首都圏のプロオーケストラを中心とした真夏の音楽祭「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は近年、地方からプロオーケストラが招かれており、今回は、福岡を拠点とする九州交響楽団が登場。2024年4月より首席指揮者に就任した太田弦がタクトを握り、意欲的なプログラムで首都圏の聴衆に熱い一夜を届けた。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
開幕は、小出稚子作曲《博多ラプソディ》。地元・博多の情緒と躍動を音に封じ込めたような作品で、モダンなリズム感が光る。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
続くビゼー《カルメン》セレクションでは、ソプラノの高野百合絵が登場。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
真紅の艶やかなドレスに身を包んだ高野は、「ハバネラ」「セギディーリャ」など、誰もが知る名アリアを官能的かつ品格ある表現で聴かせた。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
その歌声は彼女ならではの色香が漂い、情熱的な音楽と一体となってホールを艶やかに包み込んだ。高野の声の表情、妖艶さ、フランス語のニュアンス、舞台での存在感はいずれも圧巻で、まさに“舞台にカルメンが現れた”ような感覚に陥った。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
後半は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番ニ短調《革命》。体制批判と芸術的再生の狭間で生まれた名作に、太田と九響は真正面から挑んだ。冒頭から緊張感は張り詰め、構築美に気を使いながらも感情のうねりを的確に捉える太田の解釈が良好。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
九響の金管セクションが好調で、第1楽章から終楽章まで、鋭く、かつ豊かに響きを重ねていった。第4楽章では木管の繊細なトリル、ティンパニの強打に続き、金管の荒々しくも堂々たる主題が展開され、会場の熱気は最高潮に。勝利と救済を高らかに謳い上げるようなコーダでは、九響が持てる力を総動員して荘厳なクライマックスを築き上げ、ホール全体が圧倒的なエネルギーに包まれた。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
アジア大陸や南方との交流の歴史が深い九州という土地柄か、九州交響楽団は、近年、金管セクションの勢いと打楽器の明晰なリズム感が評価されており、明るく弾けるようなアンサンブルにラテン音楽的な活力とポテンシャルを感じさせた。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2025
九州交響楽団
熱狂のシンフォニック★ナイト
日時:2025.8.7(木)19:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演
指揮:太田 弦(九州交響楽団 首席指揮者)
ソプラノ:高野百合絵
曲目
小出稚子:博多ラプソディ
ビゼー:歌劇『カルメン』から
第1幕への前奏曲 – ハバネラ – セギディーリャ – 第2幕への間奏曲(アルカラの竜騎兵) – ジプシーの歌
ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 op.47



