シルヴィ・ギエム、オーストラリア・バレエ団ヌレエフ版『ドン・キホーテ』来日記者会見に登壇!

オーストラリア・バレエ団が5月30日より、ルドルフ・ヌレエフ版『ドン・キホーテ』を日本で上演する。

公演に先駆けて、ルドルフ・ヌレエフ版『ドン・キホーテ』で作品指導に当たった伝説のバレリーナ、シルヴィ・ギエムが来日。


左からシルヴィ・ギエム、デヴィッド・ホールバーグ。

シルヴィ・ギエム、デヴィッド・ホールバーグ芸術監督、主演ダンサーの近藤亜香&チェンウ・グオによる開幕記者会見が行われた。

オーストラリア・バレエ団は1962年設立。日本では68年の初来日以降、計6回の来日公演を実施。今回が7回目の来日公演となっている。現在はメルボルンに拠点を置いているオーストラリア・バレエ団(The Australian Ballet)は、オーストラリア最大の名門バレエ・カンパニー。1962年にJ. C. ウィリアムソン・シアターズ社とオーストラリア・エリザベス劇場基金により設立され、イギリス出身のダンサー・バレエ教師&監督のペギー・ヴァン・プラフが初代芸術監督を務めた。

ヌレエフ版『ドン・キホーテ』は、ルドルフ・ヌレエフ(1938〜1993)が同団のために1970年に振り付けし、映画化された思い出深い作品。

バレエの殿堂「ボリショイ・バレエ団」にアメリカ人として初めて入団し、プリンシパルにまで昇りつめた世界的なダンサー、デヴィッド・ホールバーグは、2021年にオーストラリア・バレエ団芸術監督に就任してバレエ界で大きな話題を集めた。


デヴィッド・ホールバーグ

デヴィッド・ホールバーグは、シルヴィ・ギエムがバレエ界から離れていたことも承知していたが、シルヴィは次世代に伝えるべき知識と経験が豊富、指導者としての仕事をオファーされるべき貴重な人材だと思い立ち、バレエ団のコーチを思い切って依頼。

パリ・オペラ座バレエ団エトワールでエトワールを務めていた時、ルドルフ・ヌレエフから直接指導を受けていたギエムは、記者会見で「昔ちょっと踊っていました。日本は7年ぶりとなりますがよく来ていたので、最後が昨日のことのように思いますし、第二の故郷のように感じています。」とユーモラスに挨拶し、日本への愛情を示した。


シルヴィ・ギエム

続けて「イタリアで犬などの動物と戯れている時に電話をくれて、『私たちと一緒に仕事をしたいですか?』と聞いてくれたのがとても気に入りました。私は回りくどい言い方よりもシンプルで単刀直入の方が好きなので、彼の質問の仕方にも優しさを感じ、ぜひ一緒にコラボレーションしたいと思いました」とデヴィッド・ホールバーグ芸術監督と一緒に仕事をすることになったエピソードを語った。

ギエムはヌレエフとの思い出話を語った。

「ヌレエフはとても聡明で、舞台に対して愛を持っている人でした。彼の作品にはインテリジェンスが必要です。ヌレエフ自身、ユーモアにあふれ、ウィットに富んだ人だったので、それが作品にも出ていると思います。よく一緒に仕事をしていましたので、オーストラリア・バレエ団が彼の作品を上演することによって、彼の知性や賢さなどがちゃんと反映されると感じています。」


シルヴィ・ギエム

ヌレエフ版『ドン・キホーテ』についてギエムは「ヌレエフ版はダンサーのポテンシャルを引き出す可能性を持っています。ダンサーはただ踊るだけでなく、人間らしさやキャラクターをちゃんと探り、作る。そこにちょっとの面白さが加わっているのがヌレエフ版だと思います。」と解説した。

ギエムについて、ホールバーグ芸術監督は「シルヴィはダンサーたちの人間性を引き出してくれます。『ドン・キホーテ』はテクニック面で高度なものを求められるので、サーカスのようになってしまうことがあります。もちろんテクニックは重要ですが、舞台上でダンサーたちの人間性が見えてこそ、舞台がまとまるのだと思います」と人間性重視だったことを打ち明けた。


近藤亜香

ギエムから直接指導を受けた近藤亜香は、「ギエムさんには2023年の新制作の際に、初めて指導していただきました。舞台上でキトリとしてどう生きるか、キトリとバジルの関係性をどう伝えるかに重きを置いた指導でした。私がうまくいかないときも、1つの型にはめることなく『こういうのはどう? じゃあ、こういうのは?』と次々とアドバイスをしてくださるので、いろいろ試すことができます。ダンサーの自信につながるようなご指導だったので、今すごく自信を持って踊れています。」とギエムの指導に全幅の信頼を寄せた。


左からチェンウ・グオ、シルヴィ・ギエム、デヴィッド・ホールバーグ、近藤亜香。

「あなたにとって指導とは?」との質問が投げかけられたギエムは、「ダンサー1人ひとりがハッピーになって、楽しんで踊ってくれることが大切です。私の役割は、そのダンサーがどういう人で、どこまで成長できるかを探り、引き出すこと。それによってダンサーたちが進化していくのを目撃できるのは、何物にも代えがたい喜びです。」とダンサーの成長に温かい眼差しを寄せた。


左からチェンウ・グオ、シルヴィ・ギエム、デヴィッド・ホールバーグ、近藤亜香。

記者会見後に行われた公開リハーサルでは、5月31日夜公演に出演するキトリ役のジル・オオガイとバジル役のマーカス・モレリが、ホールバーグとギエムの指導を受ける様子が公開された。ギエムが作品指導の様子を公開するのは初めてのこととなる。


左からデヴィッド・ホールバーグ、シルヴィ・ギエム。

オーストラリア・バレエ団「ドン・キホーテ」日本公演は5月30日から6月1日のスケジュールで東京文化会館で開催される。


左からデヴィッド・ホールバーグ、マーカス・モレリ、ジル・オオガイ、シルヴィ・ギエム。

■オーストラリア・バレエ団 2025年日本公演
ヌレエフ版「ドン・キホーテ」
プロローグ付き全3幕

振付 ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパに基づく)
音楽 ルドヴィク・ミンクス
編曲 ジョン・ランチベリー
衣裳デザイン:バリー・ケイ
装置デザイン:リチャード・ロバーツ(バリー・ケイデザインのオリジナル映画に基づく)
This production of Don Quixote has been adapted for the stage from the 1973 film Don Quixote, which was produced by International Arts and The Australian Ballet.

会場:東京文化会館(上野)
上演時間:約2時間50分(休憩2回含む)

5月30日(金) 18:30
キトリ:近藤 亜香
バジル:チェンウ・グオ

5月31日(土) 12:30
キトリ:ベネディクト・ベメ
バジル:ジョセフ・ケイリー

5月31日(土) 18:30
キトリ:ジル・オーガイ
バジル:マーカス・モレリ

6月1日(日)12:00
キトリ:近藤 亜香
バジル:チェンウ・グオ

指揮:ジョナサン・ロー
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

●入場料(税込)
S=¥24,000 A=\21,000 B=\18,000 C=\15,000 D=\12,000 E=\9,000

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