1972年にフランスで創刊されたレストランガイドブック「ゴ・エ・ミヨ」。アジア地域唯一の展開国となる日本版の第5刊目、『ゴ・エ・ミヨ 2021』(発行:ガストロノミー・パートナーズ株式会社、発売:株式会社 幻冬舎)が2月17日(水)より全国の書店、オンラインストアにて発売。
・「ゴ・エ・ミヨ」とは?
本格レストランガイドの2大勢力のひとつである「ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau」 は、2人のフランス人ジャーナリスト、 アンリ・ゴ(Gault) とクリスチャン・ミヨ (Millau) が 1972 年に刊行したパリ生まれのレストランガイドブックです。
質の高い料理人、食材、サービスをガイドするに留まらず、フランス語で土地、地域性を意味する「テロワール」にも着目。レストランだけでなく、シェフを支える生産者・職人にも注目して評価をしています。
評価本という形を取りながらも、レストランに寄り添う姿勢を重んじ、シェフたちからの信頼は厚いといわれています。特に、「新しい才能の発見」という特長を持ち、ジョエル・ロブションやギィ・サヴォワのような気鋭のシェフをいち早く見出す、先見性に定評があります。
・『ゴ・エ・ミヨ 2021』の特徴
2021年版では、ゴ・エ・ミヨの精神ともいえる「新しい才能の発見」や「その土地ごとの食文化 “テロワール”」を中心とし、初掲載の関東甲信越エリアを含めた、全33都道府県、403軒の名店セレクションをお届けします。
また、注目を集める「今年のシェフ賞」の他、ソムリエやサービス、生産者など、9つの賞、16名の受賞者インタビューも掲載。
レストランにとっても、ゲストにとっても忍耐の時期が続き、「レストラン空間」のかけがえのなさを感じた2020年を経て、新たな「食」と「時間」に出会っていただきたい、という思いを込めた一冊です
・『ゴ・エ・ミヨ 2021』の掲載エリア
全33都道府県
東京都、北海道、北陸(富山県・石川県・福井県)、東海(静岡県・愛知県・岐阜県・三重県)
関西(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県)
中国(岡山県・広島県・山口県・島根県・鳥取県)、四国(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)
【ゴ・エ・ミヨ 2021初掲載エリア】
関東甲信越(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県・長野県・新潟県)
・ゴ・エ・ミヨの評価の特徴
現在「ゴ・エ・ミヨ」が展開している世界15カ国共通の定められた基準のもと、「予約の電話から見送りまで」を評価し、レストランという舞台全体を支えるプロフェッショナルに注目します。
評価は、20点満点中0.5点刻みの点数と、それに応じたトック(フランス語で「コック帽」の意)の数(1~5トック)で行うものの、基本は、食べる喜びと感動を伝えることを使命と考えています。
・『ゴ・エ・ミヨ 2021』受賞者のご紹介
発刊に先立ち、2月15日(月)にパレスホテル東京にて、『ゴ・エ・ミヨ 2021』発刊 授賞式 プレス発表会が開催されました。以下に、各賞の受賞者の方をご紹介します。
<今年のシェフ賞> 1名
米田 肇氏(大阪、HAJIME、イノベーティブ)
調査した店舗の中で、才能を縦横に発揮し最も斬新で完成度の高いインパクトのある料理を出した料理人に贈られる「今年のシェフ賞」。今年は、大阪のイノベーティブレストラン、「HAJIME」の米田 肇氏へ贈られました。
「今年のシェフ賞」米田 肇 氏
米田氏は、地球を取り巻く環境、その美しさを皿の上に表現する独自の世界を展開。また、料理だけでなく、飲食業界を守るための活動を率先して行い、料理がより広い世界でとらえられるよう努めており、その見識の深さ、活動ぶりが、まさに「今年のシェフ」と呼ぶに相応しい存在であると評価されました。
<明日のグランシェフ賞> 3名
斎藤宏文氏(神奈川、イチリン ハナレ、中国料理)
柴田秀之氏(東京、レストラン ラ クレリエール、フランス料理)
高尾僚将氏(北海道、TAKAO、イタリア料理)
確固たる基本技術の上に、独自の料理世界を築き、優れた才能として日本の料理界を牽引することが期待される料理人を表彰する「明日のグランシェフ賞」は、3名の料理人に贈られました。
齋藤氏は「自身の料理をより深め、日本の食材を取り入れた繊細な料理を展開している点」が、柴田氏は「芯がありつつも常に更新され、ゲストに寄り添う料理の完成度の高さ」が、高尾氏は「アイヌ文化を現代の感覚で自身の料理に反映し、「森」をテーマに、ガストロノミーとしてゲストに提示していること」がそれぞれ評価されました。
<期待の若手シェフ賞> 3名
荻野聡士氏(東京、赤坂 おぎ乃、日本料理)
