【ゲネプロ】池田理沙子&奥村康祐ペアが躍動した新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』

12月21日、新国立劇場バレエ団が贈る冬の叙景詩『くるみ割り人形』最終舞台稽古(ゲネラールプローベ)を観賞した。


撮影:長谷川清徳

『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーが手掛けた最後のバレエ音楽で、1892年に露サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された。クリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語で、毎年クリスマス・シーズンには世界中のバレエ団で上演される人気演目。

バレエ『くるみ割り人形』の原作は、アレクサンドル・デュマ・ペールによるフランスの童話『はしばみ割り物語』(1844年)となっている。

2017年に初演されたウエイン・イーグリング版は、新国立劇場バレエ団にとってワイノーネン版、牧阿佐美版に続く3番目の版となっており、華麗でスピーディーな振付、上品で華やかな美術や衣裳が特徴的な年末年始を飾るにふさわしい幸せいっぱいの舞台だった。

同版で最も難易度が高い役柄を演じたのが、プリンシパルダンサーの奥村康祐。「ドロッセルマイヤーの甥」「くるみ割り人形」「王子」という通常2人のダンサーで踊られる役を1人3役で見事に踊り分けた。奥村の恵まれたスタイルと確かなスキル、流麗なターンは観客を楽しませる魅力に満ちていた。


撮影:長谷川清徳

もう1人の主役である「クララ」と「金平糖の精」役を踊ったのは、池田理沙子。おとぎの国へと旅をするクララは池田のはまり役。精確な動きは透明感にあふれ、澄んだ水のような清らかさがあった。

「くるみ割り人形」前半最大の「魅せ場」である雪の結晶のコールド・バレエは、空前絶後の美しさ!難度が高いステップとシャープな動きは、練度が増し、更に進化した印象を持った。純白の「雪の世界」を鮮やかに再現したバレエに息を呑んだ。


撮影:長谷川清徳

中国、アラビア、ロシア、スペインなど世界中のダンサーたちによる様々な個性的な民族舞踏は見応えあり。「くるみ割り人形」後半「魅せ場」である花のワルツの群舞は、東京フィルハーモニー交響楽団による華麗なワルツの調べに乗って、ダンサー達は大輪の花を咲かせた。

最後にクララはこんぺい糖の精となり、王子になった甥とともにパ・ド・ドゥを踊った。金平糖の精と王子によるグラン・パ・ド・ドゥは、絢爛華麗な美しさに溢れていた。


撮影:長谷川清徳

■2023/2024シーズン 新国立劇場バレエ団
『くるみ割り人形』
The Nutcracker and the Mouse King

最終舞台稽古日:2023年12月21日
会場:新国立劇場オペラパレス

スタッフ

【振付】ウエイン・イーグリング
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【美術】川口直次
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二

キャスト

【クララ/こんぺい糖の精】池田理沙子
【ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子】奥村康祐

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合唱】東京少年少女合唱隊

くるみ割り人形
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