【公演レポ】飯森範親 指揮 パシフィックフィルハーモニア東京がサマーミューザに登場!

子どもから大人まで楽しめる“音楽のテーマパーク”として開催された今回の公演。音楽監督・飯森範親の指揮のもと、パシフィックフィルハーモニア東京が多彩なる名曲を披露。クラシックの名作が次々と繰り広げられるプログラムは、まさに「音の遊園地」、夢と感動の時間を共有した。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

司会を務めた松本志のぶの親しみやすい語りが、音楽への扉をやさしく開き、初めてクラシックを聴く子どもたちにも分かりやすい構成。会場には、家族連れを中心とした幅広い世代の観客が詰めかけ、夏のひとときを彩る特別な音楽体験となった。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

ステージに登場したのは、鮮やかな真紅のドレスに身を包んだ若きヴァイオリニスト、鈴木舞。手にしたのは、1683年製ニコロ・アマティ作「Grand Amati」。クラシック音楽史に燦然と輝く名器とともに登場し、特別な瞬間の始まりを予感させた。

鈴木が演奏したのは、サラサーテの《カルメン幻想曲》とラヴェルの《ツィガーヌ》という技巧を要する二曲。特に《ツィガーヌ》は、鈴木が小学生のころから「いつかオーケストラと共演したい」と夢見てきた作品であり、この舞台で長年の願いが結実した。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

歴史的名器「Grand Amati」と鈴木の才能が融合した音色は、豊かさと鋭さをあわせ持ち、観客の心を深く震わせた。《カルメン幻想曲》では、情熱的なメロディと細やかな旋律が融合。《ツィガーヌ》では哀愁と狂気を帯びた超絶技巧が、観客の胸を打った。ヴァイオリンの持つ豊かな表現力、そしてニコロ・アマティによる究極の音響の深み──その両方を最大限に引き出す鈴木舞の表現力に会場は酔いしれた。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

後半の幕開けは、ジュゼッペ・ヴェルディの歌劇《運命の力》序曲。劇的な運命の動機が金管によって力強く鳴り響き、会場を心地よい緊張感で包み込んだ。飯森範親のタクトは、重厚なファンファーレを鋭く切り込みながらも、弦の旋律部分では深く息の長いフレージングを保ち、作品の持つ劇的構成を巧みに描いた。終盤のクライマックスではティンパニの力強い打撃とブラスの咆哮が炸裂し、物語の大きなうねりを感じさせた。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

マスカーニ:《カヴァレリア・ルスティカーナ》より 間奏曲は、イタリアの田舎の情景が浮かび上がるような美しい間奏曲。弦楽器が紡ぎ出す柔らかな旋律は、清らかな“音楽で語られる祈り”。美しく語りかけは、聴衆を物語の深淵へと誘った。

チェコ音楽を代表する傑作、スメタナの《モルダウ》では、弦楽器が繊細に重なり合い、ホルンが高らかに吹く場面では、チェコの風景が目に浮かぶよう。舞曲のリズムが沸き立つ中間部では、民族的な色彩が鮮やかに表現され、飯森のリズム捌きの卓越性が光った。

パシフィックフィルハーモニア東京で音楽監督を務める飯森範親はヨーロッパを中心に広く活動した経験があり、オーストリア、ドイツ、そしてチェコでの経験が豊富。飯森はチェコ本国での活動も多く、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団や地方の名門オーケストラとの共演歴がある。飯森はチェコには特別な思い入れがあり、歴史・文化背景を踏まえた深い解釈と構築力に卓越。マイクを握った飯森は、パシフィックフィルハーモニア東京の「モルダウ」はチェコを思い起こさせる響きだった語り、チェコ滞在を懐かしがった。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

プログラム最後は、英国を代表するエルガーの《威風堂々》。華麗なブラスと弦が奏でる堂々たる行進に、ホール全体が沸き立った。中間部の“Land of Hope and Glory”と呼ばれる旋律では、会場全体が感動の波に包まれ、まさにコンサートのクライマックス。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

飯森はテンポをじっくりと運び、フレーズの一つ一つに力を込める。シンバルが打ち鳴らされるたびに、会場の熱気も高まっていった。夏のフェスタの最後を飾るにふさわしい一曲だった。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

アンコールでは、エルガー《愛の挨拶》が披露。鈴木舞の優雅なヴァイオリンが心を和ませました。最後は、ヨハン・シュトラウス1世《ラデツキー行進曲》。客席の手拍子とともに、会場は一体となって大盛り上がり。まさに“音の遊園地”のフィナーレにふさわしい、明るく楽しい締めくくりだった。


©平舘平/ミューザ川崎シンフォニーホール

■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2025
パシフィックフィルハーモニア東京
みんなあつまれ!音の遊園地

日時 2025.8.9(土)15:00開演
会場 昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

出演
指揮:飯森範親(パシフィックフィルハーモニア東京 音楽監督)
ヴァイオリン:鈴木 舞
司会:松本志のぶ

曲目
ロッシーニ:歌劇『ウィリアム・テル』 序曲から「スイス軍の行進」
サラサーテ:カルメン幻想曲
ラヴェル:ツィガーヌ
ヴェルディ:歌劇『運命の力』 序曲
マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』から 間奏曲
スメタナ:連作交響詩『わが祖国』から「モルダウ」
チャイコフスキー:バレエ音楽『くるみ割り人形』 op. 71aから
行進曲 – トレパック – 中国の踊り – こんぺいとうの踊り – 花のワルツ
エルガー:『威風堂々』第1番 op. 39-1
公演プログラム・曲目解説

[アンコール曲]
エルガー:愛の挨拶
シュトラウスI世:ラデツキー行進曲

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2025 出張サマーミューザ@しんゆり! 4歳から入場可能! パシフィックフィルハーモニア東京 みんなあつまれ!音の遊園地
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2024サイト、公演詳細ページのご案内です。