愛と官能の最高傑作 ロイヤル・バレエ シネマ『マノン』4/5(金)より上映!

世界最高の名門歌劇場である英国ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたバレエとオペラの舞台を、特別映像を交えてスクリーンで体験できる「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」。今シーズンは、『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24』として、全8作品<バレエ4作品/オペラ4作品>でお届けする超豪華選りすぐりのラインナップ。ライブでの観劇の魅力とは一味違う、映画館の大スクリーンと迫力ある音響で、日本にいながらにして最高峰のオペラとバレエの公演を堪能できる、至極の体験をお届けします。

愛と官能の最高傑作、ロイヤル・バレエ『マノン』世界的なスターバレリーナのナタリア・オシポワ&シネマ全幕では初主演のリース・クラーク2人の息のあった演技と見事なパ・ド・ドゥに注目!舞踊評論家・森菜穂美氏の解説とともに本作の見どころに迫る!

   ケネス・マクミラン振付の『マノン』は、『ロミオとジュリエット』『うたかたの恋―マイヤリング』と並び、マクミランの代表作と呼ばれるドラマティック・バレエの最高傑作であり、今年で初演から50周年を迎える。本上映では、ロイヤル・バレエのトップスターたちの贅沢な共演と共に、舞台に立っている一人一人のアンサンブルが、18世紀のパリ、そしてニューオーリーンズに生きる人々の息吹を細やかな演技で伝えて、これぞ英国の本家ドラマティック・バレエという見ごたえのある舞台を堪能させてくれる。マノンは贅沢な生活を選ぶのか、それとも貧しくても愛する人とともに生きるのか…一見華やかに見える本作であるが、マクミランによるシナリオについて森氏は「この貧困がはびこる世界観は、現代の格差社会や貧困と地続きのものを感じさせる。」と解説し、富と腐敗の対照性を明らかとし、人間心理の深層に迫ったストーリーを描き出している。ガラ公演では、恋の高揚感に酔うロマンティックな『寝室のパ・ド・ドゥ』や、ルイジアナの沼地での死を前にした極限の愛を見せる壮絶な『沼地のパ・ド・ドゥ』が頻繁に踊られるなど、一度観たら忘れられない名場面の多い作品だ。

今回マノンを演じるのは、世界的なスターバレリーナのナタリア・オシポワ。ボリショイ・バレエ時代から高い身体能力と技術で知られてきた彼女は、ロイヤル・バレエに移籍後には演技力を磨き、ロンドンでも熱狂的に支持されている。森氏はナタリアの魅力について、「流されるだけのヒロインではない、過酷な運命の中で生き抜こうとする強さを持つ新しいマノン像を目撃してほしい。」と熱弁し、強靭な肉体をすみずみまで使って物語を語る唯一無二の傑出した個性と表現力に注目してほしい。

マノンを一途に愛するデ・グリュー役は、シネマの全幕作品では初主演のリース・クラーク。2022年にプリンシパルに昇進したばかりで、ロイヤル・バレエ一の長身、映画スターのような麗しい容姿の持ち主だ。オシポワとは、昨年夏のロイヤル・バレエ来日公演『ロミオとジュリエット』でも共演しており、見事なパートナーシップを築いている。森氏は「本作で重要なパ・ド・ドゥの素晴らしさと、息の合った演技は、観る者を深い感動に引きずり込むことだろう。」と最大の見どころについても明かしている。

マダムの館でのダンシング・ジェントルマンの踊りでは、アクリ瑠嘉を始め、カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズというプリンシパル有力候補の3人が華麗なステップを踏んでおり、次に誰が昇進するのかワクワクしながら観るのも本作の楽しみ方の一つだ。ベガ―チーフ(物乞いの頭)を演じる中尾太亮の鮮やかな跳躍や回転技、あでやかな高級娼婦を演じる崔由姫、前田紗江ら日本出身のダンサーたちの活躍も見逃せない。

演劇性に優れたバレエの世界最高峰、ロイヤル・バレエが本気を見せた最高傑作『マノン』、ぜひ大スクリーンで味わって、沼地にはまったまま帰れなくなるようなディープな舞台体験をしてみてほしい。

森菜穂美(舞踊評論家)『マノン』解説全文はコチラ

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」公式サイト
「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」の公式サイトです。その時 映画館は、ロンドンのオペラ・ハウスになる。

<ロイヤル・バレエ『マノン』作品情報>

【STORY】

18世紀パリ。美しく衝動的な少女マノンは、若くハンサムだが貧しい学生デ・グリューと出会って恋に落ちる。だが、兄レスコーの手引きにより富豪ムッシュG.M.から愛人にならないかと誘われたマノンは、デ・グリューとの愛と、G.M.との豪奢な生活の間で引き裂かれる。

裏社交界のマダムの邸宅での宴にて華やかに着飾り、その美しさで男たちを魅了するマノン。ここを出て行こうというデ・グリューに彼女は、もっとお金を手に入れてからといかさま賭博をそそのかす。だがいかさまがG.M.に見破られた上、レスコーは殺され、マノンは逮捕される。

アメリカのニューオーリーンズに追放されたマノン。デ・グリューは夫と身分を偽り同行するが、マノンは好色な看守に目を付けられる。マノンを慰み者にした看守を殺した二人はルイジアナの沼地へと逃げ込むが、デ・グリューの腕の中でマノンは息絶える。

《マノン》

振付:ケネス・マクミラン

音楽:ジュール・マスネ

編曲:マーティン・イェーツ

(選曲:レイトン・ルーカス、協力 ヒルダ・ゴーント)

美術:ニコラス・ジョージアディス

照明デザイン:ジャコポ・パンターニ

ステージング:ラウラ・モレ―ラ

リハーサル監督:クリストファー・サウンダース

レペティトゥール:ディアドラ・チャップマン、ヘレン・クローフォード

プリンシパル指導:アレクサンドル・アグジャノフ、リアン・ベンジャミン、アレッサンドラ・フェリ、エドワード・ワトソン、ゼナイダ・ヤノウスキー

ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

コンサートマスター:セルゲィ・レヴィティン

指揮:クン・ケッセルズ

【キャスト】

マノン:ナタリア・オシポワ

デ・グリュー:リース・クラーク

レスコー:アレクサンダー・キャンベル

ムッシュG.M.:ギャリー・エイヴィス

レスコーの愛人:マヤラ・マグリ

マダム:エリザベス・マクゴリアン

看守:ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド

ベガー・チーフ(物乞いの頭):中尾太亮

高級娼婦:崔由姫、メリッサ・ハミルトン、前田紗江、アメリア・タウンゼント

三人の紳士:アクリ瑠嘉、カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズ

娼館の客:ハリー・チャーチス、デヴィッド・ドネリー、ジャコモ・ロヴェロ、クリストファー・サウンダース、トーマス・ホワイトヘッド

老紳士:フィリップ・モーズリー

娼婦、宿屋、洗濯女、女優、物乞い、街の人々、ねずみ捕り、召使、護衛、下男

:ロイヤル・バレエのアーティスト

©2024 ROH.  Photographed by Andrej Uspenski

4/5(金)~4/11(木) TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開!

■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/

■配給:東宝東和

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