「世界をもてなす、日本がある。」というコンセプトを体現する、東京屈指のラグジュアリーホテル――ホテル椿山荘東京。都心・文京の地にありながら、一歩足を踏み入れるとそこはまるで別世界。約5万㎡におよぶ広大な庭園が広がり、四季折々の自然美が訪れる人を優しく迎え入れます。

啓翁桜(山形県)
都会の真ん中に広がる“春の森”

ホテルの門をくぐり庭園へ向かうと、耳に届くのは木々のざわめきと水のせせらぎ。豊かな森に包まれた庭園は、都心にいることを忘れさせてくれる“都会のオアシス”です。
ホテル椿山荘東京の春は、2月から始まります。
春の訪れを知らせる河津桜が早くも開花。やわらかな桃色が、凛とした冬の空気に春の気配をにじませます。
続く3月には、艶やかな修善寺寒桜や可憐なおかめ桜、そして存在感のある陽光桜が開花。庭園のあちこちで桜のリレーが繰り広げられ、散策のたびに異なる表情に出会えます。
約2ヶ月にわたる桜の饗宴
4月が近づくと、いよいよソメイヨシノが見頃を迎えます。庭園の景色は一気に華やぎ、淡いピンクが空と緑をやわらかく包み込みます。
そして4月中旬、桜シーズンのフィナーレを飾るのが八重桜や八重紅枝垂桜。ふっくらと重なる花弁が、春のクライマックスをドラマティックに演出します。
2月から4月にかけて、約20種・100本もの桜の木々が次々と開花。約2ヶ月にわたり、庭園は鮮やかなピンク色に染まり続けます。訪れる時期によって主役が変わるため、何度足を運んでも新たな発見があるのも魅力です。
“椿”と“桜”が競演する希少な庭園
ホテル椿山荘東京の庭園が特別といわれる理由のひとつが、椿の存在です。
1月から3月にかけて、約100種・2,300本もの椿が咲き誇り、庭園を彩ります。

深紅や白、絞り模様など多彩な品種が揃い、しっとりとした和の趣を演出。タイミングが合えば、艶やかな椿と可憐な桜を同時に楽しめるという、東京都内でも稀有な景色に出会えます。
冬の名残と春の息吹が交差する瞬間――それはまさに、日本の美意識を凝縮したような光景です。

庭園散策から始まる、春の滞在体験
朝の澄んだ光の中での散策、夕暮れ時に桜がやわらかく染まる時間、そしてライトアップによって幻想的に浮かび上がる夜の庭園。時間帯ごとに異なる表情が楽しめるのも、ホテル椿山荘東京ならでは。
客室やレストランから望む春景色は、滞在体験をより特別なものへと昇華させます。自然と建築、そして日本のおもてなしが融合する空間は、国内外のゲストを魅了し続けています。
夜桜雲海―桜色の幻想が庭園全体へ広がる、2026年の進化

東京・文京の森に佇むラグジュアリーホテル、ホテル椿山荘東京。その春の夜を象徴する人気演出「夜桜雲海」が、2026年、さらなる進化を遂げます。
2026年2月6日(金)~4月12日(日)の期間限定で公開される今年の「夜桜雲海」は、従来の幽翠池エリアに加え、ほたる沢から望郷橋にかけての水景エリアへ初めての拡張。桜色に染まった霧の演出“東京雲海”とライトアップが重なり合い、庭園全体を包み込むスケールへと広がります。
夜になると、光に照らされた桜と、ゆらめく雲海が織りなす幻想的な情景が出現。とりわけ幽翠池エリアでは、時間の経過とともに変化する桜色の濃淡を新たに表現し、咲き移ろう品種ごとの美しさをより深く体感できる演出へ。淡紅から濃桃へと移ろう光のグラデーションが、庭園の奥行きを際立たせます。
さらに今春は、ほたる沢〜望郷橋の水景付近も桜色の光でライトアップ。水面に立ち上る桜色の雲海が光を受けて揺らめき、まるで庭園全体が春の吐息に包まれるかのよう。これまで以上に没入感のある夜の散策が叶います。
約20種・100本の桜が2ヶ月にわたり咲き誇る庭園。河津桜に始まり、修善寺寒桜、おかめ桜、陽光桜、ソメイヨシノ、そして八重桜へ――春のリレーとともに、“夜桜雲海”もまた表情を変えていきます。都会にいながら、自然と光が織りなす壮大な春のスペクタクル。2026年の夜桜雲海は、庭園体験を新たな次元へと導きます。
花あかり―水辺に舞う、光の花びら

