【公演レポ】新国立劇場バレエ団、新シーズンのオープニング演目「眠れる森の美女」!

新国立劇場バレエ団2024 /2025新シーズンのオープニング演目「眠れる森の美女」を10月26日(土)東京・新国立劇場オペラハウスで観賞した。ペローの童話に基づき 1890年サンクトペテルブルクの帝室マリインスキー劇場で初演されて以来、 世界中で上演され続けている格調と様式美を備えたチャイコフスキーの三大バレエの一つ。

新国立劇場バレエ団が上演するウエイン・イーグリング版は、マリウス・プティパの原振付にオリジナルのパ・ド・ドゥが加わったもので豪華絢爛な舞台は2014年初演時に大好評を博しました。

栄華を誇るフロレスタン王の宮廷から舞台はスタートし、オーロラ姫の誕生に善の精・リラの精や妖精たちも祝福に訪れます。善の精・リラの精役の内田美聡は、登場した瞬間ぱっと華やかなエレガントさがあった。細身の肢体から生み出すポーズが甘美で見る者を幸福感で満たした。


撮影:瀬戸秀美

祝いの席に招かれなかった悪の精カラボスは激怒して「姫は紡ぎ針を指に刺して死ぬだろう」と不吉な予言を残した。


撮影:瀬戸秀美

トウシューズを履いて踊るカラボス役を担ったのは、山本涼杏。山本は役柄に必要な毒気ある演技と表情で観客の目線を終始、惹きつけることに成功した。


撮影:瀬戸秀美

オーロラ姫の廣川みくりは、2024年岡山芸術文化賞受賞を受賞した注目のダンサー。これまでの「眠れる森の美女」では、歓びの精やサファイアを踊ってきたが、主役のオーロラ姫として初抜擢された。難所続きの第三幕では初々しさがありながらも丁寧で華やかなバレエを披露し、観客を楽しませた。


撮影:瀬戸秀美

若手プリンシパルダンサーとして舞台を牽引しデジレ王子を踊った速水渉悟はテクニックの確かさとパの美しさが卓越。正確無比なダンスから生み出される表現力で観客の目を虜にした。ウエイン・イーグリング版最大の特徴と言えるのが第ニ幕最後に踊られる「目覚めのパ・ド・ドゥ」。デジレ王子とオーロラ姫の恋愛感情を表現する高難度の演出として、「物語」の重要な役割を担った。


撮影:瀬戸秀美

デジレ王子とオーロラ姫による第三幕のグラン・パ・ド・ドゥは言葉にならない美しさ!同バレエの最大のハイライトで客席を大いに沸かせた。


撮影:瀬戸秀美

サイドのキャストも豪華でフロリナ王女役の直塚美穂と青い鳥役の森本亮介のバレエは見応えがあった。ロシアのワガノワ・バレエ・アカデミーで石井久美子(exマリインスキーバレエ団)と共に学んだ直塚のバレエは上半身と腕のラインが美しい。流麗で品位が高く、筆舌に尽くしがたいエレガントさでロシア・バレエの真髄を感じさせた。森本のダンスは跳躍力と躍動感があり、両者に喝采が贈られた。


撮影:瀬戸秀美

「眠りの森の美女」はチャイコスフキーの三大バレエで最も豪華絢爛な大作だが、フレッシュな若手メンバーのバレエとその様式美は新国立劇場に新風を巻き起こした。


撮影:瀬戸秀美

■2024 /2025 シーズン新国立劇場バレエ団
バレエ「眠れる森の美女」
The Sleeping Beauty

日時:10月26日(土)13:00
会場:新国立劇場オペラハウス

STAFF:

振付
ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
音楽
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
編曲
ギャヴィン・サザーランド
美術
川口直次
衣裳
トゥール・ヴァン・シャイク
照明
沢田祐二

CAST:

【オーロラ姫】廣川みくり
【デジレ王子】速水渉悟

【リラの精】内田美聡
【カラボス】山本涼杏

【エメラルド】飯野萌子
【サファイア】広瀬 碧
【アメジスト】赤井綾乃
【ゴールド】中島瑞生
【フロリナ王女】直塚美穂
【青い鳥】森本亮介
【長靴を履いた猫と白い猫】宇賀大将、原田舞子
【赤ずきんと狼】五月女遥、小柴富久修
【親指トム】山田悠貴

【指揮】冨田実里
【演奏】東京フィルハーモニー交響楽団

眠れる森の美女
新国立劇場のバレエ公演「眠れる森の美女」のご紹介。バレエを観るなら日本で唯一の国立の劇場に所属する新国立劇場バレエ団で。

■関連動画

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』プロローグより(マイム字幕付き)

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』よりデジレ王子のヴァリエーション(福岡雄大)

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』よりフロリナ王女のヴァリエーション(小野絢子)

 

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