【公演レポ】二期会スペシャル・コンサート ヴェルディ「レクイエム」、ドラマティックかつ神聖な音楽空間が構築!


8月12日二期会スペシャル・コンサート  ジュゼッペ・ヴェルディ「レクイエム」を東京オペラシティ コンサートホールで聴いた。

1952年に結成された日本最大規模の声楽家団体である二期会主催による「東京二期会 夏のヴェルディ・フェスティバル 二期会スペシャル・コンサート」。 指揮と演奏は、イタリアの俊英 アンドレア・バッティストーニ&東京フィルハーモニー交響楽団のゴールデン・コンビ。コンサートマスターは、依田真宣が務めた。

ソリストは、木下美穂子、中島郁子、城宏憲、妻屋秀和と日本&二期会を代表する名手ぞろい。合唱は、表現力に定評がある二期会合唱団が担当した。

ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した「レクイエム」は、しばしばモーツァルト、フォーレの作品とともに「三大レクイエム」の一つに数えられるカトリックのミサ曲であるが、「最も華麗なレクイエム」と評される聞き応え満点な楽曲。

出演を予定していた指揮者 ダニエーレ・ルスティオーニ は、新型コロナウイルス感染症に係る14日間の待機期間に伴うスケジュールの都合で、来日不可能となったが、代役を務めたアンドレア・バッティストーニは、太陽のような情熱的な指揮と類まれなインスピレーションにより、会場全体を熱狂の境地へと導いていった。

4人のソリストはいずれも高水準で安定感がある歌唱。城 宏憲のテノールは、天に語りかけるような澄んだ美声で観客を魅了した。中島 郁子のメゾ・ソプラノは表現力豊かで奥行きがあり聞き応えがあった。

全身全霊を傾けて取り組んだ二期会合唱団は、「怒りの日」で度肝を抜くような迫力と神聖さを兼ね備えた素晴らしい合唱を披露し、観客の涙と感動を大いに誘った。

全体を通してオーケストラと合唱とソリストが心をひとつにすることにより、ドラマティックさと神聖さが増幅され、生涯忘れ得ぬ卓越した音楽空間が構築された。

90分に及ぶヴェルディ「レクイエム」演奏の最後は、イタリア人指揮者 アンドレア・バッティストーニは1分近く指揮棒を降ろさず長い沈黙を保ち、場を神聖なものとした。

威厳に満ちあふれた聖なる振る舞いは、既に巨匠の風格に満ち溢れており、この曲の真意を存分に味あわせてくれた。

◆公演情報

二期会スペシャル・コンサート
ジュゼッペ・ヴェルディ「レクイエム」

日時:2021年8月12日(木)19:00/13日(金)19:00
会場:東京オペラシティ コンサートホール

プログラム:
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲「レクイエム」

出演:

指揮:アンドレア・バッティストーニ
ソプラノ:木下美穂子
メゾソプラノ:中島郁子
テノール:城 宏憲
バス:妻屋秀和

合唱;:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

主催:公益財団法人東京二期会、株式会社二期会21
共催:公益財団法人東京オペラシティ文化財団

コンサートラインアップ「ヴェルディ「レクイエム」」
CULTURE

コメント