2026年春、同庭園に新たなナイト演出「花あかり」が誕生。
舞台は、ほたる沢エリア。周囲の植栽に星屑のような微細な光を点在させることで、桜の花びらが静かに舞い降りる瞬間を表現。水景にきらめきが重なり、夜の庭園に奥行きのある幻想的な表情を添えます。
“花あかり”という言葉が持つ、花がほのかに周囲を照らすような情緒。そのイメージを、繊細な光の粒で可視化したのがこの演出です。主役はあくまで桜と水。光はそっと寄り添い、春の夜を詩的に彩ります。
背景には、明治の元勲・山縣有朋が大切にした“水を活かす景観美”という思想があります。庭園では2023年に新たな指針「令和十二景」を策定し、水景の魅力を現代的に再解釈。2026年からは水景ライトアップを通年実施し、昼とは異なる夜の景観美を創出しています。
ほたる沢のせせらぎと、点在する光のきらめき。そこに桜色の雲海が重なり合うとき、庭園は一層幻想的な世界へと誘います。
約20種・100本の桜が咲き誇る春の庭園。その水辺に生まれた新たな光の詩「花あかり」は、夜の散策をよりロマンティックに、より印象深い体験へと昇華させます。2026年の春、ホテル椿山荘東京の夜は、桜色の雲と花の光に包まれます。

■日本料理みゆき
【鮨】~カウンター席でおもてなし~

東京・文京の森に抱かれたラグジュアリーホテル、ホテル椿山荘東京。その中に佇む日本料理の名店、日本料理みゆきの鮨カウンターで提供されるコース「りんどう RINDOU」を賞味しました。

■りんどう RINDOU
・先付Amuse-Bouches
寄せ貝
うるい 酢味噌 桜花

日本料理みゆきの鮨カウンターで供されるコース「りんどう RINDOU」の幕開けを飾るのが、先付「Amuse-Bouches」。ひと皿目から、コースの格調と美意識が伝わってきます。
主役は、鮑・平貝・ほっき貝・赤貝という贅沢な四種の貝。それぞれが異なる食感と旨みを持ち、噛むほどに海の滋味が広がります。鮑のしなやかな弾力と凝縮感、平貝のさくりとした歯切れ、ほっき貝のやわらかな甘み、そして赤貝の鮮烈な磯の香り。それらが一皿の中で重なり合い、素材の力強さと繊細さを同時に感じさせます。
全体をやさしく包み込むのは、出汁・酢・砂糖で仕立てた透明なジュレ。見た目はあくまで澄み切りながら、口に含むと和の旨みがすっと広がり、貝の個性を一層引き立てます。確かな存在感を放つ味わいは、鮨へと続く流れを整える絶妙な導入です。
そこに合わせるのが、しっかりとした味わいの酢味噌と、春を告げるうるい、そして桜花。酢味噌のコクと酸味がジュレの繊細さと対比をなし、味わいに奥行きを生み出します。淡く上品な出汁の世界と、輪郭のはっきりとした酢味噌。そのコントラストが、この先付を単なる前菜ではなく、完成度の高い一品へと昇華させてくれます。
・吸物 Clear Soup
白魚若竹玉地吸い
独活木の芽

印象的だったのは雑味の一切ない、まぐろ節を使用した出汁の香り。削りたての節にしか出せない、澄み渡るような芳醇さと、わずかな燻香が五感を呼び覚まします。一口啜れば、喉の奥まで染み渡るような深い旨味。担当調理人から「まぐろ節は味が全然違う」との言葉の通り、出汁そのものがもはや一つの主役です。
器の底には、淡雪のように柔らかな玉地。その上を泳ぐのは、春の使者・白魚です。つるんとした喉越しと、白魚特有のほのかな苦味が、出汁の甘みを一層際立たせます。さらに、シャキッとした若竹(筍)の歯応えが、春の力強さを演出。そこに彩りを添える独活(うど)の清々しい香りと、手のひらで叩いて香りを立たせた木の芽のピリッとした刺激。これらが一番出汁の深い旨味の中で重なり合い、口の中は春の芽吹きそのもの。独活の清涼感と木の芽の香りが、その瑞々しい食感をさらに引き立て、お椀全体の輪郭をキリリと際立たせています。
・造替り Sashimi
鰆叩き 蕗味噌
茎わさび醤油漬け 大根卸し

