【公演レポ】小林厚子、観客の涙を誘う理想の蝶々さんを演じ切る!《新国立劇場オペラ「蝶々夫人」》

5月21日(水)、ジャコモ・プッチーニの名作オペラ「蝶々夫人」を新国立劇場 オペラパレスにて観賞した。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

「蝶々夫人」(Madama Butterfly,)は、プッチーニによって作曲された3幕もののオペラで。長崎を舞台に、蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの愛と哀しい運命の物語。世界中で観客の涙を誘っている人気作ですが、愛を貫き通す蝶々さんの悲劇は日本でもひと際人気で、新国立劇場でも最も多く上演されている演目となっている。

蝶々夫人の小林厚子は、声量豊かな美声で全聴衆を魅了。発声強弱のコントロールに優れ、日本女性ならでは繊細で深みがある演技力と、圧倒的な存在感が眩しかった。第二幕の「ある晴れた日に」では、微細なピアニッシモから絶望に至るまで感情のうねりを見事に描写。失意の果てに選んだ運命を真摯に歌い、観客の胸を大いに揺さぶり、涙を誘った。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

終幕のアリア「かわいい坊や」で小林は、愛するが故の絶望感を情感たっぷりに歌い上げ、感動と涙を呼んでやまない、日本が世界に誇る理想の蝶々さんを完璧に演じた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

ピンカートンのホセ・シメリーリャ・ロメロは、声が飛んでこない物足りなさがあったが、無邪気さと無責任さを内包する複雑なキャラクターを巧みに演じ分けた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

シャープレス領事は、イタリア出身のバリトン、ブルーノ・タッディア。人間味ある演唱で物語の“良心”としての役割をしっかりと果した。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

スズキの山下牧子は、哀しみをこらえながら蝶々夫人を陰から支える侍女としての役柄を演じ、作品の人間味と醍醐味を深めた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

柔らかなメゾ・ソプラノで、物語の悲劇性にほのかな温か味を添えた妙技に心打たれた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

新国立劇場合唱団の女性合唱は、整った美声を披露し、舞台全体を品格あるものへと昇華させた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

2005年の初演から変わらぬ栗山民也の演出は、 蝶々さんの暮らす世界と外界を効果的に対比させた。舞台構成・舞台美術・日本文化の繊細さを感じさせる衣裳が舞台のドラマ性と悲劇性を高め、日本美と日本らしさが凝縮された芸術としての存在感が際立っていた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

スペイン生まれのイタリア人指揮者エンリケ・マッツォーラと東京フィルハーモニー交響楽団は起伏に富んだ音楽を作り上げた。プッチーニ特有の美麗な音色と情感豊かなフレージングで同オペラのドラマ性を効果的に高めた。


撮影:飯田耕治 提供:新国立劇場

■新国立劇場 2024/2025 シーズンオペラ
G. プッチーニ『蝶々夫人』
Giacomo PUCCINI / Madama Butterfly
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

日時:5月21日(水)14:00
会場:新国立劇場 オペラパレス

STAFF

【指揮】エンリケ・マッツォーラ
【演出】栗山民也
【美術】島 次郎
【衣裳】前田文子
【照明】勝柴次朗

CAST

【蝶々夫人】小林厚子
【ピンカートン】ホセ・シメリーリャ・ロメロ
【シャープレス】ブルーノ・タッディア
【スズキ】山下牧子
【ゴロー】糸賀修平
【ボンゾ】妻屋秀和
【ヤマドリ】吉川健一
【ケート】佐藤路子
ほか

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

蝶々夫人
新国立劇場のオペラ公演「蝶々夫人」のご紹介。 新国立劇場では名作から世界初演の新作まで、世界水準の多彩なオペラを上演しています。