【公演レポ】期待の新星イム・ユンチャン、フランツ・リストの超絶技巧で鮮烈な日本デビューを飾る!

12月3日スーパーソリスト達による秋の特別コンサート Vol.4
イム・ユンチャン ピアノ・リサイタルをサントリーホールで聴いた。

イム・ユンチャン(Yunchan Lim, Piano)は第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(2022年6月開催)で最年少の優勝を遂げた期待の新星。18歳の期待の新星の初来日公演ということもあり、母国韓国から大勢の応援団が来日し、サントリーホール満員の観客に囲まれ、鮮烈な日本デビューを飾った。

前半のJ.S.バッハのシンフォニア全15曲は、清らかな聖水のようなバッハ。同曲は、ピアノ学習者にとって必須であるため、教科書的な演奏になりがちだが、イム・ユンチャンの演奏は18歳とは思えない程、深く繊細な解釈が際立っていた。

後半はヴィルトゥオーゾ・ピアニスト フランツ・リストの超絶技巧が駆使された演奏が圧巻。ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」で凄まじい地獄の情景のような苛烈な超絶的技巧が鮮烈し、観客の心を炎で照らした。

同時にリストのロマンティックで甘美な曲調の変化も見事に描写された。タッチが精緻なだけでなく、詩情や情感が豊かなため、聴衆から非常に好意的な反応で迎えられた。アンコールはバッハ/ケンプ編曲:シチリアーノを披露。

終演後、イムは盛大なスタンディング・オベーションで迎えられ、熱い血潮の歓声を浴びていたのが印象的。期待の新星イム・ユンチャンのピアニストとしてのポテンシャルの高さが存分に発揮された演奏会となった。

イム・ユンチャンは東京フィルハーモニー交響楽団 2023年2月 定期演奏会で、ミハイル・プレトニョフの指揮のもと、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」を披露する予定となっている。

Photo:©千葉広子(Hiroko Chiba)

■スーパーソリスト達による秋の特別コンサート Vol.4 
イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル

日時:2022年12月3日(土) 19:00
会場:サントリーホール

プログラム:

ギボンズ:ソールズベリー卿のパヴァーヌとガイヤルド
J.S.バッハ:シンフォニア BWV787-801(全15曲)
リスト:二つの伝説 S.175
第1番 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
第2番 水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ
リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」より
“ダンテを読んで ー ソナタ風幻想曲” S.161 / R.10-7

スーパーソリスト達による秋の特別コンサート Vol.4 イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル | クラシック音楽事務所ジャパン・アーツクラシック音楽事務所ジャパン・アーツ
第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(2022年6月)で堂々の第1位 最年少優勝のアジアの新星、鮮烈の日本デビュー!! スーパーソリスト達による秋の特別コンサート Vol.4 イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル | 日時:20...

・2月定期演奏会の聴きどころ「イム・ユンチャン、その稀有な才能を聴く」
https://www.tpo.or.jp/information/detail-20221202-01.php

▽イム・ユンチャンからのメッセージ MESSAGE VIDEO from Yunchan Lim

CULTURE

コメント