【会見レポ】ローマ歌劇場(Teatro dell’Opera di Roma) 2023年日本公演開幕記者会見が開催！

5年ぶりとなるローマ歌劇場（Teatro dell’Opera di Roma） 2023年日本公演が、2023年9月13日（水）～9月26日（火）の日程で東京と横浜で開催される。

上演演目は、ソフィア・コッポラ演出のヴェルディ歌劇「椿姫」と、フランコ・ゼッフィレッリ演出のプッチーニ歌劇「トスカ」の二大傑作でいずれも2022年から音楽監督を務めるミケーレ・マリオッティが指揮する。

(C)Shoko Matsuhashi

開幕直前の9月11日（月）、ローマ歌劇場 2023年日本公演開幕記者会見が、東京都内で行われた。ローマ歌劇場総裁のフランチェスコ・ジャンブローネとローマ歌劇場音楽監督・指揮者のミケーレ・マリオッティ。

左からフランチェスコ・ジャンブローネ、ソニア・ヨンチェヴァ、ミケーレ・マリオッティ、リセット・オロペサ、ヴィットリオ・グリゴーロ。

出演歌手として『椿姫』ヴィオレッタ役のリセット・オロペサ、『トスカ』でタイトルロールと務めるソニア・ヨンチェヴァ、『トスカ』カヴァラドッシ役のヴィットリオ・グリゴーロが登壇した。

左からソニア・ヨンチェヴァ、ヴィットリオ・グリゴーロ

最初にフランチェスコ・ジャンブローネ総裁は、「高橋さんがすでにおっしゃったのですが、これは双方にとって、パンデミックの後の初めての大きなツアーだということです。すべての人々の記憶にまだ新しい世界の危機の期間には、私たちが劇場で生きるということが妨げられていました。ですからこの来日公演はいっそう嬉しいものに感じます。」「今回はイタリアのオペラ史上の二つの大傑作を持ってきました。『椿姫』と『トスカ』です。作曲はヴェルディとプッチーニ。しかもこの二つの作品を、私たちの国の偉大な二人の人物が手がけている舞台を日本にお持ちしました。それは椿姫の衣裳をデザインしたヴァレンティノ・ガラヴァーニと、トスカの演出を手がけたフランコ・ゼッフィレッリです。私たちにとってもこの二つのプロダクションはとても愛着のあるものです。」と挨拶した。

フランチェスコ・ジャンブローネ（ローマ歌劇場総裁）

音楽監督・指揮者のミケーレ・マリオッティは「日本に来るのはいつも大きな喜びです。今回上演するオペラ作品について言及させてください。『トスカ』と『椿姫』です。これらは非常に有名なオペラで、なぜならこれらは非常に美しい作品だからです。傑作というのは、いつ聴いても新しく感じられ、毎回初演しているような気持ちになります。稽古をすればするほど新しい発見があり、古いオペラという気は全くしません」と語った。

ミケーレ・マリオッティ（ローマ歌劇場音楽監督／指揮者）

『椿姫』ヴィオレッタ役のリセット・オロペサは、「マエストロと歌劇場の皆さまと、ここに来られたことを嬉しく思います。『トスカ』と『椿姫』はとても違うように見えながら、共通項があります。はっきりと言えるのは、二人の女性が巨大な力。社会であれ一人の人間であれ大きな力の犠牲者であったということです。トスカは、悪者の犠牲者です。一方ヴィオレッタは社会の犠牲になっていく女性。それぞれの女性が、天のゆるしを、神のゆるしを乞う時がきます。」「この役を舞台で歌うのは大きな挑戦です。毎回歌うたびに大きな発見をいたします。そして今回マエストロの素晴らしい解釈で歌えることを何よりも幸せに思っております」と来日公演でヴィオレッタを歌う喜びを語った。

リセット・オロペサ（《椿姫》ヴィオレッタ役）

オペラでは今回が初来日で『トスカ』でタイトルロールを務めるソニア・ヨンチェヴァは「また来日できてとても嬉しく思っています。昨年、東京文化会館でコンサートをしました。初来日だったのですが、とても温かい歓迎を受けました。オペラを日本で歌うのは今回が初めてとなります。素晴らしい舞台装置、衣裳、同僚の歌手たち、マエストロ、イタリアを代表する素晴らしい二つのオペラの一つに出演できて嬉しいです。イタリアを象徴する作品に参加させていただき、ゼッフィレッリ演出の素晴らしい舞台で歌えるのはとても幸せです。『トスカ』はこれまで何度も歌ってきました。歌うたびに驚かされます。私は彼女をこう思うのです。私は彼女を、とても若く、無邪気で、情熱的な女性と捉えています。彼女はマリオに大きな愛を抱いていてそれを守ろうとします。『椿姫』同様『トスカ』にも、大きな愛、大きな情熱、神との関わりも出てきます。オペラはたくさんの価値を私たちに教えてくれます。これからの若いジェネレーションにも伝えていきたいです。」と『トスカ』へ並々ならぬ愛情を示した。

ソニア・ヨンチェヴァ（《トスカ》トスカ役）

『トスカ』でカヴァラドッシ役を務めるヴィットリオ・グリゴーロは、「また日本に来られて幸せです。『トスカ』は私にとって宝物です。小さな時からこのオペラを演じたいと夢見ていました。1990年にその夢がまず叶ったのは、牧童としてルチアーノ・パヴァロッティと共演した時でした。そして長年待って、メトロポリタン歌劇場でこのオペラを歌った時には、ロール・デビューは（今、隣に座っている）ソニアと一緒でした。
『トスカ』は僕にとって思い出であり、夢であり、チャレンジであり、あらゆることを意味します。そして、歌う場所、演出、マエストロが変われば、同じ舞台にはなりません。私自身も昨日の私とは違うからです。」「現代において人と人とのつながり、人々が満ち足りた気持ちになれるような繋がりが失われてしまっているのではないかと思うのです。聴くこと、香りをかぐこと、感じること。スマホとか、そういうものに頼ってしまって実際の感覚を失ってきているのが現代ではないかと思っています。今回のローマ歌劇場来日公演では、触れられるような生きている感覚があるオペラを皆さんにお届けできるように、その生きた感覚・感触を皆さんに感じていただきたいと思っております」と締めくくり報道陣から大きな拍手を受けた。

ヴィットリオ・グリゴーロ（《トスカ》カヴァラドッシ役）