【公演レポ】新国立劇場バレエ団『ニューイヤー・バレエ』、感動を巻き起こした「シンフォニー・イン・C」

新国立劇場バレエ団『ニューイヤー・バレエ』を1月15日に鑑賞した。本邦初公開の「A Million Kisses to my Skin<新制作>」、海外ゲストダンサーによる「眠れる森の美女」第三幕よりグラン・パ・ドドゥと「ドン・ジュアン」(抜粋)、ジョージ・バランシンの名作「シンフォニー・イン・C」の4作品が披露された。

新国立劇場バレエ団にとって初のレパートリー入りとなる英国の振付家デヴィッド・ドウソン作品「A Million Kisses to my Skin<新制作>」は、バランシンを思わせるネオ・クラシック・スタイルのバレエで、100万回同時に肌で受けた感覚を流麗なバレエで表現。肉体を極限まで使ったダンスは大きなインパクトを観客に与えてくれた。


▲『A Million Kisses to my Skin』直塚美穂、奥村康祐 撮影:鹿摩隆司

英国ロイヤルバレエ ヤスミン・ナグディとマシュー・ボールによる『眠れる森の美女』第三幕よりグラン・パ・ドドゥは、古典バレエ最高峰の魅力が存分に発揮された名品。ヤスミン・ナグディは満面の笑みでキレの良いバレエを披露。マシュー・ボールの王子らしい堂々としたバレエにも魅了された。控え目で端正、そして演劇的な「ロイヤル・スタイル」は幸福感を会場いっぱいに響かせた。

ジョン・ノイマイヤー『ドン・ジュアン』(抜粋)は、ハンブルク・バレエのアリーナ・コジョカルとアレクサンドル・トルーシュによりお披露目された。日本でも人気が高いアリーナ・コジョカルの芸術的なバレエは、格調高く情感豊か。小柄で愛らしい出で立ちから想像ができない程、伝える力が圧倒的なバレエに魅了された。

ラストの『シンフォニー・イン・C』は、1947年パリ・オペラ座に客員振付家として招かれたバランシンが、ビゼー作曲「交響曲第1番ハ長調(in C)」を振り付けた一幕のバレエ作品。新国立劇場バレエ団のコール・ド・バレエは端正で粒ぞろい。


▲『シンフォニー・イン・C』Symphony in C, Choreography by George Balanchine, © The George Balanchine Trust. 撮影:鹿摩隆司

第4楽章から出演者全員が勢揃いした華やかなフィナーレを迎える。普段主役を務める小野絢子と柴山紗帆、福岡雄大と井澤駿が同時に同じ舞台で踊り、バランシン特有の素早い動きが重なり合うシーンが美しい。主役級ダンサー達から発せられるオーラの共鳴が見事で、ラストは感動的な余韻に満たされた。


▲『シンフォニー・イン・C』柴山紗帆、福岡雄大
Symphony in C, Choreography by George Balanchine, © The George Balanchine Trust.
撮影:鹿摩隆司

■2022/2023シーズン 新国立劇場バレエ団
ニューイヤー・バレエ

日時:2023年1月15日(日)14:00
会場:新国立劇場 オペラパレス

A Million Kisses to my Skin/シンフォニー・イン・C/『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ/『ドン・ジュアン』(抜粋)

・A Million Kisses to my Skin <新制作>

【振付】デヴィッド・ドウソン
【音楽】ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
【美術】デヴィッド・ドウソン
【衣裳】竹島由美子
【照明】バート・ダルハイゼン

【出演】

直塚美穂、柴山紗帆、飯野萌子、五月女遥、山本涼杏、川口 藍、奥村康祐、速水渉悟、森本晃介

・『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ

【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【衣裳】ルイザ・スピナテッリ
【出演】ヤスミン・ナグディ、マシュー・ボール(英国ロイヤルバレエ)

・『ドン・ジュアン』(抜粋)

【振付】ジョン・ノイマイヤー
【音楽】クリストフ・ヴィリバルト・グルック、トマス・ルイス・デ・ビクトリア
【衣裳】フィリッポ・サンジュスト
【出演】アリーナ・コジョカル(ハンブルク・バレエ ゲストダンサー)、アレクサンドル・トルーシュ(ハンブルク・バレエ )

・シンフォニー・イン・C

【振付】ジョージ・バランシン
【音楽】ジョルジュ・ビゼー
【衣裳】大井昌子
【照明】磯野 睦

【出演】

〔第1楽章〕

柴山紗帆、福岡雄大

〔第2楽章〕

小野絢子、井澤駿

〔第3楽章〕

奥田花純、木下嘉人

〔第4楽章〕

吉田朱里、中家正博

【指揮】ポール・マーフィー
【管弦楽】東京交響楽団

ニューイヤー・バレエ
新国立劇場のバレエ公演「ニューイヤー・バレエ」のご紹介。バレエを観るなら日本で唯一の国立の劇場に所属する新国立劇場バレエ団で。

▽2023年1月「ニューイヤー・バレエ」告知映像|新国立劇場バレエ団

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