2025年10月、東京フィルハーモニー交響楽団による定期演奏会が開催され、名誉音楽監督チョン・ミョンフンが登壇。欧州ツアーに先駆けた渾身のプログラムが披露された。バーンスタイン「ウエスト・サイド物語」より《シンフォニック・ダンス》、ガーシュウィン《ラプソディー・イン・ブルー》(ピアノ:小曽根真)、プロコフィエフ《ロメオとジュリエット》より抜粋という、欧州ツアーでも披露予定の同一プログラムが演奏された。
コンサートマスターに近藤薫を迎え、三浦章宏、依田真宣も加わった東京フィルの”コンサートマスター3人体制”が実現。首席奏者も勢揃いし、現在の東京フィル最高峰の布陣によるステージとなった。

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
チョン・ミョンフンの柔軟な指揮が光る《ウエスト・サイド・ストーリー》

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
冒頭を飾ったバーンスタイン《シンフォニック・ダンス》では、チョンのタクトが自在に舞い、作品のビート感とリリカルな側面を見事に統合。鋭いアクセントとしなやかなレガートの対比により、スコアの持つドラマ性が立体的に描き出された。
ヴィオラによる《サムウェア》のソロは、静かな内省と希望が共存するような深い情感を湛え、《マンボ》ではオーケストラの掛け声も加わって、聴衆の心を揺さぶる熱気が場内を包んだ。
小曽根真が魅せた、唯一無二の《ラプソディー・イン・ブルー》

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
続く《ラプソディー・イン・ブルー》は、小曽根真の個性が全開。指揮台を離れたチョンに代わり、クラリネットが即興的なニュアンスで冒頭をスタート。小曽根のピアノが登場すると、まるでジャズクラブの一夜のような自由さと躍動がホールを包んだ。
即興性の高いアドリブ、テンポの緩急と遊び心が随所に散りばめられた小曽根のソロは、紛れもなく“オンリーワン”な音楽体験だった。
色彩と緊張感が織りなす《ロメオとジュリエット》

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
プロコフィエフの《ロメオとジュリエット》は、シェイクスピアの悲劇に基づいた全52曲からなるバレエ音楽で、1935年に作曲された。後半に演奏されたプロコフィエフ《ロメオとジュリエット》より抜粋(全10曲)は、チョン・ミョンフンのプロコフィエフ解釈の真骨頂が感じられる構成だった。
《モンタギュー家とキャピュレット家》では、不穏な対立の緊張感が、重厚な金管と厳格なリズムによって描かれた。《少女ジュリエット》では、ジュリエットの純真さや恋の高まりが、柔らかい旋律と透明な音色で表現された。

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
《ジュリエットの死》における痛切な弦の響きは、単なる場面描写にとどまらず、登場人物の感情の深層を掘り下げていた。その音は、沈黙のなかから立ち上がる祈りだった。儚く、痛切で、ただひたすらに美しい。チョン・ミョンフンは場面ごとの心理と風景を緻密に描写し、バレエ音楽としての立体感を保ちつつ、交響詩的な完成度を見せつけた。

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
欧州ツアーへ —— 日本の首都:東京ならではの響きを世界へ

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
2025年10月28日から11月11日にかけて、東京フィルは名誉音楽監督 チョン・ミョンフン 指揮のもと、7か国8都市での欧州ツアーを実施します。ツアー初日はドイツ・ベルリンのフィルハーモニー・ベルリン、以降ハンガリー・ブダペスト、ベルギー・アントワープ、フランス・トゥールーズ、スペイン・バルセロナ、オーストリア・ウィーン、スイス・ルガーノを巡り、11月11日にはドイツ・デュッセルドルフのトーンハレ・デュッセルドルフで最終公演となります。
この夜の熱気と情熱を胸に、東京フィルは欧州の地へと羽ばたく。世界に示されるであろう“現在進行形の東京フィル”の躍進に、大いに期待したい。

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団
■東京フィルハーモニー交響楽団
10月定期演奏会
指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
ピアノ:小曽根 真
コンサートマスター:近藤 薫、三浦章宏、依田真宣
プログラム
バーンスタイン:「ウエスト・サイド物語」よりシンフォニック・ダンス
ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」Op.64より
東京フィルハーモニー交響楽団 ヨーロッパ・ツアー2025 指揮:チョン・ミョンフン(東京フィル名誉音楽監督)
■東京フィルハーモニー交響楽団、10-11月のヨーロッパ・ツアー2025へ向けた クラウドファンディングの当初目標達成&ネクストゴール設定!
皆様に育てていただき114年。東京フィル、ヨーロッパ・ツアー2025最終公演日の2025年11月11日(火)23:59[日本時間]まで、クラウドファンディングを継続いたします!
東京フィルハーモニー交響楽団は、2025年10月28日~11月11日にかけ、ヨーロッパ7か国8都市を巡る演奏旅行を実施します。たくさんのご支援と熱い激励に心より御礼申し上げます。
東京フィルでは、この目標額達成を受け「支援総額1,000万円」をネクストゴールとして設定いたしました。このネクストゴールにより、さらなるご支援の輪を広げ、オーケストラによる国際交流をより広く社会へとお伝えしてまいりたく考えております。
♪クラウドファンディングのリターンも鋭意、準備中です!

♪シェアも応援の一つです!
サポーターの皆様にはこのプロジェクトをより多くの方にお知らせいただき、一層のご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

♪東京フィル ヨーロッパ・ツアー2025 クラウドファンディングについて詳しくは10月28日の開幕まであとわずか!日本の響きを世界へ届ける仲間を募集しています。
詳しくはこちら↓
https://congrant.com/project/tpo/17157
東京フィルハーモニー交響楽団 チョン・ミョンフン指揮2025年10月定期(10/5, 16, 20)全公演完売にて開幕
東京フィルは10月末より同楽団名誉音楽監督でミラノ・スカラ座次期音楽監督のチョン・ミョンフンと欧州7カ国をめぐるヨーロッパ・ツアーに出発
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000053202.html