鰆の脂が最も乗るこの時期、職人の火入れが光る至高の「造替え」。
鰆の身を刺身ではなく「叩き」にすることで、皮目はパリッと、身はふっくらと仕上げられています。こんがりと焼き切られた皮目の芳しさが、鰆の持つ上品な脂の甘みを劇的に引き立てており、噛むほどに皮の香ばしさと身の濃厚な旨味が口の中で溶け合います。そこに合わせる露味噌(つゆみそ)。さらりとした仕上がりながらも深いコクがあり、鰆のリッチな脂に負けない奥深さをプラス。最後は、たっぷりの大根卸しとともに。瑞々しい大根が脂を優しく包み込み、後味を驚くほど清涼に仕上げてくれます。
・握り寿司十貫 Sushi
巻物赤出汁

尾長鯛
尾長鯛(オナガダイ/ハマダイ)は、白身魚の中でも最高級と称される逸品。とりわけ寒さの残る2月は、その旨みと脂の乗りがピークを迎えます。真鯛に比べて身質はよりやわらかく、舌にのせた瞬間、きめ細やかな繊維がほどけるように広がります。続いて現れるのは、上品でありながら芯のある甘みと、余韻まで続く濃厚な旨み。白身でありながら、どこか艶やかなコクを感じさせるのが、この魚の真価です。
視覚的な美しさもまた格別です。鮮やかな紅色の皮目と、淡いピンクがかった白身とのコントラストは実に華やかで、春を待つ2月の鮨ネタとして凛とした彩りを添えます。端正に握られた一貫は、静かな存在感を放ちながらも、口に運べば豊かな海の記憶を鮮明に呼び起こします。
職人の手によって最適な温度に整えられたシャリが、尾長鯛の繊細な脂と甘みをやさしく受け止め、全体をひとつの完成された味へと昇華させます。華美に走らず、素材の力を最大限に引き出す仕事。その一貫には、冬から春へと移ろう季節の気配と、日本料理の美意識が凝縮されています。

クエ
クエ(九絵)は、漁獲量が少なく成長も遅いことから極めて希少とされ、その圧倒的な食味ゆえに「幻の魚」と称される超高級魚。鮨種として出合える機会が限られます。口に含むと、まず感じるのは上質な脂の甘み。しかし決して重たくはなく、透明感のある旨みがゆっくりと広がります。ねっとりとした質感の奥に、凛とした弾力があり、噛むほどに滋味が増していく。白身でありながら、どこか豊潤で官能的な余韻を残します。職人の包丁と握りの加減によって、その繊細な脂が引き出され、シャリと一体となった瞬間に完成する一貫です。

自家製ガリ
そして、鮨の流れを心地よく整える存在が自家製のガリ。酸味を強く立たせすぎず、あくまで“さっぱり”と仕上げているのが印象的です。爽やかな甘みと穏やかな酸味のバランスが絶妙で、口中をリセットしながらも、ついもう一枚と箸が伸びてしまう軽やかさ。まるでサラダのような感覚で楽しめるため、濃厚なネタの合間にも心地よい余白を生み出します。重厚なクエの旨みと、軽やかなガリの清涼感。その対比が、鮨コース全体にリズムを与え、味わいの起伏をより豊かなものにしています。

ホウボウ
大きな胸びれを持つ個性的な姿とは裏腹に、その身は実に上品。江戸時代には「君魚(キミウオ)」と呼ばれ、上流階級に珍重された歴史を持つ高級白身魚で、現代でも鯛やヒラメに並ぶ格付けとされます。淡い桜色を帯びた身は美しく、口に運べばプリッとした弾力とともに、じんわりと広がるほのかな甘み。白身ならではの透明感の中に、確かな旨みの芯が感じられ、静かな余韻を残します。繊細な脂とシャリの温度が重なり合うことで、その気品が一層引き立つ一貫です。

