【公演レポ】チョン・ミョンフン&東京フィルハーモニー交響楽団、ブラームス交響曲ツィクルスで深淵な音楽の連続表現!

東京フィルハーモニー交響楽団と名誉音楽監督であるチョン・ミョンフンによるブラームス交響曲ツィクルス(全曲演奏会)が12年ぶりに開催された。

マエストロ チョン・ミョンフンが1年4か月ぶりに来日を果たした7月は前半のブラームス交響曲第1番・2番が披露された。再来日を果たした9月は後半のブラームス交響曲第3・4番が続いて披露された。

その初日となる9月16日、東京オペラシティコンサートホールでブラームス交響曲「第3番ヘ長調」と「第4番ホ短調」を聴いた。コンサートマスターは近藤薫。

前半のブラームス交響曲第3番は、自然体でしなやかな音楽構成。温かい音色と響きを引き出す指揮。東京フィル楽団員からは、自然体ながら全身全霊で善い音楽を作っていこうとする意識と意欲の高さを感じた。

後半のブラームス交響曲第4番は、ブラームス交響曲の集大成といった作品だが、マエストロは軸がしっかりとした端正な指揮で、東京フィルから豊潤でアタックが効いた旋律美を導き出していた。

チョン・ミョンフンは、東フィルにかつてスコップを贈り「一緒に深いところにある音を掘り起こそう」とのメッセージを贈ったが、本日演奏されたブラームズ交響曲第4番はスコップでえぐり出したような鋭いエッジとドライブが効いており、深淵な音楽表現の連続に感動を覚えた。

第4番はスコップで掘り起こしたような「動的で情熱的な深み」があり、第3番は「静的で内包的な深み」があった。

サプライズでプレゼントされたアンコールは、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」。 血沸き肉踊るような熱演で会場は興奮の坩堝と化した。終演後、拍手喝采が鳴りやまない状態となり、大勢の観客よりスタンディングオベーションが贈られた。

楽員が全員ステージを去ってからも拍手は止まらす、マエストロは東京フィル全員をもう一度舞台に呼び戻し、満面の笑みで熱い拍手に応える盛況な演奏会となった。

撮影:上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団

◆公演概要

9月16日(木)19:00開演 第141回東京オペラシティ定期シリーズ
指揮:チョン・ミョンフン(東京フィル 名誉音楽監督)
コンサートマスター:近藤 薫

― ブラームス 交響曲の全て ―
ブラームス/交響曲第3番
ブラームス/交響曲第4番

主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団

第141回東京オペラシティ定期シリーズ | 東京フィルハーモニー交響楽団
2021年9月16日(木) 19:00 東京オペラシティコンサートホール
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