信太竜馬氏(東京、エラン、フランス料理)
山崎志朗氏(東京、山﨑、日本料理)
「ゴ・エ・ミヨ」は発刊以来、「新しい才能の発掘」に努めており、若手シェフの支援に重きを置いています。その中でも、才能と情熱、技術が今後の活躍を大いに期待させる新進気鋭の料理人に贈られる「期待の若手シェフ賞」は、3名の料理人に贈られました。
荻野氏は「京都と東京で学んだスタイルを自身の中でまとめ上げ、『おぎ乃』の料理としての魅力を発揮している点」が、信太氏は「技術力に加え、レストランという場をより広く、持続可能な形で運営し、食の素晴らしさを伝えていこうとする姿勢」が、山崎氏は「名店や現代感覚あふれる店で得た成果を自身の中に取り込み、それらを形にしていく創造性、技術力、完成度の高さ」がそれぞれ評価を得ました。
<トランスミッション賞> 1名
音羽和紀氏(栃木、オトワレストラン、フランス料理)
「トランスミッション賞」とは、培ってきた知識と技術を、時に国を超え、世代を超えてトランスミッションする(=伝える)ことに多大な貢献をされた料理人を表彰する賞です。
音羽氏は、フランスの名店での修業で得た料理技術のみならず、生産者の中に身を置くことの重要性を学び、地方都市に根をおろし、その地のテロワールを発信し続けてこられたことや、日本のフランス料理界を牽引し、後進の育成にも努められており、その多大な貢献に対し、この賞が贈られました。
<トラディション賞> 1名
中東久人氏(京都、美山荘、日本料理)
「トラディション賞」は、土地が育んできた伝統文化を守りつつも、時に挑戦を試み、次世代へつなぐ知識と技を磨き続ける料理人を表彰する賞です。
中東氏は、「摘草料理」を受け継ぎ、料理だけにとどまらず、花脊の土地の自然を通して人をもてなすことに力を注ぎ、その伝統文化に宿る精神や地域の素晴らしさを、柔軟な発想も取り込みつつ広く伝えている点が高い評価を得ました。
<イノベーション賞> 2名
佐藤 慶氏(東京、虓、イノベーティブ)
新保吉伸氏(滋賀、株式会社サカエヤ)
「イノベーション賞」とは、自身のキャリア、哲学、コンセプトなどにおいて、挑戦することを選び、新たな切り口で取り組む料理人・生産者を表彰する賞です。
佐藤氏は「培ってきた技術をもってジャンルを取り払ったイノベーティブな料理を展開し、独自の視点の料理世界を築き上げている点」が、新保氏は「価値のつきにくい肉に手当てを施し、旨みを引き出す技術に加え、素晴らしい生産者を見つけ出し、自身の技術を通して広めている点」が、それぞれ高い評価を得ました。
<ベストソムリエ賞> 1名
松岡正浩氏(大阪、柏屋、日本料理)
「ベストソムリエ賞」は、ワインの知識やワインリストの構成のみならず、卓越した接客術を持ち、常にお客様重視の姿勢でサービスを行うソムリエを表彰します。
松岡氏は、伝統的な日本料理へのペアリングの提案に取り組み、ワインや日本酒など、それぞれの料理に最適となるよう工夫されている点が高く評価されました。
<ベストサービス・ホスピタリティ賞> 1名
和田智子氏(石川、和田屋、日本料理)
「ベストサービス・ホスピタリティ賞」は、レストランや料理店において、その店の世界観を的確に伝える最終的な接点として、お客様に寛ぎと深い感動の記憶を残すサービスを展開されている方を表彰する賞です。
和田氏は、長く続く料理宿の女将として、しつらえや活ける花、ゲストにあててしたためるメッセージなど、濃やかな仕事でその世界観を伝え、また全体のおもてなしをまとめ率いて、多くのお客様から支持されている点が高く評価されました。
<テロワール賞> 3名
井上和洋氏(新潟、レストラン ウオゼン、フランス料理)
藤本純一氏(愛媛、正栄丸 船長)
前田尚毅氏(静岡、サスエ前田魚店)
土地の風土や食材、育まれてきた文化を尊重しつつ、食材または料理を通じて独自の挑戦を試みている生産者や料理人を表彰する「テロワール賞」は、3名の方に贈られました。
井上氏は「シェフとして土地と向き合い、その結果得たものを自身の高い技術で皿の上に表現し、県外からも注目を集めている点」が、藤本氏は「海と仕事を守るために自身の獲る魚の価値を独自の手当てや流通方法の工夫によって高め、新しい漁業者像を提示している点」が、前田氏は「熟練の目利きと独自の仕立て技術により、質の高い魚を全国の料理店に卸すと同時に、国内外の料理人にその技術を伝え、料理人と共に魚の価値をより引き出す方法を編み出し続けている点」が評価を得ました。
・書誌情報
書名:ゴ・エ・ミヨ 2021
発売日:2021年2月17日
定価:本体2,727円+税
判型:A5変形版
ISBN:978-4-344-95416-8
ページ数:272
発行:ガストロノミー・パートナーズ株式会社
発売:株式会社 幻冬舎
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