【公演レポ】NHK交響楽団、ロシアの壮麗サウンドをサマーミューザで響かせる

7月29日、プロオーケストラの雄 NHK交響楽団がフェスタ サマーミューザに登場。コンサートマスターは、郷古 廉。ロシア屈指の名曲2曲のお披露目ということもあり、チケットは早々とSOLD OUT。熱気を帯びた演奏会となった。

コンサート前のプレコンサートが弦楽四重奏。曲目は、アレクサンドル・ボロディンの弦楽四重奏曲第1番 イ長調から第1楽章、第4楽章で、フルオーケストラのコンサートの前に弦楽四重奏が聴ける豪華な演奏会だった。


©T.Tairadate

コンサートの前半はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。2021年8月、クリーヴランド国際ピアノコンクールで優勝。同年10月の第18回 ショパン国際ピアノ・コンクール第3位を獲得し、話題をさらったマルティン・ガルシア・ガルシアが登場。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、最も人気のあるピアノ協奏曲のひとつでロシアのロマン派音楽を代表する曲の一つとして数えられている。


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終始ダイナミックかつ情熱的なピアノが披露された。第三楽章、最後のピアノのカデンツァの後に二つの主題が融合され盛り上がるシーンが圧巻!NHK交響楽団の重厚かつ抒情的なオーケストレーションが見事で、高い演奏効果と協奏曲の魅力を堪能した。


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後半は、ロシア5人組の一人であるニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」。リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」は、作曲者の代表作といえる作品で、千夜一夜物語(アラビアンナイト)の語り手、シェヘラザードの物語が発想の根底となっている。

シェヘラザードを象徴する独奏ヴァイオリンの主題が全楽章でみられ、コンサートマスター郷古 廉のヴァイオリン・ソロが妖艶かつ幻想的。時折、残忍さ・冷徹さが表出する表現巧者ぶりを発揮した。


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フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットなど木管奏者の演奏は名人芸、職人芸の域に達しており、それぞれ違った音色・音域の魅力があり、聴かせどころが満載だった。

タクトを握ったキンボー・イシイは、スケール感ある指揮ぶりでN響を好リード。シェヘラザードの美しい調べを音響が優れたミューザ川崎シンフォニーホールいっぱいに響かせ、観客の心を高揚させた。


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アンコールは、リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」。フルートの達人芸にも心酔させられた演奏会。弦・管・打と三拍子そろった壮麗なN響サウンドに魅了された一日となった。


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■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2023
NHK交響楽団

日時:2023年7月29日(土) 16:00開演
(14:30開場/15:00-15:30プレコンサート)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮 :キンボー・イシイ
ピアノ:マルティン・ガルシア・ガルシア

プログラム:

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op. 18 *
リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』 Op. 35
(ヴァイオリン独奏 郷古 廉)
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/detail.php?id=3386

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