【公演レポ】新国立劇場 R・シュトラウス オペラ「サロメ」は濃厚な衝撃オペラ!

R・シュトラウスの衝撃オペラ「サロメ」を6月1日、新国立劇場オペラパレスで観賞した。同作は、2000年、2002年、2004年、2008年、2011年、2016年に上演されており、今回 7回目の人気プロダクション。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

サロメ役のアレックス・ペンダ、ヘロデ役のイアン・ストーレイ、ヘロディアス役のジェニファー・ラーモア、ヨハナーン役のトマス・トマソンはいづれも安定した歌唱と演技を披露した。

印象に残った歌手は、ヨハナーンのトマス・トマソン(バリトン)。この役は洗礼ヨハネをモデルとしたものだが、預言者にふさわしい威厳のある真っすぐな歌唱に惹きつけられた。「わたしは、その方の靴紐を解く値うちもない」と、ヨハネおなじみの名セリフが歌唱されるシーンもあり、聖書を知っていればより深く楽しめる作品だった。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

タイトルロールであるサロメ役は、新国立劇場初登場のブルガリア出身のソプラノ、アレックス・ペンダ。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

小柄ながらもしなやかさな歌声を持つペンタは、最後に「7つのヴェールの踊り」を踊った。美しく演劇効果が高い踊りで観客を魅了。官能と残虐性のバランスが絶妙な難役を見事にこなしていた。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

ヘロディアス役のジェニファー・ラーモア(メゾソプラノ)は、発音が良く、明るめのよく響く歌唱で、後半全体を引き締めた。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

ストレートで理解しやすい演出は、アウグスト・エファーディングよるもの。演技を重視したオードドックスは演出が良好で誰にも分かりやすいものだった。良質な演出が、作品全体のクォリティを引き上げ、優れた舞台として観る者の集中力を高めた。

ヨルク・ツィンマーマンによる美術と衣裳は、写実的に美しく、緊張感に満ちたドラマを際立たせた。天幕風の宮殿と庭園の大井戸のデザインも見事なものだった。

R・シュトラウスの衝撃オペラ「サロメ」最大の立役者は、シュトラウスで特に評価の高いコンスタンティン・トリンクスの指揮と東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。上演時間こそ100分と短かかったが、トリンクスは引き締まった指揮で、東京フィルハーモニー交響楽団からダイナミックかつ鮮烈・豊潤な旋律を創出した。管弦楽の縮小編成版楽譜を使用していたが、金管打楽器群が迫力ある音楽を情熱的に展開。木管弦楽器群は濃艶な美音を際立たせ、強烈で記憶に残るオペラ・サウンドに陶酔した一夜となった。

R・シュトラウスの「サロメ」は濃厚な衝撃オペラとして確かな軌跡を残した。


撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

■国立劇場2022/2023シーズンオペラ 『サロメ』

公演日程:6月1日(木)19:00
会場;新国立劇場オペラパレス

スタッフ:

【指揮】コンスタンティン・トリンクス
【演出】アウグスト・エファーディング
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン

キャスト:

【サロメ】アレックス・ペンダ
【ヘロデ】イアン・ストーレイ
【ヘロディアス】ジェニファー・ラーモア
【ヨハナーン】トマス・トマソン
【ナラボート】鈴木 准
【ヘロディアスの小姓】加納悦子
【5人のユダヤ人1】与儀 巧
【5人のユダヤ人2】青地英幸
【5人のユダヤ人3】加茂下 稔
【5人のユダヤ人4】糸賀修平
【5人のユダヤ人5】畠山 茂
【2人のナザレ人1】北川辰彦
【2人のナザレ人2】秋谷直之
【2人の兵士1】金子慧一
【2人の兵士2】大塚博章
【カッパドキア人】大久保光哉
【奴隷】花房英里子

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

サロメ
新国立劇場のオペラ公演「サロメ」のご紹介。 新国立劇場では名作から世界初演の新作まで、世界水準の多彩なオペラを上演しています。

▽新国立劇場オペラ「サロメ」ダイジェスト映像 Salome – NNTT

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