【公演レポ】鬼才ユライ・ヴァルチュハ&読売日本交響楽団、二大傑作プログラムで躍動感溢れる音楽を構築!

8月28日(日)読売日本交響楽団 「第249回日曜マチネーシリーズ」を東京池袋・東京芸術劇場で聴いた。コンサートマスターは林悠介。

指揮は、近年オペラでの注目度も高いスロバキア出身の鬼才ユライ・ヴァルチュハ。ピアノはドイツを拠点に世界で華々しく活躍する河村尚子。

前半は、ブラームス ピアノ協奏曲第1番、後半はメンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」の二大傑作プログラムで会場は満杯となった。

前半の「ブラームス ピアノ協奏曲 第1番」は、ヨハネス・ブラームスの初期の代表的傑作作品の一つで、最初に作曲された協奏曲。ブラームスをレパートリーにしているピアニストは多いが、ブラームス自身が卓越したピアニストであったため、技巧的に難しいピアノ協奏曲と評価されることが多い作品となっている。

国際コンクール優勝経験があり、現在、ドイツ・エッセンのフォルクヴァンク芸術大学教授の任にある河村 尚子は、キレと深みがあるピアノ演奏で聴衆を魅了。初期作品ならではの情熱的で気魄に富んだ作風を持つ同ピアノ協奏曲を卓越した技量で見事に表現。満員の観客の前で颯爽とプレイしていた姿が印象的だった。アンコールは、ブラームス間奏曲イ長調 作品118-2(6つの小品第2番)。

後半、メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」は、裕福な良家で育ったメンデルスゾーンがスコットランド旅行中に着想した曲で、第4番「イタリア」と並びロマン派音楽の交響曲としても代表的な存在。

スロバキア出身で「隠れた鬼才」との呼び名が高いユライ・ヴァルチュハは長身を生かした端正な指揮で、読売日本交響楽団から躍動感に溢れ、スケールが大きい音楽を導き出した。

とりわけ第一楽章弦楽器の流れ落ちるような美しいメロディーラインと音の重なり合いが白眉で、このような美しい音楽を作り出した指揮者の技量と読響の演奏力の高さには目を見張るものがあった。メロディを担当する第一ヴァイオリンと、第一ヴァイオリンを下から支えアンサンブルに厚みを持たせる第二ヴァイオリンが躍動感に溢れイキイキと演奏された。オーケストラ木管奏者による音色の美しさも素晴らしかった。

©読響 撮影=藤本崇

■読売日本交響楽団 第249回日曜マチネーシリーズ

日時:2022年8月28日(日)
会場:東京芸術劇場

指揮=ユライ・ヴァルチュハ
ピアノ=河村尚子

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 作品56「スコットランド」

第249回日曜マチネーシリーズ | コンサート | 読売日本交響楽団
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