鮗(コハダ)
コースにリズムを与えるのが鮗(コハダ)。2月は、11月から続く冬の旬の終盤にあたり、脂が最も充実する時期。身は締まり、旨みは濃厚で、酢〆によってその持ち味がさらに際立ちます。冬が旬であることから「鮗」の字が当てられるほど、この季節にこそ真価を発揮する魚。きめ細かな包丁目と絶妙な酢の加減が、脂の甘みを引き締め、粋で端正な味わいへと昇華させます。

赤身
この日使われていたのは、北海道函館市戸井地区で水揚げされた本マグロ(クロマグロ)。津軽海峡の荒波にもまれて育ち、名高い大間マグロと並び称される最上級ブランド「戸井マグロ」として知られる逸品です。引き締まった身質と、きめ細やかな繊維が生むしっとりとした舌触りは格別。赤身でありながら水分と旨みのバランスが非常に良く、噛みしめるほどに鉄分を思わせるコクと、澄んだ甘みが広がります。
脂ではなく、旨みで語らせる一貫。その潔さこそが、戸井マグロの魅力です。シャリと重なった瞬間、温度差によって旨みがふわりと立ち上がり、後味は驚くほど端正。力強さと品格を兼ね備えた味わいが、コースの中盤に確かな存在感を刻みます。鮨の真髄は赤身にあり――そう実感させる、格別の一貫です。

牡丹海老
堂々とした大ぶりの身は、艶やかで透明感にあふれ、口に運べば期待を裏切らないプリプリの食感。噛んだ瞬間に甘みがじわりと広がり、とろけるような舌触りの奥から濃厚な旨みが押し寄せます。鮮度の高さが際立ち、海老本来の瑞々しさを存分に堪能できます。
その上にあしらわれているのが“海老塩”。海老の殻を香ばしく揚げ、藻塩と合わせた自家製の塩で、ひと振りで旨みの輪郭がぐっと引き締まります。殻の芳ばしさと海老の甘みが呼応し合い、シンプルながら計算された味の設計。醤油に頼らずとも完成された味わいに仕上がっています。

牡丹海老のアゴの素揚げ
さらに供されたのが、牡丹海老のアゴの素揚げ。カリッと軽やかな歯触りの後に広がる濃厚な風味は、まさに酒の最高のパートナー。握りで味わった甘美な身とは対照的に、香ばしさと凝縮した旨みを楽しませてくれます。
一尾を余すことなく堪能させる趣向は、素材への敬意そのもの。牡丹海老の魅力を多角的に引き出した、記憶に残るひと皿でした。

剣先烏賊
剣先烏賊(ケンサキイカ)は、アオリイカやヤリイカと並び称される高級イカ。とりわけ刺身や鮨で真価を発揮し、口に含んだ瞬間に広がる“とろけるような濃厚な甘み”が最大の魅力です。丁寧に包丁が入れられた身は、しっとりとなめらかで、噛むほどに透明感のある旨みがじわりと滲み出します。繊維はきめ細かく、舌に吸いつくような質感が心地よい余韻を残します。
味付けは昆布塩と酢橘。昆布の旨みをまとった塩が、イカの甘みをより一層引き立て、そこへ酢橘の爽やかな酸味がきりりと輪郭を与えます。醤油とは異なる、澄んだ味わいの構成。重たさを一切感じさせず、素材そのものの純度を際立たせる仕立てです。
濃厚でありながら清らか。甘みと清涼感が交差するこの一貫は、コースの流れの中で心地よい“間”を生み出し、職人の繊細な仕事を実感させる逸品でした。

大トロ
使用されているのは、北海道函館市戸井地区で水揚げされる本マグロ(クロマグロ)の大トロ。津軽海峡の恵みを受け、青森県大間の大間マグロと肩を並べる最高級ブランドであり、「黒いダイヤ」と称されるその希少価値も納得の逸品です。餌が豊富な海域で育ったため脂ののりは格別で、口に入れた瞬間に舌の上で溶けるような口どけを味わえます。
味わいの特徴は、濃厚でありながら上品な甘み。深い旨みととろける脂がシャリと絶妙に調和し、ひと口で満足感と幸福感をもたらします。噛むというよりも、自然にとろけて広がる芳醇な味わいが、赤身や中トロとは一線を画す存在感を放ちます。
見た目の艶やかさも印象的で、淡いピンクから鮮やかな赤へと移ろう色合いは、コースの中で視覚的な華やぎを演出。素材そのものの力を引き出す職人技が、握りとしての完成度を際立たせる一貫でした。
大トロは、戸井マグロならではの贅沢な甘みと口どけを存分に楽しめる、鮨コースの中でも特別な一瞬を刻む極上の味わいです。

