フェスタサマーミューザKAWASAKI2025のフィナーレコンサートは、原田慶太楼指揮 東京交響楽団の登場。東京交響楽団と原田慶太楼による《フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2025》のフィナーレコンサートは、「不滅の作曲家たち」というテーマのもと、重厚で情熱的、そして精神性の高いプログラムが展開された。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
映画音楽として知られる芥川也寸志の《八甲田山》より4曲を抜粋。冒頭から原田の指揮が描き出す厳寒の荒々しい青森の山並みの情景に息を呑む。冷え切った雪原、極限の人間ドラマ、死と向き合う静けさと絶望。なかでも「No. 37 棺桶の神田大尉」は、絞り出すような弦のうめきと重々しい金管が痛烈な印象を残した。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
ブルーの艶やかなドレスに身を包んだ服部百音が舞台に姿を現した瞬間、ホールの空気が一変した。服部は、名器グァルネリ・デル・ジェズを愛用。その深みのある艶やかな音色が、バルトーク特有の緻密で緊張感に満ちた音楽に命を吹き込んだ。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
第1楽章では、民族音楽のエッセンスを感じさせる旋律と、力強いリズムが複雑に交錯する中、服部は卓越したテクニックで作品の構造を明晰に描き出す。服部の演奏は、技巧的でありながらも情感に満ちており、聴衆を一気に音楽の核心へと引き込んだ。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
第2楽章では一転して、深い静けさと祈りのような響きが支配する。服部は音楽の陰影と内面性を丁寧に紡ぎ出した。第3楽章では、オーケストラとの緊密なやり取りの中で、急速なパッセージや跳躍音型を難なくこなしながら、ダイナミックかつ鮮烈な音楽を展開。終盤のクライマックスでは圧倒的な集中力と超絶技巧で、作品を壮大に締めくくった。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
ソリスト・アンコールはトルコの作曲家ファジル・サイの《クレオパトラから》。幻想的かつ官能的な楽曲で、バルトークとはまた違う一面を見せた。まるでクレオパトラを描いた絵画のような音の筆致で、表現力の幅広さを堪能させた。
ラストを飾ったのは、デンマークの作曲家カール・ニールセンの《交響曲第4番》。副題「不滅」は、コンサート全体の精神を象徴しているようだった。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
二台のティンパニが激しく打ち鳴らされ、冒頭から象徴性が明快。混沌の中に生命の光が宿るような音楽。原田は指揮で一音一音に魂を込めた。オーケストラの全エネルギーが“生命賛歌”として解放され、フィナーレにふさわしい大団円を迎えた。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
オーケストラ・アンコールには、地元川崎への愛を込めて山本直純の《好きです かわさき 愛の街》が演奏された。演奏後には温かな拍手がホールに広がり、フェスタの終幕にぴったりの余韻で満員の観客の心を熱くした。

©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール
■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2025
東京交響楽団 フィナーレコンサート
慶太楼が贈る、不滅の作曲家たち
日程 2025.8.11(月・祝)15:00開演
会場ミューザ川崎シンフォニーホール
出演
指揮:原田慶太楼(東京交響楽団 正指揮者)
ヴァイオリン:服部百音
曲目
芥川也寸志:八甲田山(1977)
No. 1 八甲田山(タイトル)
No. 10 徳島隊銀山に向う
No. 37 棺桶の神田大尉
No. 38 終焉
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番
ニールセン:交響曲 第4番 op. 29 『不滅(滅ぼし得ざるもの)』
[アンコール曲]
<ソリスト・アンコール>
ファジル・サイ:クレオパトラから
<オーケストラ・アンコール>
山本直純:好きです かわさき 愛の街



