フランスの作曲家ジュール・マスネのオペラ『サンドリヨン』が、2025年11月15日(土)・16日(日)、東京・日生劇場にて上演されます。マスネは『マノン』や『ウェルテル』など、華やかで感情豊かな旋律によって音楽史に名を残す作曲家。サン=サーンスは彼の音楽を「煌めくダイヤモンド」と評しました。本作は、シャルル・ペローの童話「シンデレラ」を原作とし、人間の心の豊かさと幸福な時間を描く、夢と魔法に満ちたファンタジー・オペラです。本番に先立って、同オペラのゲネプロを鑑賞しました。

撮影:ヒダキトモコ
物語と音楽の魅力
『サンドリヨン』は、フランス・オペラならではの華やかで軽やかな旋律が魅力。魔法の舞踏会、優しい妖精たち、王子との出会いなど、幻想的な場面が音楽と舞台装置によって生き生きと描かれます。時に寄り添うようなあたたかい旋律は、観客の心に幸福感と感動を届けます。
一流キャストによる歌唱
主演のサンドリヨン(リュセット)役は盛田麻央と金子紗弓。両者とも透明感のある美声と表現力で、主人公の繊細な心情や喜びを巧みに歌い上げます。シャルマン王子役の杉山由紀と山下裕賀は、王子の高貴さと情熱を端正な声で表現し、舞台に輝きを添えました。
妖精役の鈴木玲奈と横山和美は、華やかで軽やかなソプラノで舞台に魔法の雰囲気をもたらします。また、ド・ラ・アルティエール夫人やパンドルフ、ノエミ、ドロテらの脇役も安定した歌唱で、物語を豊かに彩ります。

撮影:寺司正彦
サンドリヨン(リュセット)/盛田麻央・金子紗弓
サンドリヨン役は、物語の中心となる少女の純粋さや優しさを表現する重要な役どころ。盛田麻央は、透明感のあるソプラノと柔らかな声の表現力で、リュセットの繊細な感情や心の揺れを丁寧に歌い上げた。舞台上では、王子との出会いや妖精との魔法の場面で、聴く者の感情を自然に引きこんだ。

盛田麻央 撮影:ヒダキトモコ
金子紗弓は、明るく軽やかな声質が特徴で、希望や夢に満ちたシーンを活き活きと描きます。特に「舞踏会のアリア」など、華やかな場面での伸びやかな高音は舞台全体に輝きを添え、観客に幸福感を与えます。両者とも、リュセットの内面の優しさや勇気を音楽的に立体的に表現する点が魅力です。

金子紗弓 撮影:寺司正彦
シャルマン王子/杉山由紀・山下裕賀
王子役は、気品と情熱を兼ね備えた歌唱が求められます。杉山由紀は、柔らかさと芯のある声を兼ね備え、王子の誠実さや純粋な愛情を端正に歌い上げます。繊細な表現力で、リュセットへの想いを自然に聴衆に伝える力がありました。

杉山由紀 撮影:ヒダキトモコ
山下裕賀は、豊かな中低音と透明感ある高音を自在に操り、男性役としての気品と人間的な脆さを同時に表現。旋律の美しさと心理描写を融合させる歌唱は、単なる“王子様像”を超えた深みを帯びている。両者とも王子役としての気品と人間味を併せ持ち、舞台に厚みを加えます。

山下裕賀 撮影:寺司正彦
妖精/鈴木玲奈・横山和美
妖精役は、魔法の世界を象徴する役で、軽やかさと躍動感が重要です。鈴木玲奈は、澄んだソプラノで舞台全体を明るく照らし、観客に魔法の存在感を感じさせます。リュセットに魔法を授ける場面での柔らかく包み込むような歌声は印象的です。

鈴木玲奈 撮影:ヒダキトモコ
横山和美は、軽快かつ表情豊かな歌唱で、妖精の遊び心や温かさを舞台に反映します。声のコントロールが巧みで、魔法の効果を演出する音楽的なニュアンスも丁寧に表現。両者とも、リュセットや王子の歌唱を引き立てながら、舞台全体に夢の世界を広げます。

