『おいしいスープがあればいい 三國流おうちでつくる極上スープ』 の発売記念トーク&サイン会が、2024年10月3日、代官山 蔦屋書店主催で開催されました。本書はフランス料理の巨匠・三國シェフ完全書き下ろしの“スープの集大成”的な本。イベントは奥深いスープの世界と称して、三國シェフにじっくり語っていただきました。
■スープは「軽くて簡単な食事。いちばん手軽で満足できる料理。だけど奥深い」。
YouTubeの料理チャンネルの登録者が51万人を突破、フランス料理の巨匠が教える料理動画が好評の三國シェフ。10月4日に刊行された新刊『おいしいスープがあればいい 三國流おうちでつくる極上スープ』では、より身近で手軽、かつ満足できる「三國流スープ」のレシピを紹介。古今東西のあらゆるスープ、圧巻の80レシピが掲載されています。
イベントの前半では、担当編集者とともに制作秘話を交えながら、本書について深掘りしていきました。
――三國シェフにとって、スープってどんな料理でしょうか?
三國「フランスではスープっていえば、簡単な料理。家庭でポトフとか具材と煮込んで作る軽いもの。パンと合わせて軽く食べるようなもの。しっかり食べるというより、軽く済ませるものですね」「軽い食事っていう流れはあるけど、手軽だけど満足できるものがスープ。」「だけど、スープってただ我々が思ってるような飲み物じゃなくて、すごく広いのね。食事だとか、いろんな要素があって。奥深いのも魅力」
その流れで担当編集者をいじるお茶目な一面も見せた三國シェフ。
三國「最初の打ち合わせで、あまりにも無知だから、スープの勉強をしてこいって、分厚い『エスコフィエ』ってフランス料理の教科書を貸したよね(笑)」
――勉強したことを活かして、スープのことはこの本に全部載せたつもりです!(笑)
■水から作るスープは一番ピュア。素材の味を引き出すスープ
――この本のスープの特長はだしや市販のスープの素を使わない、「水から作るスープ」です。
三國「水っていうのは、我々にとって一番大切じゃないですか。体の2/3は水ですから。出汁をとるときも水を必ず入れるでしょう。水っていうのはいちばんピュアなもの。魚の味や肉の味、野菜の味を表現するのに大切なものなんです。水以外の液体からだと複雑になっちゃって、実はいい出汁は取れないんですね。」「この本では水をベースに、料理の原理原則に基づいて、焼いたり蒸したりしてその素材の味を引き出しています。」
三國「ただ、水からっていうのは現代社会でむずかしくって。やっぱり市販の化学調味料ってうまみが凝縮しているから、一瞬でおいしくなる。それはそれでいいんだけど。だから人によっては、物足りなく感じるっていうのもあるかもしれない。でも僕は意識してこういうレシピを提案している」
――撮影で試食したときも、家で作って食べたときも思いましたが、本当にどのスープも素材の味が引き立って美味しかったです。いつも、どれだけ市販の素に頼っていたかわかりました。
三國「うん。水と塩だけってすごく素材の味が引き立つよね。」
■ぜひ作ってほしいスープは「マッシュルームのカプチーノ」
――この本の中で思い入れのあるスープや、ぜひ読者のみなさんに作ってほしいスープはありますか?
三國「マッシュルームのカプチーノ(※82ページに掲載)ですね。これはね、“厨房のダ・ヴィンチ”とか最も神に近い料理人とか言われたアラン・シャペルさんのスペシャリテ。それを僕がオマージュして。これは家庭で作りやすいようにアレンジしたもの。カプチーノは四ツ谷で37年作り続けた僕のスペシャリテでもあるよ。僕しか作らない特許みたいなスープだね」
――私も家で作ったのですが、本当に簡単でごちそう感があって、おいしかったです!
三國「あなたでもできるくらいね(笑)。レシピの大元は厨房のダ・ヴィンチですよ。そう言う点でもすごい本だよね。厨房のダ・ヴィンチのレシピを簡単に再現出来るんだから。」
トークの後半では質問コーナーも。「三國シェフの原動力は?」「三國シェフが考える仕事のできる人って?」などさまざまな質問が。なかにはオンライン配信をご視聴いただいていた方からの質問もありました。和気藹々としたムードの中、サイン会へ。充実した1時間半となりました。
『おいしいスープがあればいい 三國流おうちでつくる極上スープ』は三國シェフのスープの集大成と言える一冊。ぜひお手に取って、おうちでたっぷりお楽しみください。
【書籍概要】
■タイトル: おいしいスープがあればいい 三國流おうちでつくる極上スープ
■著者:三國清三
■発行元: 西東社
■価格:1650円(税込)
■判型・ページ数:B5判変形・128ページ
■発売:2024年10月4日