井上道義 ミュージカルオペラ『A Way from Surrender 〜降福からの道〜』 制作発表会 開催


10⽉24⽇、すみだトリフォニーホール・⼩ホールで井上道義の⾃伝的ミュージカルオペラ『A Way from Surrender〜降福からの道〜』制作発表会が開催され、総監督の井上道義⽒をはじめ、出演する3名の歌⼿陣 ⼤⻄宇宙⽒、⼩林沙羅⽒、コロンえりか⽒と楽団事業部⻑の⼤貫篤が登壇しました。


(C)星 ひかる

指揮者としての活動の傍ら、3曲の交響作品を創作してきた井上⽒にとって、4作⽬となる本作は初めてのミュージカルオペラ作品。

『A Wayfrom Surrender〜降福からの道〜』というタイトルには、”Surrender”の「降伏」と戦後の「幸福」な⽇本、“A Way”は「⼀つの道」と”Away”の「(遠く)離れて」という⼆重の意味が込められている。

─「書かざるを得なかった」作品。テーマは「赦し」

会⾒では、井上⽒より創作の背景に、⽗親の死後、実の⽗親でなかったと知ったこと、その現実を受け⼊れるには、 「書かざるを得なかった」作品であったこと、作品のテーマが「赦し」であることが語られました。

「赦し」とは、「他⼈を赦すだけでなく、⾃分の能⼒なさ、⾺⿅さ加減、欲望にあらがえずに犯してきた様々なことを赦し、前に歩いていくこと」であると。そこに、マエストロは「敗戦後の⽇本の姿」をも投影しているという。

─⾃伝的ミュージカルオペラ。若⼿実⼒派歌⼿陣が集結

物語は、マエストロの分⾝とも⾔うべきタロー(画家・岡本太郎をイメージ)のアトリエから始まり、戦時中のフィリピン・マニラを舞台にしたタローの両親の物語へと遡る。タロー役を務めるのは、テノールの⼯藤和真⽒。⽗・正義役はバリトンの⼤⻄宇宙⽒、⺟・みちこ役はソプラノの⼩林沙羅⽒、フィリピン⼈のピナ役のコロンえりか⽒が務める。制作発表会には、⼤⻄、⼩林、コロンの各⽒がピアノ伴奏で劇中歌を披露するとともに、世界初演への意気込みを語りました。

─13年ぶりに実現するオペラ共演

井上×新⽇本フィルのオペラでの共演は、2010年の『⻘ひげ公の城』以来、実に13年ぶり。公演は第646回定期演奏会として、1⽉21⽇(⼟)すみだトリフォニーホールでミュージカルオペラ(オペラ形式)、23⽇(⽉)サントリーホールでは演奏会形式で上演される。

「⽇本⼈とは、アイデンティティとは、愛とは、赦しとは何か︖─⾃⾝のライフ・ヒストリーを通して、今⽇の我々に多くの問いを込めた作品。2024年末での引退を宣⾔している井上⽒⾃⾝の⾃作⾃演による貴重な公演である本作の世界初演に、ぜひお⽴ち会いください

▽片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫井上道義自身が台本、作曲などを担い 豪華な歌手陣が参加する新作オペラ(第646回定期演奏会)
https://www.njp.or.jp/magazine/?p=1722

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