【ゲネプロ】新国立劇場 ヴェルディオペラ『リゴレット』<新制作>は世界水準の名舞台!

新国立劇場 2022/2023 シーズンオペラ ジュゼッペ・ヴェルディ作曲『リゴレット』<新制作>のゲネプロ(舞台稽古見学会)を5月16日新国立劇場オペラハウスで観賞した。

ヴェルディ中期の傑作にして人気作の『リゴレット』が新国立劇場で上演されるのは約10年ぶりなった。<新制作>での上演ということもあり、オペラパレスは待ちわびたファンの「ブラヴォー」の声が鳴り響き、大いに盛り上がった。

エミリオ・サージの演出は、リゴレットの孤独と公爵の官能のコントラストを鮮明に描いた。美しい舞台装置・衣裳・照明の巧みな活用により、登場人物の心理的描写が見事にクローズアップされた世界水準の名舞台だった。

リゴレット役のロベルト・フロンターリは、ヴェルディ・バリトンとして世界を飛び回る名バリトン。リゴレット役は、歌・演技ともに高い技術が求められる難役だが、声の表現力と舞台の演技力が卓越していた。

純粋な娘を救うために父親として苦悩する場面や娘の返還を訴える劇的なアリア「悪魔め、鬼め!」に心打たれた。

リゴレットの愛娘ジルダ役のハスミック・トロシャンは、花のような美声を誇る新世代のコロラトゥーラ・ソプラノ。第1幕のアリア「慕わしき人の名は」で、透き通るような情感豊かなソプラノを披露し、観客の涙を誘った。

マントヴァ公爵役のイヴァン・アヨン・リヴァスは、もっとも勢いのあるテノールの一人。華やかな抜けのよい美声を客席いっぱいに響かせた。第3幕の有名なカンツォーネ「女は気まぐれ(女心の歌)」で「ブラヴォー」の喝采を浴び、初登場の新国立劇場で歓迎を受けた。

海外からの主役歌手3名がこれ以上にないキャスティング!当代随一の名歌手として大活躍した。日本人歌手は男性合唱団、スパラフチーレ役の妻屋秀和、モンテローネ伯爵役の須藤慎吾らが存在感ある歌唱と演技で舞台を大いに盛り立てた。

新国立劇場に25年ぶりに登場した名匠マウリツィオ・ベニーニの指揮は東京フィルハーモニー交響楽団を卓出したオペラ・オーケストラとして燃え立たせ、次々と美しい黄金のような旋律を響かせた。情熱的な指揮ぶりで手に汗握る名舞台を支えた手腕はさすがだった。

■新国立劇場 2022/2023 シーズンオペラ
ジュゼッペ・ヴェルディ
リゴレット<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

日時:2023年5月16日
会場:新国立劇場 オペラパレス

スタッフ:

【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演 出】エミリオ・サージ
【美 術】リカルド・サンチェス・クエルダ
【衣 裳】ミゲル・クレスピ
【照 明】エドゥアルド・ブラーボ
【振 付】ヌリア・カステホン
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト:

【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
【ジルダ】ハスミック・トロシャン
【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
【スパラフチーレ】妻屋秀和
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
【ジョヴァンナ】森山京子
【マルッロ】友清 崇
【ボルサ】升島唯博
【チェプラーノ伯爵】吉川健一
【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
【小姓】前川依子
【牢番】高橋正尚

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

リゴレット
新国立劇場のオペラ公演「リゴレット」のご紹介。 新国立劇場では名作から世界初演の新作まで、世界水準の多彩なオペラを上演しています。

▽『リゴレット』演出家エミリオ・サージインタビュー

▽新国立劇場オペラ『リゴレット』指揮 マウリツィオ・ベニーニ ショートインタビュー

▽新国立劇場オペラ『リゴレット』リゴレット役 ロベルト・フロンターリ ショートインタビュー

▽新国立劇場オペラ『リゴレット』ジルダ役 ハスミック・トロシャン ショートインタビュー

▽新国立劇場オペラ『リゴレット』マントヴァ公爵役 イヴァン・アヨン・リヴァス ショートインタビュー

▽新国立劇場 オペラ『リゴレット』オペラトーク

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