6月17日読売日本交響楽団第258回土曜マチネーシリーズを池袋・東京芸術劇場で聴いた。コンサートマスターは、長原幸太。欧州で活躍しているイギリスの新鋭ケレム・ハサンが読響に初登場。
©読響 撮影=藤本崇
前半は、2018年リーズ国際コンクールで優勝した新生ピアニスト エリック・ルーがショパン ピアノ協奏曲第2番を弾いた。
©読響 撮影=藤本崇
フレデリック・ショパン作曲のピアノ協奏曲第2番は、ショパンの初恋の女性でワルシャワ音楽院同窓のソプラノ歌手 コンスタンツィア・クワドコフスカを想って書かれた作品。
エリック―・リーはショパンが心に秘めていた甘く切ない恋心を表現。とりわけ第2楽章の小川の流れのような清らかな美しさにはため息がでた。柔らかく流麗なピアニズムでショパンの内に秘めたる情熱と芯の強さを感じさせた。
©読響 撮影=藤本崇
チャイコフスキー交響曲第5番はチャイコフスキー後期三大交響曲を代表する名曲。チャイコフスキーは、前作の交響曲第4番を1878年に書き上げた後、しばらく交響曲の作曲から遠ざかっていた。1885年にマンフレッド交響曲を作曲、1887年の暮れから1888年3月にかけては西欧諸国に指揮者として演奏旅行に出かけ、同時代の他の作曲家とも交流。プラハではドヴォルザーク(1841-1904)とも親交を温めたようです。西欧諸国での演奏旅行の影響か、力強い「運命の主題」のほか、美しく甘美な旋律に溢れた楽曲に仕上がっている。
ケレム・ハサンは、情感豊かなメリハリがはっきりとした指揮で読売日本交響楽団とドラマティックで聴き応えがある音楽を作り上げた。読売日本交響楽団の優れた演奏力により、抒情的なメロディをはじめとする楽曲の魅力が遺憾なく発揮された。
©読響 撮影=藤本崇
コーダは読響の強靭な金管が咆哮。暗から明への展開、色彩感と音響的な盛り上がりが見事。
満員の観客に感動的な時をもたらした。
©読響 撮影=藤本崇
■読売日本交響楽団
第258回土曜マチネーシリーズ
2023 6.17〈土〉
東京芸術劇場
指揮=ケレム・ハサン
ピアノ=エリック・ルー
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64
主催:読売新聞社、日本テレビ放送網、読売テレビ、読売日本交響楽団
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
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