【傘寿記念】小林研一郎、チャイコフスキー最後の交響曲「悲愴」で、観客の涙を誘う熱演!

2020年に傘寿(80)を迎え、日本人指揮者として“炎のマエストロ”と称され、クラシック界に多大な功績を残し、現在も大活躍している小林研一郎。

6月6日(日)、マエストロ小林研一郎指揮によるチャイコフスキー交響曲全曲チクルス(交響曲全曲演奏会)東京公演第3夜を東京池袋の東京芸術劇場で鑑賞した。

プログラムは、前半がチャイコフスキー交響曲第3番「ポーランド」、後半はチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」。

前半のチャイコフスキー交響曲第3番「ポーランド」は、チャイコフスキーが1875年に作曲した作品。名曲として知られている「ピアノ協奏曲第1番」を完成させてから、数ヶ月経過した1875年6月17日に作曲を開始し、約2ヶ月ほどが経過した8月にはオーケストレーションまで完了させた作品。

チャイコフスキーが遺した交響曲全6曲の中で唯一、長調で曲が始まり、2つのスケルツォ楽章を持ち、全5楽章構成という点でも独創的な曲。演奏される機会はチャイコフスキーの後期交響曲に比べて少ないものとなっている。

交響曲に『ポーランド』という愛称が付けられているのは、終楽章の主題にポーランドの舞曲である「ポロネーズ」のリズムが用いられており、『ポーランド』という名が付与された。

マエストロ小林研一郎は、長調から始まるバレエ組曲のような一面を持つ変則的な5楽章の『ポーランド』を熟練の技で巧みに指揮していた。情感溢れるマエストロの名指揮より、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏は生命力あふれるものとなり、鮮やかに浮き立つ音色は、この楽曲の魅力を存分に味あわせてくれた。

後半は、チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」。チャイコフスキーの悲哀と情熱、そこから導き出される葛藤を克明に再現した演奏。木野 雅之コンサートマスターをはじめとするヴァイオリン奏者やクラリネット首席 伊藤 寛隆の演奏は、随所にキラリと光ものがあった。

第3楽章の勇ましい行進曲の後の第4楽章は、ヴァイオリンをはじめとする弦の響きが大変美しかった。終盤、命が途切れるようにドラがゴーンと鳴り、チャイコフスキーが生涯最後に泣きながら書いたこの最後の交響曲の悲哀が、巨匠 小林研一郎のタクトと弦楽奏者の熱演により的確に再現され、観客の涙を誘った。

公演終了後、炎のマエストロ 小林研一郎は各演奏者の力演を笑顔で労いだ。最後は、スタンディングオベーションで迎え入れられ、木野コンサートマスターと2人で、ステージの中央に立ち、コンサートの幕がおろされた。

撮影:堀田力丸

小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念 チャイコフスキー交響曲全曲チクルス公式サイト: https://kobaken80thmusicfes.com

■映像配信に関する実施概要

配信プラットホーム:テレビマンユニオンチャンネル
視聴料金     :無料
出演
指揮  :小林研一郎

管弦楽 :日本フィルハーモニー交響楽団

●2021年4月7日(水) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第1番『冬の日の幻想』、交響曲第4番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bxe9rn3h49sz/

ライブ配信  : 2021年4月7日(水)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月7日(水)終演後から2022年4月7日(木)23:59まで

●2021年4月13日(火) 公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第2番『小ロシア』、交響曲第5番

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/bx0k6fxszstq/

ライブ配信  : 2021年4月13日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年4月13日(火)終演後から2022年4月13日(水)23:59まで

●2021年6月6日(日)公演 19:00開演

演奏曲目   : 交響曲第3番『ポーランド』、交響曲第6番『悲愴』

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by0m876r8wbq/

ライブ配信  : 2021年6月6日(日)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年6月6日(日)終演後から2022年6月6日(月)23:59まで

●2021年7月13日(火)公演 19:00開演

演奏曲目   : ピアノ協奏曲第1番、マンフレッド交響曲

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by5ktu79khbs/

ライブ配信  : 2021年7月13日(火)開演から終演まで

見逃し配信  : 2021年7月13日(火)終演後から2022年7月13日(水)23:59まで

●2021年8月30日(月)公演 19:00開演

演奏曲目   : オペラ『エフゲニー・オネーギン』から「ポロネーズ」、

弦楽セレナーデ、ヴァイオリン協奏曲、序曲「1812」

視聴サイトURL: https://members.tvuch.com/experience/by876bgr5b2g/

ライブ配信  : 2021年8月30日(月)開演から終演まで

●小林研一郎(指揮) Kenichiro Kobayashi プロフィール


東京藝術大学音楽学部作曲科および指揮科を卒業。第1回ブダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞受賞。これまでに世界有数の音楽祭に出演するほか、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、アーネム・フィルハーモニー管弦楽団などの日本公演の舵をとり、日本フィルハーモニー交響楽団の海外公演を成功へと導いた。文化を通じた長年にわたる国際交流や社会貢献により、2011年に文化庁長官表彰、2013年には旭日中綬章を授与、また、ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、星付中十字勲章、ハンガリー文化大使の称号を授与された。

作曲家としても数多くの作品を書き、1999年には日本・オランダ交流400年記念の委嘱作品、管弦楽曲『パッサカリア』を作曲、ネーデルランド・フィルで初演されると、聴衆から熱狂的な喝采を以て迎えられた。同作品はそれ以降も様々な機会に再演されている。

2005年からは社会貢献を目的とした「コバケンとその仲間たちオーケストラ」で活動趣旨に賛同するプロ、アマチュア、学生などのボランティアメンバーと共に全国でチャリティ公演も行っている。音楽に対する真摯な姿勢と情熱的な指揮ぶりは「炎のコバケン」の愛称で親しまれ、国内外オーケストラへの客演も多く、名実ともに日本を代表する指揮者である。

CD、DVDはオクタヴィア・レコードより多数リリース。著書に『指揮者のひとりごと』(騎虎書房)などがある。

現在、日本フィルハーモニー交響楽団桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者、読売日本交響楽団特別客演指揮者、群馬交響楽団ミュージック・アドバイザー、九州交響楽団名誉客演指揮者、東京藝術大学、及びリスト音楽院名誉教授、東京文化会館音楽監督、長野県芸術監督団音楽監督、ロームミュージックファンデーション評議員などを務める。

オフィシャルHP: http://www.it-japan.co.jp/kobaken/

令和2年度(第77回)日本芸術院賞受賞者が発表され、指揮者の小林研一郎が恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しました。長年にわたる音楽芸術文化全体におよぶ、幅広く卓越した活動が評価されての受賞です。

日本芸術院サイト: https://www.geijutuin.go.jp/index.php?action_Info_Detail=1&ni=99

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