韓国出身の世界的な指揮者、鄭明勲(チョン・ミョンフン)がイタリアが誇るオペラの殿堂ミラノ・スカラ座 (Teatro alla Scala)の音楽監督に選任された。
撮影=上野隆文 提供=東京フィルハーモニー交響楽団
スカラ座は5月12日、ホームページで、チョン・ミョンフンがリッカルド・シャイーの後任として2027年から音楽監督を務めると発表。アジア人がスカラ座の音楽監督を務めるのは247年の歴史で初めてのことになる。
以下、スカラ座のホームページより引用:
チョン・ミョンフン氏がリッカルド・シャイー氏の後任として音楽監督に就任します。チョン氏の任命は、シャイー氏の契約満了となる2026年末をもって発効します。指揮者だけでなく熟練したピアニストでもあるチョン・マエストロは、1989年以来、ミラノ・スカラ座のシーズンやツアーに常駐し、84回の公演と141回のコンサートで9つのオペラ作品を指揮してきました(この点でも、公式の音楽監督を除けば最多出演回数の記録を保持しています)。ヴェルディ作品の第一人者であり、スカラ座でもその幅広いレパートリーで頭角を現し、ドミトリ・ショスタコーヴィチ(『ムツェンスク郡のマクベス夫人』、1992年)、リヒャルト・シュトラウス( 『サロメ』、1995年)、ジャコモ・プッチーニ(『蝶々夫人』、2007年)、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(『イドメネオ』、2009年)、ジュゼッペ・ヴェルディ(『シモン・ボッカネグラ』 2016年および2018年、『ドン・カルロ』 2017年、 『ラ・トラヴィアータ』 2019年)、カール・マリア・フォン・ウェーバー(『魔弾の射手』、2017年)、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(『フィデリオ』、2018年)の作品を指揮している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スカラ座は、米国ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、オーストリア ウィーンのウィーン国立歌劇場と並ぶ世界三大歌劇場の一つ。スカラ座では、これまでアルトゥーロ·トスカニーニ、クラウディオ·アバド、リッカルド·ムーティ、ダニエル·バレンボイムらが音楽監督の座を射止めてきた。
チョン・ミョンフンは、ドイツのシュターツカペレ・ドレスデンの首席客員指揮者、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団の名誉音楽監督、韓国のKBS交響楽団の桂冠(名誉)指揮者、東京フィルハーモニー交響楽団名誉音楽監督など国内外で精力的に活動。
2025年9月、自身が名誉指揮者を務めるミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団の来日公演で指揮をとる予定となっている。
チョン・ミョンフンは、2025年10月5日から開催される東京フィルハーモニー交響楽団 10月定期演奏会に登場する。2025年10月28日からは、7か国8公演のスケジュールでヨーロッパ各地の名門コンサートホールを巡る「東京フィルハーモニー交響楽団 ヨーロッパ・ツアー2025」において指揮を執る。
■チョン・ミョンフン Myung-Whun Chung, conductor
撮影=上野隆文 提供=東京フィルハーモニー交響楽団
韓国ソウル生まれ。マンネス音楽学校、ジュリアード音楽院でピアノと指揮法を学ぶ。1974年チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門第2位。その後ロスアンジェルス・フィルにてジュリーニのアシスタントとなり、後に副指揮者。ザールブリュッケン放送響音楽監督および首席指揮者(1984~1989)、パリ・オペラ座バスティーユ音楽監督(1989~1994)、ローマ・サンタチェチーリア管首席指揮者(1997~2005)、フランス国立放送フィル音楽監督(2000~2015。現在は名誉音楽監督)、ソウル・フィル音楽監督(2006~2015)、シュターツカペレ・ドレスデンの首席客演指揮者(2012~)など歴任。1997年に本人が創設したアジア・フィルの音楽監督も務める。2022年6月、イタリア共和国功績勲章であるグランドオフィサーの称号を長年にわたるイタリアの文化発展への貢献に対して受勲。2023年3月、イタリア・ミラノのスカラ・フィルハーモニー管弦楽団として初めての名誉指揮者に就任した。
2001年東京フィルハーモニー交響楽団のスペシャル・アーティスティック・アドヴァイザーに就任、2010年より桂冠名誉指揮者、2016年9月に名誉音楽監督に就任。日韓国交正常化60周年を迎えた2025年には、東京フィルハーモニー交響楽団とKBS交響楽団の合同演奏会を東京とソウルで指揮した。
■チョン・ミョンフン 歴代ポスト
ザールブリュッケン放送交響楽団首席指揮者(1984 – 1989)
フィレンツェ歌劇場首席客演指揮者(1987 – 1992)
パリ・オペラ座(バスティーユ歌劇場)音楽監督(1989 – 1994)
ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団首席指揮者(1997 – 2005)
KBS交響楽団音楽監督(1998 – 1999)
フランス放送フィルハーモニー管弦楽団音楽監督(2000 – 2015)、名誉音楽監督(2015 – )
東京フィルハーモニー交響楽団スペシャル・アーティスティック・アドヴァイザー(2001 – 2010)、桂冠名誉指揮者(2010 – 2016)、名誉音楽監督(2016 – )
ソウル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督(2005 – 2015)
シュターツカペレ・ドレスデン首席客演指揮者(2012 – )
ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団名誉指揮者(2023 – )
■ミラノスカラ座 歴代音楽監督
アンジェロ・マリアーニ(1846-1872)
フランコ・ファッチョ(1871-1889)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1898-1908)
トゥリオ・セラフィン(1909-1914)
トゥリオ・セラフィン(1917-1918)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1921-1929)
ヴィクトル・デ・サバタ(1929-1953)
カルロ・マリア・ジュリーニ(1953-1956)
グィード・カンテッリ(1956)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ(1965-1968)
クラウディオ・アバド(1968-1986)
リッカルド・ムーティ(1986-2005)
ダニエル・バレンボイム(客演指揮者)(2007-2011)
ダニエル・バレンボイム(2012-2017)
リッカルド・シャイー(2017-2026)
チョン・ミョンフン(2027-)
ミラノスカラ座オフィシャルサイト:
https://www.teatroallascala.org/en/index.html
参考記事:
【公演レポ】チョン・ミョンフン指揮 東京フィル&KBS響による歴史的名演!
https://www.lvtimes.net/culture/67170/
【公演レポ】チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 歌劇『マクベス』
https://www.lvtimes.net/culture/63017/
【公演レポ】チョン・ミョンフンが東京フィルと創り上げたヴェルディ歌劇『オテロ』の名舞台!
https://www.lvtimes.net/culture/49940/