【公演レポ】新国立劇場バレエ団『シンデレラ』公演、究極の美に満ちたファンタジックな世界!

新国立劇場バレエ団『シンデレラ』公演(フレデリック・アシュトン振付)を5月3日午後、 新国立劇場オペラパレスで観覧した。

フランスの詩人シャルル・ペローの童話『シンデレラ』から生まれたバレエ。ガラスの靴、かぼちゃの馬車・・・愛と夢が煌めくファンタジックなバレエです。

英国ロイヤル・バレエの名振付家フレデリック・アシュトンは1963年から1970年まで同バレエ団の芸術監督を務めた。アシュトン作品は詩的で叙情的。英国らしいユーモアも感じられるのが特徴。英国バレエ最大の功労者で、いわゆる「ロイヤル・スタイル」はアシュトン・スタイルだと言っても過言ではない。

シンデレラ役は若手ファースト・ソリストの木村優里。王子はプリンシパルダンサーの渡邊峻郁が務めた。

シンデレラ役の木村優里は、第1幕で2人の義理の姉に虐められる薄幸な娘を演じた。舞踏会に憧れるシンデレラが、1人となりホウキを相手に見立て踊る場面のバレエが軽やかで流麗。衣裳は粗末だがシンデレラの内面的な美しさと聡明さを感じさせた。

不思議な物乞いの老女が表れ、被りものを取り去ると美しい仙女が表れる。仙女役の細田千晶は、四季の精を呼び集め、親切にしてもらったシンデレラに贈り物をするなどファンタジックなダンスを好演。流れるようなきれいなバレエで観客の目を楽しませた。

ワルツに乗って踊られる星の精のコール・ド・バレエが白眉。シャープな幾何学的なフォーメイションはキラ星のような麗しさに満ちていた。

かぼちゃは馬車に、ねずみは御者となり、シンデレラの粗末な衣裳は、眩いドレスへと変化した。シンデレラが馬車に乗り、舞台会へ向かうシーンは、究極の美そのものとなり、大きな感動を呼び起こした。

第2幕、シンデレラの馬車が舞踏会に到着し、シンデレラ役の木村と王子役の渡邉が踊った「愛のパ・ド・ドゥ」は、互いに恋心が高まっていくロマンティックな名場面。木村の可憐で非の打ちどころがない美しいバレエと渡邊の高度なテクニックに裏打ちされた見事なダンスは、観客を陶酔させた。

義理の姉が男性ダンサーによって踊られるのはアシュトン版の大きな特徴となっている。意地悪な義理の姉たちを演じた小柴富久修と髙橋一輝は、コミカルな演技とダンスで観客の笑いを誘った。

ラストは、仙女の祝福を受けた二人は永遠に結ばれるという幸福感に溢れたシーンが繰り広げられた。観る者に夢と希望を与えてくれる傑作バレエとして卓越した作品だった。

撮影:瀬戸秀美

■新国立劇場バレエ団
シンデレラ Cinderella

日時:2022年5月3日(火・祝)13:00
会場:新国立劇場オペラパレス

スタッフ

【振付】フレデリック・アシュトン
【監修・演出】ウェンディ・エリス・サムス/マリン・ソワーズ
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【美術・衣裳】デヴィッド・ウォーカー
【照明】沢田祐二

キャスト

シンデレラ 木村優里
王子 渡邊峻郁

義理の姉たち 小柴富久修 髙橋一輝
仙女 細田千晶
春の精 広瀬碧
夏の精 渡辺与布
秋の精 柴山紗帆
冬の精 中島春菜
道化 佐野和輝

指揮 マーティン・イェーツ
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

シンデレラ
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