【公演レポ】新国立劇場バレエ団 ジゼル<新制作> より 2022/2023シーズンが開幕!

2022/2023シーズン 新国立劇場開場25周年記念公演 新国立劇場バレエ団 ジゼル<新制作>を10月28日に観賞した。

英国ロイヤルバレエで世界的なバレリーナとして活躍した吉田都 芸術監督が初めて演出を担当した話題作。吉田と同じく英国ロイヤルバレエで活躍した振付家アラスター・マリオットが改訂振付を担当した。

ジゼル役は、今年プリンシパルダンサーに昇格した木村優里。アルブレヒト役はプリンシパルダンサーの福岡雄大が務めた。

ジゼルは、中世ドイツの村を舞台に、農民に変装した恋人アルブレヒトに裏切られ、失意・狂乱のうちに亡くなった村娘ジゼルが、亡霊となってからもアルブレヒトを森の精霊から守る愛の物語。

ジゼル役の木村優里は、1幕前半 幸福感に満ち、恋している乙女役をチャーミングなバレエで可憐に表現。アルブレヒトと二人によるパ・ド・ドゥは息がピッタリと合っていて、踊りが躍動。観る者の目を虜にした。

第一幕後半、狂乱の場では悲痛に満ち、錯乱のうちに死んでしまう木村ジゼルのバレエと演技・表情が卓越しており、目が離せなかった。

福岡雄大は、ジゼルを失ない悲しみと悔恨にくれるアルブレヒト役を快演。力強い跳躍やスピードのある回転でも観客を魅了した。罪の意識に苛まれ、亡きジゼルに許しを請うシーンが感動的で観客の涙を誘った。

ウィリたちの標的にされ、死を告げられ踊るシーンの演技は見応えがあった。その他のシーンもドラマティックで演劇性があり、ヨーロッパのエスプリを感じさせた。

ヒラリオン役の木下嘉人は、無精ひげを蓄え、ジゼルに不器用な想いを寄せる役柄を好演。第二幕、ウィリに囲まれた中でも、目が覚めるようなイキのよいダンスを見せてくれた。

ミルタ役の吉田朱里は、確かな技術で威厳に満ちた女王役を演じた。ミルタ役をソロで踊った吉田は猛スピードで舞台を爪先立ちで横切る高難度のバレエを披露。その後のソロも立派なものだった。

ウィリによるcorps de ballet(コール・ド・バレエ、群舞)は、繊細さと美しさを併せ持つ芸術。リトアニアの「十字架の丘」からヒントを得て創り上げられたディック・バードの美術は、19世紀のロマンティック・バレエ 不朽の名作『ジゼル』に華を添えた。

新国立劇場開場 25周年記念&新国立劇場バレエ団 2022/2023シーズン 開幕を飾るにふさわしい作品だった。

撮影:鹿摩隆司

■新国立劇場  開場25周年記念公演
新国立劇場バレエ団  ジゼル<新制作>

日時:2022年10月28日(金)19:00
会場:新国立劇場 オペラパレス

スタッフ:

【振付】ジャン・コラリ / ジュール・ペロー/
マリウス・プティパ
【演出】吉田 都
【改訂振付】アラスター・マリオット
【音楽】アドルフ・アダン
【美術・衣裳】ディック・バード
【照明】リック・フィッシャー

キャスト:

ジゼル:木村優里
アルブレヒト:福岡雄大
ヒラリオン:木下嘉人
ミルタ:吉田朱里

指揮:アレクセイ・バクラン
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

ジゼル
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