【ゲネプロ】新国立劇場オペラ、『夜鳴きうぐいす/イオランタ』の卓越した演出力に感嘆!


ロシアの作曲家であるストラヴィンスキーとチャイコフスキーによるダブルビル(2本立て)短編オペラ『夜鳴きうぐいす/イオランタ』の最終リハ―サルに参加。

前半は、ストラヴィンスキーが作曲した最初のオペラである「夜鳴きうぐいす」!
「人魚姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」などで有名なデンマークの童話作家であるアンデルセンの「ナイチンゲール」が原作となっている。

同オペラは、比類なき美しい声を持つうぐいすが宮中へ赴き、重病だった皇帝に美声を披露するというストーリー。

うぐいす役を担った三宅理恵(ソプラノ)の美声が白眉。透明感ある伸びやかな歌声。三宅は、コロラトゥーラを時折披露しながら、観客の心を温かく包み込んでいくようだった。


このオペラの最大の見どころは、幻想的で色鮮やか、壮大な絵巻物のような舞台美術と衣裳芸術。近未来的な中国の宮殿模様は、オペラの枠に留まらない程のまばゆさと輝きを持っており、オペラファン以外にもぜひ観ていただきたい舞台です。

これほどの舞台を初めての完全リモート演出で作り上げた演出家と劇場の技量は見事という他はない。美術家出身の巨匠ヤニス・コッコスは、センスあふれる美しい舞台創りに定評があり、その才能が的確に反映されていた。

譜読みに定評がある高関健の指揮は、バランス感覚に優れ、東京フィルハーモニー交響楽団木管陣・金管陣の美しい旋律をよく引き出していた。本オペラのテーマは「うぐいす」で、難テーマにも関わらず色鮮やな絵巻物のようなオーケストレーションを存分に味あわせてくれました。

後半は、チャイコフスキーが作曲したオペラ「イオランタ」

三大バレエ組曲の作曲者であるチャイコフスキーは全10作のオペラを残しているがこの「イオランタ」は最後のオペラとなります。

チャイコフスキーのオペラと言えば、「スペードの女王」と「エフゲニー・オネーギン」が有名ですが、1幕オペラ「イオランタ」の舞台は、中世の南フランス。

荘厳で悲哀溢れるチャイコフスキーの美しい音楽とイオランタ役を担った大隅智佳子のソプラノに引き込まれた。イオランタは、盲目のお姫様ですが、心の目は見えており、他の感覚が研ぎ澄まされていたことがひしひしと伝わってくるリアリティに満ちた舞台だった。

父王ルネ役を演じた妻屋秀和のバスも重厚感たっぷり。圧倒的な歌唱力は聞きごたえ満点。

「イオランタ」は、日本での上演機会は残念ながら少ないものの、本場ロシアでは、上演のたびに劇場が子供たちでいっぱいになる名作です。

『夜鳴きうぐいす/イオランタ』両作品とも、大人も子どももおとぎの世界へ誘われる素敵なものがたり。

『夜鳴きうぐいす/イオランタ』は4月11日(日)に最終公演を迎えます。日本ではレア作品になりますのでお見逃しなく。

【新国立劇場2020/2021シーズンオペラ 『夜鳴きうぐいす/イオランタ』開催概要】

【公演日程】

2021年4月4日(日)14:00/6日(火)14:00/8日(木)19:00/11日(日)14:00

【会場】

新国立劇場 オペラパレス

【スタッフ・出演】

指揮:高関 健/演出:ヤニス・コッコス/夜鳴きうぐいす:三宅理恵、中国の皇帝:吉川健一ほか(夜鳴きうぐいす)/ルネ:妻屋秀和、ヴォデモン伯爵:内山信吾、イオランタ:大隅智佳子ほか(イオランタ)
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【チケット料金】

S:27,500円 ・ A:8,800円 ・ B:22,000円 ・ C:5,500円 ・ D:5,500円・ Z(当日のみ):1,650円
※ジュニア(小中学生)割引20%、学生割引(5%)ほか各種割引あり

【チケットのお求め】

新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
WEBボックスオフィス http://nntt.pia.jp/

新国立劇場について

国立劇場について新国立劇場は、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の公演の制作・上演や、芸術家の研修等の事業を行っています。オペラ部門は2018年9月より世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。​
https://www.nntt.jac.go.jp

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