白ミル貝
白ミル貝(ナミガイ)は、コリコリとした食感と、磯の香り、そして強い甘みが特徴の高級寿司ネタ。特に2月は旬の真っ只中で、身の厚みと旨みが最も充実する時期です。噛むごとに弾力ある歯触りが心地よく、噛み締めるたびに海の風味と自然な甘みが口の中に広がります。
淡い磯の香りと繊細な甘みは、シャリとの相性も抜群。軽やかなコリコリ感が口中にリズムを生み、濃厚なネタや脂の強い一貫と交互に味わうことで、全体のコースのバランスを引き締めます。12月から4月頃にかけてが最も旨味が増すとされるこの時期の白ミル貝は、旬の鮨として堪能できる逸品です。

塩水雲丹
日本料理みゆきの鮨カウンターで供される塩水雲丹は、高級鮨の醍醐味を体現する一品です。塩水雲丹はミョウバン不使用で、ウニ本来の甘みと香りをそのまま楽しめるのが特徴。特に旬の最高級品であるムラサキウニやバフンウニは、産地直送の鮮度の良さが際立ち、口に運ぶと瞬時にとろけるような極上の風味が広がります。口の中で溶けると同時に、磯の香りと濃厚な甘みが余韻となって長く残り、他のネタとは一線を画す存在感を放ちます。
握りや軍艦、小鉢に至るまで職人の丁寧な手仕事で仕上げられており、素材の持ち味を最大限に引き出す繊細な仕立てが印象的です。舌に触れる瞬間のなめらかさ、香りの立ち方、そしてシャリとの一体感――すべてが計算され尽くした完成度の高さを感じさせます。
高級カウンター鮨ならではの贅沢さと、ウニ本来の甘みを存分に味わえる逸品。塩水雲丹は、鮨コースの中でも特別な存在感を放ち、春先の海の恵みを心ゆくまで堪能させてくれる一貫です。

穴子
一般的に穴子は夏が旬とされますが、2月の穴子は「知る人ぞ知る、もう一つの旬」と呼ばれ、高級鮨店で特に重宝されます。産卵を控えた冬の時期には脂が身にたっぷりと蓄えられ、皮目は艶やかに輝き、身は厚みを増します。その結果、口に含んだ瞬間、柔らかくとろけるような食感とともに、甘みのある脂と濃厚な旨みが一体となって広がります。
職人によって絶妙に炙られ、シャリとの一体感も完璧。甘みとコクのバランスが計算され尽くしており、冬の穴子ならではの味わいを余すところなく楽しめる一貫です。寒さの中で脂を蓄えた身の厚さと濃密な旨みは、コースの締めを飾るにふさわしい、特別な存在感を放っています。

巻物
鮨コースの締めとして提供される巻物は、味わいの余韻を残しつつ、静かに食体験を閉じる役割を持っています。
「山ごぼうのトロ巻」は、コリコリとした山ごぼうの食感と、まろやかなトロの脂が絶妙に絡み合う一品。具材の歯触りとシャリの柔らかさの対比が心地よく、最後まで味わいの変化を楽しませてくれます。
「かんぴょう巻」のかんぴょうは自家製で、噛むごとにかんぴょうの優しい甘みと旨みがじんわりと広がります。海苔は密度の濃い有明海産を使用しており、香り高く、シャリと具材をしっかりと包み込む存在感。握りで満たされた口の中を、さっぱりと整えながらも、コースの余韻を美しく締めくくります。
どちらの巻物も、味のバランスと食感のコントラストにこだわり、素材の力を引き立てつつ、最後の一口まで鮨コースの満足感を持続させる逸品でした。
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玉子焼き
握りや巻物の余韻が残る中で供される玉子焼きは、視覚的なやわらかさと安心感を与えてくれる設計。派手さはないものの、丁寧に裏ごしされたであろう滑らかな断面が、仕事の細やかさを物語っています。香りは穏やかで、甘みを予感させる卵のふくよかな香りの奥に、ほんのりと出汁の気配が漂います。
口に含むと、第一印象は「やさしい甘みと静かな旨味」。砂糖の甘さが前面に出るタイプではなく、卵本来のコクに出汁の旨味が溶け込み、全体を丸くまとめています。食感はしっとりとしており、舌の上でほろりとほどける。握りや巻物で酢や魚の旨味を重ねてきた後の口中を、穏やかに整えてくれます。
また、寿司の締めとしての玉子は、その店の“だしの哲学”を映すとも言われます。魚介の扱いだけでなく、甘み・塩味・火入れの精度が問われる一品。玉子は主張しすぎず、それでいて記憶に残るバランス型。最後に角のない甘みを置くことで、コース全体の印象を柔らかく着地させています。

