EXILE SHOKICHI、LIVE TOUR 2023 “BRAIN” at 倉敷

4年ぶりとなるEXILE SHOKICHIのソロツアー「EXILE SHOKICHI LIVE TOUR 2023 “BRAIN”」が、12月2日(土)の岡山公演で幕を開けた。先日、SHO HENDRIXという別名義プロジェクトでアルバム「DOZEN ROSES」をリリースしたばかりだが、EXILE SHOKICHI名義となるこのツアーでSHO HENDRIXはどのように表現されるのか。今年2月から6月にかけて開催したEXILE THE SECONDのツアーとはどんな違いがあるのか。4年前の「UNDERDOGG」ツアーからはどう変化しているのか。なにより、EXILE SHOKICHIとしてコロナ禍でライブが思うようにできず溜まっていた悔しさをどう爆発させてくるのか。きっと今日はまだ見たことのないSHOKICHIに出会えるはず。そんな期待が会場となった倉敷市民会館に開演前から渦巻いていた。

オープニングはその期待の斜め上を行く登場の仕方でスタート。多くの予想を裏切ったであろう始まりに会場がざわめく程だった。しかし、驚きはじわじわと笑顔に変化。会場にほっこりムードが漂い、みんなでひとつになって音楽をつくったあと、SHO HENDRIX名義でリリースした「ROSE」の強靱なグルーヴに乗せてライブは動き出した。

続いてEXILE SHOKICHI名義の「Underdog」を披露したあとは、プロデューサー・SHOKICHIとして手掛けたBALLISTIK BOYZ「テンハネ -1000%-」とKID PHENOMENON「Wheelie」をセルフカバー。そして、SHOKICHIが作詞作曲に参加したEXILEの楽曲、再びEXILE SHOKICHI名義の楽曲と、アッパーなナンバーを立て続けにパフォーマンスして場内を盛り上げていった。

この冒頭のセクションだけで、SHO HENDRIX、EXILE SHOKICHI、EXILE、そしてプロデューサーとしての顔と、SHOKICHIのいろんな側面を矢継ぎ早に見せていく構成。彼が持つさまざまな面が凝縮されたステージとなっていた。

前回のツアーからの4年間、SHOKICHIはさまざまなプロジェクトの楽曲制作に携わり、キャリアを重ねてきた。そんな彼が今、どんなマインドで音楽を作っているのか。SHOKICHIの脳内のミュージカリティーをすべて見せていくこと。それが今回の「BRAIN」ツアーの大きなコンセプトとなっている。

そして、今回のツアーでもうひとつ大きなポイントは、SHOKICHIがあらゆる楽器を自ら演奏すること。これまでのライブでも演奏していたが、今回は、ほぼ全曲で何かしらの楽器を演奏している状態。実際ステージ上には、SHOKICHIが担当するピアノ、キーボード、ローズピアノ、コンガ、エレキギター、アコースティックギターが横一列にところ狭しと並んでいた。

開演前に今回のツアーの楽しみを尋ねたところ、「ずっと何か弾いているのでバンドアンサンブルや、音楽を楽しんでいる様を見せられることが嬉しい」とコメント。セットリストや演出、照明といったライブの構成をつくるにあたっても、「これまではエンタテインメント性を求めて足し算の作り方」だったが、「今回は歌を聴くか、バンドの音を聴くか。それだけなのでいろんなところに目移りしないライブ。引き算をテーマにして作った」と語っていた。

歌を聴くか、バンドの音を聞くか。その言葉通り、今回はなんとダンスがない。バックダンサーもいない。EXILE SHOKICHI史上初の踊らないライブになっているのだ。

実際、SHO HENDRIXの「草花と火山の物語」から始まったセクションは、「ゆっくり楽しんでいきましょう」と観客を座らせて、自身でローズピアノを弾きながら歌唱。アコースティックギターに持ち替えて、メロウなR&Bやヨコノリの楽曲を披露したあとは、5曲連続でバラードをパフォーマンス。MCでも「こんなにバラードが続くのは初めて」と言っていたが、まさに歌と演奏を届けるスタイルで観客を魅了していった。

ライブ中盤の「君に会うために僕は生まれてきたんだ」では、2019年の単独初ツアー「UNDERDOGG」にて行った企画が再現。「12月のお誕生日の人をお祝いするコーナー!」とタイトルコールしてから、ファンクラブ会員から当選された誕生月のお客さんをステージに招待し、SHOKICHIが隣でピアノを弾きながら歌うという、ファンにとってはこの上ないスペシャル演出が用意されていた。

この日、ステージに招かれた方は、公演翌日の12月3日が誕生日で、さらにSHOKICHIの誕生日である10月3日が結婚記念日というダブルおめでた。しかも、その結婚相手も客席にいて、アットホームな空気の中、SHOKICHIは特別なバースデーソングを心を込めて語りかけるように届けていた。

それが終わると、今度は「ご当地ソングを歌おうのコーナーです」と告げ、ツアーで訪れる各地域出身のアーティストをカバーする企画へ。この日は岡山県津山市が生んだビッグネーム、稲葉浩志にリスペクトを込め、B’zの「ねがい」をアコースティック編成のバンド編成で熱唱。稲葉浩志に引けを取らない高音ヴォーカルで観客を圧倒した。

「ここから騒ぐぞー!」というMCから始まった後半は、アッパーなビートを次々に投下。オープニングのセクション同様に、EXILE SHOKICHI名義の楽曲に始まり、プロデュース曲やコラボ曲、さらにEXILE THE SECONDのライブ鉄板曲が披露され、場内はSHOKICHIワールド全開に。観客はタオルを右へ左へとグルグル回し、場内のボルテージは最高潮に達した。

熱気をはらんだまま本編最後に演奏されたEXILE SHOKICHIの代表曲「The One」では会場がひとつになって大合唱。“たった1つの1人と1人の出会い”で埋め尽くされた場内が感動と興奮に包まれていく。客席からこの曲を一緒に歌う大きな声が聞こえてきたときに、SHOKICHIが心の底からの声で、「これだよ…」と嬉しそうにつぶやいたのがなんとも印象的だった。

この日のMCでは「今日もいろんな思い出がつくれました」と振り返り、「たくさんの音楽を作っていても、全部、自分の魂がそこに入っている。どのSHOKICHIにも、みんなへの思いが込められているんです」とメッセージ。続けて「歌詞を書くうえで、こんな言葉だったらみんな喜んでくれるかなとか、こんなメロディーだったらみんな楽しめるかなとか、僕の音楽の素を作ってくれているのはみんななんです。だから、どの楽曲もみんなからもらった思い出と魂で書いてる。それを今回のツアーで伝えたかった」と語っていたSHOKICHI。

幅広い音楽性と、それを体現できる歌唱力と演奏力。さらにソングライターとしてのセンスやバンドマンとしての顔など、EXILE SHOKICHIのマルチな才能に圧倒される本ツアーは、ファイナルの12月27日・東京国際フォーラム公演まで続く。ダンスを封印し、歌と演奏で楽しませるという、EXILE SHOKICHIの新たなアプローチは、ライブを重ねるごとにどのように進化していくのか。ワクワクが止まらない。

文:猪又 孝
写真:REALY (RAW Climb)

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