【公演レポ】新国立劇場バレエ団 柴山紗帆&速水渉悟のさらなる躍進を期待させる『白鳥の湖』

6月11日、新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』マチネ公演を観賞した。ピーター・ライト版『白鳥の湖』は、英国的な演劇要素が強く、ドラマティックな展開が随所に散りばめられている名作。

ライト版は共同振付のガリーナ・サムソワの協力のもとプティパ=イワノフ版を基本としつつ、ロジカルでわかりやすく、舞台上のダンサーの役柄が細かく定められている。

結婚相手を決めなければならないジークフリード王子と、白鳥に姿を変えられたオデット姫が、“永遠の愛の世界”で結ばれる様子が描かれたライト版『白鳥の湖』は、ダンサーたちの類まれなる演技力と表現力、確固とした技術に基づいた踊りによるところが大きい作品。本作を上演されるのは2度目の再演となり、ダンサー達がどう作品を深化させているかに注目が集まった。

衣裳は、バーミンガムやロイヤルバレエで使用されたデザインが再現されており、非常に美しいものだった。舞台美術も英国調で上品かつ重厚感があり、シェイクスピア劇をみているようなイメージを創出し、作品全体の芸術性を高めていた。

オデット/オディール役を担ったのは柴山紗帆。
白鳥のオデットと黒鳥のオディールの二役を一人のダンサーが踊るのも『白鳥の湖』の大きな特徴で、二役を踊り分けたテクニックと表現力は目を見張るものがあった。

ジークフリード王子を踊ったのは、プリンシパルダンサーの井澤 駿。王子らしいルックスと端正な踊りを特徴とする井澤によるジークフリード王子は、ダンスにキレとオーラがあり、より深化した表現で観客の心を高鳴らせた。

6月11日マチネ公演で、最も注目を集めた配役は、王子の親友であるベンノ役に初挑戦した速水渉悟。速水は、イキイキとした若さ溢れるエネルギッシュなダンスで観客を魅了。清々しい表情で初役とは思えない輝きを放っていた。


王子の親友であるベンノ役に初挑戦した速水渉悟

3幕の宮廷の舞踏会、王子の花嫁候補たちの踊りも見応えがある演出のひとつ。3人の王女たちはそれぞれジークフリードのために踊りを披露したが、ポーランド王女を踊った池田理沙子をはじめとする一人ひとりの鮮やかな舞台表現は、観客の目を大いに楽しませた。


ポーランド王女:池田理沙子

夜の湖畔に現れた、白鳥たちのコール・ド・バレエ(corp de ballet)は一糸乱れぬ舞台芸術。指先の向き、角度、重心の置き方など細かいところまでぴったり揃った群舞は見ている者を感動させた。形だけでなく心も一つになって踊っている姿は、白鳥の羽ばたきと吐息を感じさせた。

東京フィルハーモニー交響楽団による管弦楽は、幻想的な夢舞台へと誘った。哀愁に満ちたヴァイオリン・ソロ、オーボエとハーブの哀しい旋律と弦の嘆きが白眉。

2023/2024 シーズンよりプリンシパルに昇格することが決定した柴山紗帆と速水渉悟は、カーテンコールで熱い拍手とスタンディングオベーションを受けた。新国立劇場バレエ団の今後のさらなる躍進を予感させる舞台となった。

撮影:長谷川清徳

■2022/2023シーズン 新国立劇場バレエ団
白鳥の湖Swan Lake

日時:2023年6月11日(日)13:00
会場:新国立劇場 オペラパレス

スタッフ

【振付】マリウス・プティパ / レフ・イワーノフ / ピーター・ライト
【演出】ピーター・ライト / ガリーナ・サムソワ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【美術・衣裳】フィリップ・プロウズ
【照明】ピーター・タイガン

キャスト

オデット/オディール:柴山紗帆
ジークフリード王子:井澤 駿
王妃:楠元郁子
ロットバルト男爵:中島駿野
ベンノ(王子の友人):速水渉悟
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):廣川みくり、広瀬碧
ハンガリー王女:中島春菜
ポーランド王女:池田理沙子
イタリア王女:五月女遥

白鳥の湖
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