【公演レポ】秋山 瑛、東京バレエ団ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』で太陽のようなキトリ役!

6月25日東京バレエ団ウラジーミル・ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』公演を東京文化会館で観賞した。主役のキトリ役は4月にプリンシパルダンサーに昇進した秋山瑛、バジル役は宮川新大。同バレエ団最若手プリンシパルダンサーコンビによる『ドン・キホーテ』公演となった。

東京バレエ団『ドン・キホーテ』はボリショイ・バレエ団の人気ダンサーでボリショイ劇場の総監督も務めたウラジーミル・ワシーリエフが演出・振付したものです。2001年の初演以来、繰り返されてきたスペインが舞台の人気演目。

主役の2人が素晴らしい活躍をした。町娘キトリ役秋山瑛は、チャーミングで愛らしくちょっぴり勝気な性格を際立たせながら、しなやかな跳躍と回転技で観客を魅了。

床屋の青年バジル役宮川新大は、流麗な脚さばき、跳躍、回転技が白眉。宮川バジルは、キトリの自由奔放な振る舞いを優しく受け止め、息の合ったダンスを披露。

宮川は抜群のコントロールで秋山を片手で軽々とアクロバティックにリフト。スピード感溢れる演目・演出にも関らず、高難度の技を惜しげのなく披露する2人に会場から大きな喝采が贈られた。

ウラジーミル・ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』で面白いのは、メルセデスとエスパーダを全幕に出演させ、キトリとバジルに寄り添うもう一組の恋人として登場させている点にある。

大役を務めることとなったメルセデス役政本絵美の細身ながら全幕にわたりエネルギッシュで綺麗なバレエを好演。エスパーダ役の柄本弾は、マント捌きが格別の出来。凛々しく雄雄しい振る舞いで観客の熱い視線を集めていた。

闘牛士役のダンサー樋口祐輝、生方隆之介、大塚卓、安村圭太、玉川貴博、後藤健太朗、中嶋智哉、南江祐生による色気・迫力がある「マントの踊り」と「ナイフの踊り」は見応えあり、魂を込めて地面にナイフを突き刺すシーンに心揺さぶられた。

最後の結婚式のシーンは豪華絢爛。メルセデスとエスパーダのお祝いのファンタンゴから続くキトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥが絶品。

秋山キトリの表情は明るく、4月にプリンシパルダンサーに昇進してから、ダンサーとしての技術と自信が高まり、太陽のような輝きを放っていた。

バレエ・群舞・演技・演出技法・衣裳・舞台装置・照明技術・音楽に至るまですべての面で高水準な東京バレエ団ウラジーミル・ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』公演。同バレエ団のさらなる飛躍を期待したい。

写真:松橋晶子

■東京バレエ団『ドン・キホーテ』 
6月25日(土)公演

振付: ウラジーミル・ワシーリエフ(マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキーによる)
音楽: レオン・ミンクス
美術: ヴィクトル・ヴォリスキー
衣裳: ラファイル・ヴォリスキー

◆ 主な配役 ◆

キトリ/ドゥルシネア姫:秋山 瑛
バジル:宮川新大
ドン・キホーテ:ブラウリオ・アルバレス
サンチョ・パンサ:海田一成
ガマーシュ:鳥海 創
メルセデス:政本絵美
エスパーダ:柄本 弾
ロレンツォ:岡﨑 司

【 第1幕 】

2人のキトリの友人:長谷川琴音、中沢恵理子
闘牛士:樋口祐輝、生方隆之介、大塚 卓、安村圭太、玉川貴博、後藤健太朗、中嶋智哉、南江祐生
若いジプシーの娘:加藤くるみ
ドリアードの女王:三雲友里加
3人のドリアード:髙浦由美子、上田実歩、平木菜子
4人のドリアード:足立真里亜、中島理子、工 桃子、中川美雪
キューピッド:安西くるみ

【 第2幕 】

ヴァリエーション1: 長谷川琴音
ヴァリエーション2:中沢恵理子

指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

協力:東京バレエ学校

概要/ドン・キホーテ/2022/NBS公演一覧/NBS日本舞台芸術振興会

▽東京バレエ団「ドン・キホーテ」|6/25(土)公演 秋山瑛―宮川新大

▽東京バレエ団「ドン・キホーテ」|6/23(木),26(日)公演 上野水香―柄本弾

▽東京バレエ団「ドン・キホーテ」|6/24(金)公演 涌田美紀―秋元康臣

▽【INTERVIEW】振付家 ウラジーミル・ワシーリエフ  ―初演から約20年が経った今、東京バレエ団「ドン・キホーテ」の魅力について

▽東京バレエ団「ドン・キホーテ」 ダンサーインタビュー ―The Tokyo Ballet “Donquixote”

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