【公演レポ】第16回世界バレエフェスティバル、世界最高峰のダンスに観客総立ち!


「バレエのオリンピック」と称され、世界最高峰のダンサーが来日し、一堂に会するバレエ界の大イベント「第16回世界バレエフェスティバル」が、2021年8月13日(金)から8月22日(日)の日程で東京文化会館で開催された。

世界バレエフェスティバルは、1976年に第1回が開催されてから3年に1度東京で開催され、今年で第16回目を迎えた。

世界のトップダンサーが一堂に会する場として他に例がない同フェスティバル。
Aプログラムは、8月13日から8月16日に開催され、Bプログラムは8月19日から8月22日までそれぞれ4公演、合計8公演が開催。8月19日、Bプログラムの初日を観賞した。

冒頭は菅井円加とダニール・シムキンの『グラン・パ・クラシック』。菅井円加は軸がしっかりした安定感があるダンスを披露。菅井円加とダニール・シムキンのテクニックは盤石で2人のピタリと息が合ったダンスは、エレガントで見応えがあった。

アマンディーヌ・アルビッソンとマチュー・ガニオの『3つのプレリュード』。
ヒューストンバレエの芸術監督として知られるベン・スティーヴンソンがラフマニノフのピアノ曲で振付けた作品。バーの制約から飛び出し、伸びやかなパ・ド・ドゥを展開するアマンディーヌ・アルビッソンとマチュー・ガニオの立ち姿が芸術的に美しく、曲毎に異なる繊細な変化をも表現。2人共もっと見たいと思わせる気品溢れるバレエを披露し、喝采を受けていた。

第三部は、アレッサンドラ・フェリとジル・ロマンにより、モーリス・ベジャール振付の『椅子』。同作は20世紀の不条理演劇の大家、ウージェーヌ・イヨネスコの戯曲にモーリス・ベジャールが振付けた作品。舞台では戯曲のセリフも一部用いられており、アレッサンドラ・フェリとジル・ロマンは卓越したテクニックで「老い」「悟り」「伴侶」「感謝」などをモチーフした展開を気高い演劇性溢れるバレエで表現。舞台上の椅子は、彼らのキャリアを見続けてきた私たちがいた場所(観客席)を象徴しているかのようだった。

ラストは、エカテリーナ・クリサノワとキミン・キムによる『ドン・キホーテ』
クリサノワは遊び心たっぷりなダンスとチャーミングな表現力で観客を魅了。
今やアジアのスーパースターとなったキミン・キムは超人的なジャンプとカリスマ性溢れるダンスで観客の目を釘づけにしていた。キミンの古典的テクニックはさらに磨かれ、様々な要素において現在、世界最高のダンサーであることを実感させた。

終演後、打ち上げ花火のプロジェクション・マッピングを使った演出があった。花火の演出後、観客全員が立ち上がり、世界最高峰のダンサー達をスタンディングオベーションで迎えた。全観客によるスタンデングオベーションで迎えられたダンサー達は、観客席に向かって何度も笑顔で会釈し手を振っていた。その光景は、コロナ禍にも関らず来場してくれた観客への敬意と感謝、そして3年ぶりの再会を祝っているようだった。

Photo:(C)Kiyonori Hasegawa

【第16回世界バレエフェスティバル】
Bプログラム 
8/19(木)演目と配役

─ 第1部 ─

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
菅井円加、ダニール・シムキン

「スティル・オブ・キング」
振付:ヨルマ・エロ
音楽:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
マルセロ・ゴメス

「トゥー・ルームズ」
振付:イリヤ・ジヴォイ
音楽:マックス・リヒター
マリーヤ・アレクサンドロワ、ヴラディスラフ・ ラントラートフ

「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
エリサ・バデネス、ワディム・ムンタギロフ

─ 第2部 ─

追悼 カルラ・フラッチ、パトリック・デュポン(映像)

「ジュエルズ」より “ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・シクリャローフ

「3つのプレリュード」
振付:ベン・スティーヴンソン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ

「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
オニール八菜、マチアス・エイマン

─ 第3部 ─

「椅子」
振付:モーリス・ベジャール(ウージェーヌ・イヨネスコに基づく)
音楽:リヒャルト・ワーグナー
アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン

─ 第4部 ─

「ロミオとジュリエット」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン

「シャル・ウィ・ダンス?」より ”アイ・ガット・リズム”
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

「悪夢」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:キース・ジャレット、レディー・ガガ
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
エカテリーナ・クリサノワ、キム・キミン

指揮: ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ: 菊池洋子(「3つのプレリュード」)

主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化会館
特別協賛:株式会社コーセー
後援:外務省、文化庁、各国大使館

第16回世界バレエフェスティバル オフィシャルサイト
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/wbf/

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