【公演レポ】藤原歌劇団、プッチーニの傑作オペラ『トスカ』で全身全霊の歌と演技を披露!

藤原歌劇団プッチーニの傑作『トスカ』公演を1月29日、オペラ・バレエと音楽の殿堂「東京文化会館」で観賞した。

ヴィクトリアン・サルドゥの戯曲に基づくジャコモ・プッチーニの5作目のオペラとして書かれた『トスカ』は、19-20世紀を代表するヴェリズモオペラです。見せ場の多さとスリリングな響きが次々現れることからオペラ史上、燦然と輝く最高傑作の一つと見なされている。

開演45分前から折江忠道総監督による作品解説があり、作品内容、見どころ聞きどころなど分かりやすく語ってくれた。イタリア・オペラの名作『トスカ』が、歌手によってどのように声の強弱や味わいが変わってくるのか、と言うのも鑑賞の楽しみの一つだろう。

タイトルロールの歌姫トスカは、藤原歌劇団の本公演に本格デビューとなる佐田山千恵(ソプラノ)。佐田山は、トスカの稽古に入る前に作品の舞台となった第一幕のサンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会(ローマ)や第3幕のサンタンジェロ城(ローマ)を事前に訪問。

トスカのアリア「歌に生き恋に生き」を情感たっぷりに歌い、観客の涙を誘った。第2幕以降の劇的なシーンでは、切々と演じ訴える姿と歌声が繊細で心打たれものがあった。


©公益財団法人日本オペラ振興会

歌姫トスカの恋人で画家のカヴァラドッシ役を担ったのは、藤田卓也(テノール)。第一幕で、カヴァラドッシがトスカを想って歌うアリア「妙なる調和」から、客席2300あるホールの5階まで響き渡るエネルギッシュな熱唱を披露した。声量は非常に豊かで声質が若々しい。パワフルな歌声は観客の耳を大いに楽しませた。


©公益財団法人日本オペラ振興会

説得力たっぷりに悪役を演じたのは、スカルピア役の須藤慎吾(バリトン)。須藤の巧みな演技と渋味がある歌唱が見事だった。トスカを偏愛する描写が突出しており、舞台を重厚な目が離せない傑作へと昇華させた。


©公益財団法人日本オペラ振興会

アンジェロッティ役の東原貞彦(バス)と堂守役の泉良平(バリトン)のベテランらしい演技や歌は、見応え聴き応えがあるものだった。

演出は、その作品の真髄を表現し、これまで数多くの作品で好評を博してきた松本重孝による新制作。歌劇『トスカ』出演キャラクターを際立たせた演出で新春オペラに相応しいスリリングさがあった。


©公益財団法人日本オペラ振興会

指揮者の鈴木恵里奈は日本では数少ないコレペティトゥア出身の指揮者だが、テンポと表現力に優れ、プッチーニならではのダイナミックな世界観をタクトに込めた。

東京フィルハーモニー交響楽団は、言葉に即した色彩感に富み、エレガントな表現から悲劇的な旋律まで、深みがあるプッチーニ音楽の魅力を存分に伝えてくれた。


©公益財団法人日本オペラ振興会

■藤原歌劇団公演
プッチーニ作曲『トスカ』新制作
オペラ全3幕 字幕付き原語(イタリア語)上演

日時 1月29日(日)14:00
会場 東京文化会館大ホール

STAFF

演出 松本重孝
合唱指揮:安部克彦
美術:大沢佐智子
衣裳:前岡直子
照明:成瀬一裕
舞台監督:菅原多敢弘
演出助手:手塚優子

CAST

トスカ      佐田山千恵
カヴァラドッシ   藤田卓也
スカルピア    須藤慎吾
アンジェロッティ 東原貞彦
堂守       泉良平
スポレッタ    井出司
シャルローネ   大塚雄太
看守       別府真也
牧童       中桐かなえ

合唱 藤原歌劇団合唱部
児童合唱 多摩ファミリーシンガーズ

指揮 鈴木恵里奈
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

主催
公益財団法人日本オペラ振興会 / 公益社団法人日本演奏連盟

藤原歌劇団公演「トスカ」(ニュープロダクション)2023年1月28日(土)・29日(日)@東京文化会館 大ホール、2月4日(土)@愛知県芸術劇場 大ホール|JOF 公益財団法人日本オペラ振興会
JOF 公益財団法人日本オペラ振興会 藤原歌劇団公演藤原歌劇団公演「トスカ」(ニュープロダクション)2023年1月28日(土)・29日(日)@東京文化会館 大ホール、2月4日(土)@愛知県芸術劇場 大ホールの公演情報です。
CULTURE

コメント