御椀
御椀は、芽かぶとなめこの赤だし(42番・追いかつお)。一口含むと、まず感じるのは圧倒的な旨味の密度。昆布をベースにしたと考えられる2番だしの重厚な土台に、追いかつおの鋭くも豊かな旨味が重なり、赤味噌のコクと渋みが全体をまとめ上げている。なめこは、その特有のぬめりによって赤だしをやわらかく包み込み、とろりとした舌触りを生み出す。濃厚な味噌の力強さをまろやかに受け止め、全体の口当たりを円滑にしている。一方、芽かぶはシャキッとした歯ごたえとほのかなとろみを併せ持ち、噛むほどに磯の旨味がじんわりと滲み出る。なめこの滑らかさとは異なる質感が良いコントラストとなり、味と食感の両面で奥行きを加えている。
・甘味 Dessert
本日のデザート

主役は、自家製りんごのコンポート。透き通るような艶をまとい、光を受けて宝石のように輝きます。ひと口含むと、控えめに仕立てられた甘みの奥から、りんご本来の爽やかな酸味と芳醇な香りがふわりと広がる。火入れは絶妙で、やわらかさの中にわずかな張りを残し、食感の余韻まで計算されています。
添えられた季節の果実も秀逸です。瑞々しい甘みが弾ける苺「とちあいか」、トロピカルな香りを湛えたゴールデンキウイ、まろやかな柑橘の余韻を持つせとか、そして芳醇な香りを放つマスクメロン。それぞれが最適な熟度で供され、ひとつひとつが主役級の存在感を放ちます。コンポートのやわらかな甘みと生果実の力強い瑞々しさが対比をなし、皿の上で美しい調和を生み出しています。
鮨の濃密な旨みを経た口中を、すっと洗い流す清らかな後味。重たさを一切残さず、春の光のように軽やかに着地させる設計です。最後の一口まで素材の質と季節感を大切にした、コースの余韻を優雅に締めくくる甘味でした。
■職人の技を日本酒で引き立てる。鮨と銘酒が織りなす「至福のペアリング」

都会の喧騒を忘れさせる四季折々の庭園が美しい、ホテル椿山荘東京。その一角に佇む鮨コーナーで、2月より新たに「お寿司とおすすめの日本酒」の提供がスタートしました。
一貫ごとに精緻な手仕事が施される握りと、厳選された銘酒。五感を満たす、贅沢なマリアージュをご紹介します。
・醸し人九平次純米大吟醸【愛知県大吟醸酒】

華やかで上品な香りがふわりと広がり、柔らかい酸味と旨味が口の中でバランスよく調和します。脂ののったトロや中トロと合わせると、そのまろやかな味わいが魚の旨味と溶け合い、口の中で優雅なハーモニーを奏でます。握りと日本酒の力強さと柔らかさが互いに引き立つ、贅沢な組み合わせです。
◎トロなど脂がのったものとよく合います。
・水芭蕉 純米吟醸【群馬県吟醸酒】

群馬県川場村にある永井酒造が手掛ける「水芭蕉」は、豊かな水源と冷涼な気候に恵まれた土地で醸される銘酒。純米吟醸ならではの米の旨味を生かしつつ、吟醸香(フルーティーで華やかな香り)が控えめで上品に仕上げられています。口に含むと、まず柔らかな甘味が広がり、すぐに米の旨味と透明感のある酸味がバランスよく続きます。後味はすっきりと切れ、飲み飽きしない軽やかさが魅力です。アルコール感は控えめで、口当たりがやさしく、食中酒としても最適です。
◎海老や貝などの甘味を持つものによく合います。
・真野鶴大吟醸【新潟県大吟醸酒】

