5月11日、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第370回定期演奏会を東京オペラシティ コンサートホールで聴いた。コンサートマスターは、戸澤哲夫。
前半は、ピアノの魔術師フランツ・リストのピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏は、日本デビュー20周年を迎える福間洸太朗。
©大窪道治
リストピアノ協奏曲第2番は、単一楽章で書かれており、その形式は形式はピアノ協奏曲第1番よりもさらに狂詩曲風。わずか24分ほどの作品ながらも、リストならでの勇ましさ、雄々しさ、絢爛さ、激しさといったものを具現化した秀作である。
演奏機会はリストピアノ協奏曲第1番に比べて圧倒的に少ないが、華やかで力強い音色と情熱的な超絶技巧とテクニックで聴衆を圧倒したリストの醍醐味をたっぷりと味わえる協奏曲となっている。
福間はこの曲が大変お気に入りなようで、リストの特徴である勇ましい行進曲調の歌いまわしと精神性を気高く表現。女性ファンの失神を続出させたリストは、ニコロ・パガニーニの演奏を聴いて感銘を受け、自らも超絶技巧を目指したと言われるが、リズムと響きの輪郭を明確にした福間の熱いピアニズムと血潮に感銘。終盤、煌めくピアノのカデンツァは宝石のようだった。
リスト ピアノ協奏曲第2番は、オーケストラの演奏が曲の印象を左右する度合いがピアノ協奏曲の中でも非常に強い。藤岡幸夫の情熱的で的確なリードにより東京シティ・フィルの金管セクションがゴージャスに豪快に咆哮。男らしさと荒々しい波打ちを感じさせた。これほど、雄々しさと荒々しさを感じさせるピアノ協奏曲は他にはなく、ピアノ協奏曲のひとつの頂点だと実感させられた。
後半は、イギリスの作曲家、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第2番「ロンドン交響曲」。この曲は、情景の浮かぶ詩的な作品で“霧の街”ロンドンにふさわしく、茫洋とした曲調が特徴的。映画やファンタジーのサウンドトラックのような、ドラマチックな世界観に浸った。
©大窪道治
■東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第370回定期演奏会
日時:2024/5/11 (土) 14:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
指揮:藤岡 幸夫(首席客演指揮者)
ピアノ:福間 洸太朗
プログラム:
ディーリアス:夜明け前の歌
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第2番「ロンドン交響曲」
F.Delius: A Song before Sunrise
F.Liszt: Piano Concerto No.2 in A Major
R.V.Williams: Symphony No. 2, “A London Symphony”
主催:一般社団法人東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))|独立行政法人日本芸術文化振興会
▽第370回定期演奏会 ピアニスト 福間洸太朗さんよりメッセージ
▽リスト:ピアノ協奏曲第2番[福間洸太朗の動画で楽しむ楽曲解説・聴きどころ紹介 #15
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