣裳・照明】アリステア・リヴィングストン
【照明】磯野 睦

キャスト

【ニキヤ】柴山紗帆
【ソロル】速水渉悟
【ガムザッティ】木村優里

【指揮】アレクセイ・バクラン
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ラ・バヤデール
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