新潟県佐渡島に近い上越地域の酒蔵、真野鶴(まのつる)が手掛ける大吟醸酒。地元の良質な山田錦を使用し、精米歩合50%以下まで磨き上げた米を低温でじっくり発酵させています。そのため雑味がなく、非常にクリアで上品な酒質が特徴です。
グラスに注ぐと、果実を思わせる華やかな香りがふわりと広がります。マスカットやリンゴ、洋梨を連想させるフルーティーな香りがあり、甘すぎず上品で繊細な印象。鼻に抜ける香りは柔らかく、飲む前から期待感を高めます。口に含むと、芳醇な甘味がまず広がり、やさしい旨味が続きます。酸味は控えめで、全体として滑らかで丸みのある口当たり。余韻は長く、ふくよかな甘みが舌に残ります。
◎穴子や卵など、甘味が強いものとよく合います。
お酒が苦手な方には清涼感あふれるプレミアムソフトドリンクをご用意:
・信州りんごサイダー

宝石のように輝く透明感のあるサイダー。グラスに注ぐと、ほんのり甘くフルーティーな香りが立ち上り、信州りんごならではの爽やかな酸味が鼻腔を抜けます。
口に含むと、りんご本来の甘みと酸味がバランスよく広がり、すっきりとした後味に。微細な炭酸が舌を軽やかに刺激し、鮨の脂や濃厚なネタを流す清涼感を演出します
・せとうちスパークリングレモン

瀬戸内レモンの芳醇な香りがふわりと広がる、軽やかで爽快なスパークリングドリンク。透明感のある液面に立つ泡は繊細で、見た目からも爽やかさを感じさせます。
口に含むと、レモンのほどよい酸味と自然な甘みが舌に広がり、軽やかな炭酸が口の中をさっぱりと洗い流します。甘さ控えめで後味がきれいなので、食中でも飲み疲れせず、鮨の味わいを引き立てます。
■日本料理「みゆき」
【鮨】~カウンター席でおもてなし~

旬のネタと職人との語らいを楽しむ日本料理みゆきの鮨カウンター。こだわりの食材と豊かな海の幸をご堪能くださいませ。活気あふれる職人が、一貫ずつ心を込めて握ります。日本酒、ワインと合わせてご利用ください。
開催日
通年
時間
夜 17:30~22:00(ラストオーダー20:00)
ご利用は2時間までとさせていただきます。
料金
ぼたん 15,900円
りんどう 24,300円
※料金は消費税を含みますが、別途サービス料15%を申し受けます
※カウンター席でのみ提供しております。
メニュー
【ぼたん】2/6~4/12
鰊有馬煮 生麩素麺 針生姜 木の芽
握り寿司十貫 巻物 赤出汁 甘味
【りんどう】2/6~4/12
寄せ貝 うるい 酢味噌 桜花
白魚若竹玉地吸い 独活 木の芽
鰆叩き 酢味噌 茎山葵醤油漬け 大根卸し
握り寿司十貫 巻物 赤出汁 甘味

■ホテル椿山荘東京

1952年開業のホテル椿山荘東京は、都心にありながら森のような庭園に佇むホテルです。
庭園のシンボルである三重塔「圓通閣」は、1925年に東広島から移築され、2025年に100周年を迎えました。国の登録有形文化財に指定され、都内に現存する三古塔の一つです。
また、四季折々の絶景や国内最大級の霧の庭園演出「東京雲海」は、2025年度グッドデザイン賞をはじめ、多くの賞を受賞いたしました。265室の客室では、都心のパノラマや庭園ビューを楽しむことができ、8つのレストランやスパ、38の宴会場など充実した施設を完備しています。庭園では桜や紅葉、蛍など四季の風情とともに、特別なひとときをお過ごしいただけます。
さらに、「フォーブス・トラベルガイド」4つ星を獲得し、「プリファードホテルズ&リゾーツ」の「L.V.X. Collection」にも加盟しています。


