【公演レポ】牧阿佐美バレヱ団、巨匠ローラン・プティ振付『ノートルダム・ド・パリ』を6年ぶりに上演!


牧阿佐美バレヱ団が2022年6月12日(日)東京文化会館で“ダンスの魔術師”の異名を持つフランスの名振付家ローラン・プティの代表作である『ノートルダム・ド・パリ』(Notre Dame de Paris)を上演した。

同作は、フランス・ロマン主義の詩人、小説家ヴィクトル・ユーゴーの小説に基づき、中世・15世紀のパリを舞台とした物語。1967年にパリ・オペラ座バレエによって初演され、音楽はモーリス・ジャール、舞台装飾はルネ・アリオ、衣装はイヴ・サン=ローランが手掛けた。

20世紀バレエの巨匠ローラン・プティがパリ・オペラ座バレエ団のために制作した最初の作品で、日本では牧阿佐美バレエ団のみ上演権を持っており、6年ぶりの上演となった。2016年以来の上演で豪華な海外ゲストが来日。

ノートルダム大聖堂の鐘つき男であるカジモド役はステファン・ビュリオン(パリ・オペラ座エトワール)。背中を曲げ、哀愁を感じさせる演技が白眉。今回、恐らく日本でラストの機会となるステファンが魂を込めて踊ったカジモドは、優しさと悲しみに満ちており、観客の涙を誘った。

美しく純真なジプシーの娘であるエスメラルダ役を務めたのは、スザンナ・サルヴィ (ローマ歌劇場バレエ団エトワール)。フェビュス、カジモド、フロロの3人から思いを寄せられる役柄らしく明るくてチャーミングな面と慈愛に満ちた優しい面が共存している演技とバレエがとても魅力的だった。

颯爽とした美男で婚約者がいるが、エスメラルダにも恋の触手を伸ばす王室射手隊の隊長フェビュス・ド・シャトーペール役は、アルマン・ウラーゾフ (国立アスタナ・オペラ・バレエ団プリンシパル)。かっこよい音楽に乗って颯爽と登場し、男らしい堂々としたダンスと力強いテクニックで独特の輝きを放っていた。

エスメラルダへの愛と神への献身との間で苦しむノートルダムの司教代理、クロード・フロロ役は、モンゴル出身のラグワスレン・オトゴンニャム(牧阿佐美バレエ団)。聖職者になるように育てられた役柄ながら身体能力高くシャープな踊りと演技は見応えがあった。

プティを熟知するダンサーたちの群舞が鮮やかで不穏な音楽に合わせて唯一無二の舞台を構築。

劇的な素材が多いローラン・プティ作品の複雑微妙な心理の駆け引きを高いスキルのダンスで表現。20世紀最高のスペクタクルバレエだった。

撮影:山廣康夫

■牧阿佐美バレヱ団『ノートルダム・ド・パリ』

日時:
2022年6月12日
会場:東京文化会館 大ホール

スタッフ:

振付・台本 ローラン・プティ
衣装 イヴ・サン=ローラン
音楽 モーリス・ジャール
装置 ルネ・アリオ
原作 ヴィクトル・ユーゴー

振付スーパーバイザー ルイジ・ボニーノ
照明デザイン、技術監修 ジャン=ミシェル・デジレ
芸術監督 三谷 恭三

キャスト:

カジモド ステファン・ビュリオン(パリ・オペラ座エトワール)
エスメラルダ スザンナ・サルヴィ (ローマ歌劇場バレエ団エトワール)
フェビュス アルマン・ウラーゾフ (国立アスタナ・オペラ・バレエ団プリンシパル)
フロロ ラグワスレン・オトゴンニャム(牧阿佐美バレエ団)

指揮 デヴィッド・ガルフォース
演奏 東京オーケストラMIRAI

ノートルダム・ド・パリ(振付・台本 ローラン・プティ)|牧阿佐美バレヱ団 2022年6月公演
「ダンスの魔術師」の異名を持つ振付家ローラン・プティが生み出した20世紀最高のスペクタクル・バレエ《ノートルダム・ド・パリ》。日本国内では牧阿佐美バレヱ団だけが上演を許された傑作!

▼牧阿佐美バレヱ団「ノートルダム・ド・パリ」全幕 ストーリー映像

▼牧阿佐美バレヱ団 2022年6月公演「ノートルダム・ド・パリ」公演前日リハーサル映像

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