横山和美 撮影:寺司正彦
合唱とオーケストラの魅力
合唱を担うC.ヴィレッジシンガーズは、繊細なアンサンブルと力強い声で、舞台全体の雰囲気を高めます。舞踏会や庭園の場面では、合唱の声が華やかさと躍動感を生み、物語の世界観を一層引き立てた。
管弦楽は読売日本交響楽団。柴田真郁の指揮のもと、オーケストラはマスネの精緻で煌めくような楽曲を余すところなく表現。弦楽器の柔らかい響き、管楽器の華やかさ、打楽器の躍動感が、登場人物の心情や魔法の世界を鮮やかに描き出します。
舞台美術・演出
演出・振付は広崎うらんが担当。舞台全体の構成やダンス、アライブペインティングを取り入れ、幻想的な物語世界を立体的に表現します。美術は松生紘子、衣裳は武田久美子、照明は中川隆一が手掛け、舞台に魔法の光と色彩を添えました。
同じ物語の異なる感情体験
物語の核心である「心の豊かさと幸福な時間の尊さ」は、キャストや観客のその日の気持ちによって受け取り方が変化します。1日目の観賞では感動の余韻に浸り、2日目では違う視点からキャラクターの感情や舞台美術の細部に気づくことで、物語の深みが増すという楽しみがあります。
2日続けて『サンドリヨン』を観ることは、単なる同じ公演の繰り返しではなく、キャストの個性、オーケストラ・合唱との化学反応、舞台演出の微細な表現を比べながら体験できる貴重な機会です。華やかな魔法に包まれたマスネの音楽と、夢と希望にあふれた物語を、日替わりのキャストたちの歌唱とともに存分に楽しめるのが、2日間観賞の最大の魅力です。

撮影:ヒダキトモコ
■NISSAY OPERA 2025 『サンドリヨン』
日程:2025年11月15日(土)・16日(日)
作曲:J. マスネ
原作:シャルル・ペロー「シンデレラ」
全4幕(原語[フランス語]上演・日本語字幕付)新制作
指揮=柴田真郁
演出・振付=広崎うらん
管弦楽=読売日本交響楽団
合唱=C.ヴィレッジシンガーズ
11月15日(土)/11月16日(日)キャスト
サンドリヨン(リュセット):盛田麻央/金子紗弓
シャルマン王子 :杉山由紀/山下裕賀
妖精 :鈴木玲奈/横山和美
ド・ラ・アルティエール夫人:齊藤純子/星 由佳子
パンドルフ :北川辰彦/河野鉄平
ノエミ :市川りさ/別府美沙子
ドロテ :藤井麻美/北薗彩佳
両日
王 :龍 進一郎
大学長 :照屋篤紀
儀典長 :湯浅貴斗
総理大臣:的場正剛
精霊 :相原里美、工藤麻祐子、日下萌音、斉戸英美子、畠中海央、馬場菜穂子
ダンサー:川竹麻耶、木原萌花、鈴木孝太、中込 萌、長澤風海、松本ユキ子
アライブペインティング:中山晃子
カヴァーダンサー :高嶋悠花
スタッフ
美術 :松生紘子
衣裳 :武田久美子
照明 :中川隆一
ヘアメイク :橘 房図
映像 :森 規幸
音響 :佐藤日出夫(エス・シー・アライアンス)
演出助手 :橋詰陽子
振付助手 :松本ユキ子
舞台監督 :蒲倉 潤(アートクリエイション)
合唱指揮 :安部克彦
副指揮 :松村優吾、澤村杏太朗
コレペティトゥア:平塚洋子、越知晴子、根本卓也
原語指導 :根本卓也
対訳作成 :石川裕美
字幕 :本谷麻子
宣伝美術 :秋澤一彰
主催・企画・制作:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
助成 :芸術文化振興基金/
公益財団法人ロームミュージックファンデーション/
公益財団法人朝日新聞文化財団/
公益財団法人花王 芸術・科学財団
後援 :東京都
協賛 :日本生命保険相互会社
◆特設ページ: https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/cendrillon2025/


