【公演レポ】米ヒューストン・バレエ、ウェルチ版『白鳥の湖』で初来日!加治屋百合子が三役を演じる


全米屈指の実力を誇り、アメリカを代表するバレエ団のひとつであるヒューストン・バレエ(本拠地:テキサス州ヒューストン、芸術監督スタントン・ウェルチ)が記念すべき初来日を果たした。ヒューストン・バレエは、加治屋百合子や吉山シャール ルイ・アンドレらを筆頭に、優秀な日本人ダンサー7名が所属している。

10月30日、ヒューストン・バレエによるスタントン・ウェルチ振付『白鳥の湖』(全三幕)最終公演をバレエの殿堂:東京文化会館で観賞した。

アメリカからのバレエ団来日は、実に8年ぶり。(前回は2014年2~3月のアメリカン・バレエ・シアター)2020年2~3月のパリ・オペラ座日本公演以来、来日バレエ団として久々の全幕古典作品のお披露目となった。

芸術監督スタントン・ウェルチ振付による『白鳥の湖』(2006年初演)は、ロシアのバレエやヨーロッパのバレエとも異なるアメリカならでは力強さとイキイキとした躍動感が具現化されていた。

第一幕での男性ダンサーによる狩りのシーンは、主役並みに高い技術のダンスシーンが多くあり、ダンサーにとって挑戦的。

男性ダンサーが躍動し、高技量&エネルギッシュなダンスを魅せてくれた。
全体的に男性ダンサーが活躍する場面が多くある演出は見ごたえに溢れるものだった。

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)を経て2014年に入団したプリンシパル・ダンサー(最高位のダンサー)の加治屋百合子は、盤石なテクニックと日本人らしい細やかでしなやかな感情表現が白眉。

加治屋は中国国立上海舞踊学校出身ということもあり、バレエに欠かせない柔軟性、この世のものとは思えない浮遊感を漂わせた。オデットは白鳥だけではなく、乙女の役でも登場し、感情移入しやすい役柄と演技で、”白鳥の湖”の世界観に新風を吹き込み、観客を大いに楽しませた。

ジークフリート王子は、芸術監督ウェルチが最も信頼を置き、バレエ団を代表するダンサーであるコナー・ウォルシュが担った。力強く、優雅でダイナミック。安定感抜群の王子役を好演した。加治屋百合子との息の合ったパ・ド・ドゥや高度なダンスで看板ダンサーとしての実力を存分に見せつけてくれた。

ラファエル前派が描く中世の騎士物語の世界が描写された衣裳・美術・舞台装置も魅力的。想像を超えたオリジナル・ストーリーを持つスタントン・ウェルチ版『白鳥の湖』は、観客の心に感動的な余韻を残した。

■ヒューストン・バレエ
スタントン・ウェルチ振付『白鳥の湖』(全三幕)
2022年日本公演

日時:10月30日(日)17:00開演
会場:東京文化会館 大ホール

振付:スタントン・ウェルチ
原振付:M.プティパ、L.イワノフ
作曲:P.チャイコフスキー
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー

キャスト:

オデット・オディール:加治屋百合子
ジークフリート王子:コナー・ウォルシュ
ロットバルト:クリストファー・クーマー

ヒューストン・バレエ(2022年) | 光藍社(こうらんしゃ)–ヒューストン・バレエ
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