【公演レポ】巨匠サイモン・ラトル、ロンドン交響楽団の記憶に残る芸術性と荘厳さ

10月2日、サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団をミューザ川崎シンフォニーホールで聴いた。ラトルは今シーズンでロンドン交響楽団の音楽監督を退任するため、今回が音楽監督としては最後の来日となる。

前半のプログラムはワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲とイゾルデの愛の死とR.シュトラウス:オーボエ協奏曲。

1曲目楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲とイゾルデ。
同楽劇はワーグナー自身が「あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑」と述べているがロンドン交響楽団の弦は艶と気品が溢れ、木管に美しさと筆舌に尽くしがたい程のまろやかさがあり、同楽団の至高のアンサンブルを堪能。ラトルの明晰な音楽構築と指揮により、クライマックスに進むにつれ、分厚く重なってくる美音の洪水に圧倒された。ラトル&ロンドン交響楽団の名演により、盛大な拍手が最初から贈られた。

R.シュトラウス:オーボエ協奏曲はロンドン交響楽団 首席オーボエ奏者ユリアーナ・コッホは独奏と担当。ユリアーナ・コッホの音色はまろやかで甘美。天上の音楽を聴いているような感覚に襲われた。

後半はイギリスを代表する作曲家であるエドワード・エルガーの交響曲第2番。エルガーは、イギリスの作曲家、指揮者。もとは音楽教師でありヴァイオリニストでもあった。

交響曲第2番は、エルガーが1910年から1911年にかけて作曲した交響曲で第3番は未完に終わったため、完成した交響曲としては最後のものとなった。

巨匠サイモン・ラトルの円熟味溢れる指揮と統率力により弦の響きが温かみに溢れ、密度で濃厚。動と静のメリハリが効いている音楽構築と木管の美しい音色に魅了された。フィナーレは曲想が感動的で壮麗な響きに酔いしれた。

英国を代表するオーケストラによるエルガー作品の演奏だけあって親近感、想い入れといったものが存分に感じさられた。同時にイギリスのオーケストラならでは芸術性、エドワード7世に捧げられた同曲の荘厳さが格別だった。

オーケストラのアンコールの前にラトルが「どうもありがとうございました」と日本語で挨拶し、愛するミューザ川崎シンフォニーホールと日本の観客に賛辞を贈った。

終演後、観客はスタンディング・オベーションで巨匠サイモン・ラトルをソロ・カーテンコールで迎え、感動的な余韻に包まれた。

PHOTO:(C)N.IKEGAMI

■スペシャル・オーケストラ2022
サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団

日時:10/2(日) 14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:サー・サイモン・ラトル
オーボエ:ユリアーナ・コッホ
(ロンドン交響楽団 首席オーボエ奏者)

曲目
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲とイゾルデの愛の死
R.シュトラウス:オーボエ協奏曲
エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 op.63

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