7月7日、サントリーホールで、日本フィルハーモニー交響楽団 第752回東京定期演奏会<春季>、レオンカヴァッロの歌劇「道化師」(演奏会形式)を聴いた。指揮は日本フィルハーモニー交響楽団 フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一。コンサートマスターは扇谷泰朋。
Ⓒ山口敦
「道化師」は、ルッジェーロ・レオンカヴァッロが作曲、1892年に初演された全2幕からなるオペラ。上演時間が短いながらも、ヴェリズモ・オペラの代表作として名高い秀作。
歌手陣が世界に通じる強力な布陣だった。旅回り一座の座長で主役であるカニオ役 笛田博昭の歌声が輝かしいテノール!圧倒的かつドラマティックな歌唱が白眉。
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妻ネッダの浮気を知ったカニオが、怒りと悲しみに震えながらも、道化はそんなときでも客を笑わせるのが仕事と身の辛さを歌うアリア「衣装をつけろ」やカニオの心が憤怒に支配され歌うアリア「もう道化師じゃない」では笛田へ数多くのブラヴォーが飛び交い、絶賛を博した。
女優でカニオの妻 ネッダ役 竹多倫子の演技と歌は見ごたえ聴き応えがあった。村の青年シルヴィオ役 池内響のバリトンも堂々としたもので聴き惚れてしまった。
道化師トニオ役の上江隼人は、スケール大きい歌唱で観客の心を大いに揺さぶった。
Ⓒ山口敦
一座の色男俳優ペッペ役を担った小堀勇介は光耀くテノールで好評を博した。
東京音楽大学はイキイキした合唱で舞台を盛り立て、杉並児童合唱団も新鮮味がある綺麗な合唱を披露した。
指揮者の広上淳一は、全身を使った集中力と熱量が高い指揮ぶりで、日本フィルハーモニー交響楽団から豊潤なオーケストラ・サウンドを引き出した。広上のオーケストラにスパイスを加えるような粋で鯔背な指揮ぶりはさすがだった。
レオンカヴァッロの歌劇「道化師」(演奏会形式)は、アリアだけでなく、オーケストラ、コーラスも主役を演じることができる稀有な傑作だった。
Ⓒ山口敦
■日本フィルハーモニー交響楽団
第752回東京定期演奏会<春季>
レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》(演奏会形式)
日時:2023年7月7日 (金) 19:00
会場:サントリーホール
指揮:広上淳一[フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)]
カニオ:笛田博昭
シルヴィオ:池内響
ネッダ:竹多倫子
ベッペ:小堀勇介
トニオ:上江隼人
合唱:東京音楽大学
児童合唱:杉並児童合唱団

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